三歳になったよ
突然の非常に流暢な言葉でのウッソだろおい事件から約二年半。僕はひたすら続く剣術の英才教育を逃げ切り、同時並行による魔法の英才教育によって力を増していた。一応剣術の稽古はあるが、父さんも姉さんももはや僕を剣術好きにさせるのは諦めたようだ。
最近僕は時空間魔法を研究している。とはいっても開発したアプリにシュミレーション機能があるため結構楽だ。物体を時間をかけて移動させるだけなら前方に引力を展開すればいい。転移も転移させたいものの周囲に線状に(厚さ0)の正の質量を配置し、その周りに虚の質量を配置すると時空間がカットされる。そして転移したい場所の周りの空間を同じように切り取り、そこにワームホールでつなげて入れ替え転移する。そう。時空間や事象の地平線はシュワルツシルト半径を下回ればカットされるため、体積ゼロの面が質量を持っていると簡単に空間をカットできるのだ。要は厚さゼロのナイフならどんなものでも切れるということだ。
つまりどういうことかというと、魔法とかいうエネルギーの塊を直に使うため理論値で事象を起こせるということだ。
で、なにが言いたいかというと、普通に移動するよりワームホールで時空間をつなげて転移した方が魔力消費が少ないのだ。これには僕も困惑した。しかしこっちのほうが便利なのである意味助かった。
だがしかしこれには欠点がある。そういくらアプリで変数とかをテキトーに入力すればいいだけで細かい調整が必要ないとはいえ、転移する場所は自分からの相対座標である。転移する場所がどんなところか観測する魔法のほうが開発が大変だった。しかも観測してからその観測した場所の座標入力を自動化する魔法式は組めても、結局観測するのは手動である。観測になれるのに半年ぐらいかかった。
この辺でいままでなにをやっていたか説明するのはやめにしよう。
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今日僕は魔法ではないものを作ろうと思う。そう、地球にあったものを再現するのだ。
というかいままで空いてる時間は自室で引きこもって魔法の研究をやっていたのがおかしいのだ。おかげで僕は屋敷の従者の人とほとんど関係がない。今日からはもう魔法の研究もあらかた終わったことだし部屋から出よう。
「あら坊ちゃま。外に出るなんて珍しいですね。」
「だれ?」
「申し遅れました。従者のイーダでございます。」
「そうなんだ。」
「はい。なにかご要件はありますか?」
「いや、べつに」
「わかりました。失礼します」
なるほど、この人イーダっていうのか。稽古と勉強と食事の時以外部屋から出ないから名前知らなかったなぁ
廊下を歩いて久しぶりというか初めて外出しようとすると現在8歳のハンナ姉さんにエンカウントした。
「ねぇアヒム今から外行くの?」
「うん、そうだよ」
「以外ね。あんたほぼ外出ないじゃない。」
「失礼な。僕だって外出たい気分になることぐらいあるよ。」
「ふーん。で、どこいくの?」
「まだ決めてないや」
「じゃあ一緒に剣術の修行にでもいかない?ていうか行け」
僕は思った。逃げよう。
「もし逃げたらシバくよ?」
そう。一応秘密保持のため人前でやすやすと使えないのが転移魔法の欠点。そして肉体の移動能力に関してはハンナ姉さんの圧勝である。つまり...
「...わかった」
僕は思った理不尽だと。
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無理やり連れてこられた修行は模擬戦であった。
とりあえず突撃した。
「甘い!」
普通に痛かった。もうこれある種の地獄じゃないかい?
~その後彼はフルボッコにされた。
結局当初目標の地球にあるものを作る計画は頓挫した。
ここに出てくる物理とかは現実とは関係ありません