オペ看
医療ドラマを見ていて、「メス!」と言われて渡している姿がかっこよくて、私は小さい頃からメスを渡す人に憧れていた。
進路の選択を迫られる年齢になったとき、そのメスを渡す人は『オペ看』と言われる職業であることを知った。
私は22歳で憧れのオペ看になった。オペ室(手術室)勤務は人気がなく、私は希望通りの配属となった。
私は希望を胸に抱いていた。
しかし、私が想像していた異常にオペ室は過酷な環境だった。
覚えることは多く、手術は毎回同じではなく様々な診療科がある、先輩にも気を遣い、ドクターそれぞれに違う対応をしなければならない。ドラマで見ていた「メス!」は本当に最初で、そこからは(そこまでも)二手先以上を考えて、言われる前に渡すのが理想とされる。勿論、すぐにできるようになるわけもなく「早く!!」「なんで用意できてないの?」と怒鳴られることも少なくなかった。横では同じ年に入社した初期研修のドクターが同じように怒られていた。
手術が終わりかけに向かい、ようやく緊張がほどけたところで空腹や尿意を感じ始めることはしょっちゅうあった。私は6月に膀胱炎になった。
ようやく手術が終わったと思うと、次は先輩との復習という名の反省会だ。そして先輩たちに噂される未来まで見えている。
手術室は戦場だ。みんなが協力し、如何に迅速に、丁寧に、正確に動けるかを考えながら頭フル回転で働いている。
私は思った通りに仕事ができなくて、夜に涙が止まらなくなる日もあった。
また怒鳴られたらどうしよう、と考えて手術に入りたくない日々もあった。
癖が強いドクターのオペは苦手だった。
新しい手術の流れを習得したときは嬉しかった。
怒鳴ってばかりのドクターに褒められたときは静かにガッツポーズした。
癖が強いドクターに「君とはやりやすい」と言われたときは、ドクターを抱きしめたいくらいの気持ちになった。
私はきっと、小さい頃から憧れ続けた『オペ看』を辞めることは無理だろう。
読んでくださりありがとうございました。
私がオペ看をし始めた頃に感じたことを書きました。
なんだかんだやりがいがあるので、この仕事が大好きです。
夜中も呼ばれたり、令和には考えられないくらい怒鳴られたり、何時間も緊張状態だけど、やりがいが凄くあるなぁと感じます。




