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三者三様、僕たちの到達点

あの日のあと、夜は明けた。公園で2人は優しく眠っていた。


昨日の話だ。大人の店に言ったら衝撃的な再会をしたんだ。僕はあの時に止まってしまった時計の針を進めることになるのだろう。


「おはよう。リーダー…ふふっ、今日はあたしがリーダーだよ。早速だけど、一緒に行きたいところがあるの!さぁ、じゅんくん!」

「あぁ、そうだね。」


彼女は千早みかんと言う。集団の中の2番手だ。2番手だったこともあって主にリーダーだった僕を支えていた。しかし、風の噂によると実はリーダーのことを良く思っていなかったという話を聞いた。どうも、山を燃やしたきっかけは彼女ではないか言われていた。それもあって、あれからもう会わないのではないかと思っていた。僕に合わせる顔がないからか、それとも彼女が本当に恨んでいたからか。わからないが、わかりたくもなかった。そんな彼女だが、どうやら山が燃えたあとからずっと夜の店で働いていたとのこと。最初はそういうサービスもない夜の店だったのだが、店を変えて、サービスもどんどん過激になっていくにつれ、ランカーとなって指名される率も高くなったとのこと。


そんな彼女だが、その店をやめたとのこと。というのも彼女が最近、とある噂を耳にしたからだそう。昔の仲間が店を始めると言う話だ。実際確認したら本当だったそうで、辞めると数日前に切り出した。そして、昨日は彼女の最後の客として僕を接客したんだそう。きっとそうじゃなかったとしても…そう考えながら着いていくと、その噂の店の前に立っていた。


「ともくん!リーダー見つけた!」

「いらっしゃい。じゅんもお久しぶり。」

「あぁ…元気だったか?」


店に入ると木の温もりを感じる。ここは書店とカフェのハイブリッド…らしい。ともくんというのは昔の仲間のあだ名だ。本名は黄檗智行という。どうやら彼は山が燃えた後、自分から志願して地下で働いていたらしい。その時にこのアイデアを思いついたらしく、たまたま物件が空いたので入居したという。そんな彼も昔はともくんって言えるような見た目だったけど…今の雰囲気ではとも様だろうな…


「また僕たちで会えるとは思わなかったなぁ。」

「あの一件でみんな離れ離れになっちゃって…いつか会えればと思ってたけど…私なんかが会っていいのかなって…」

「みかん、前にも言ったけどあれは君のせいじゃない。もちろん、じゅんのせいでもない…僕、あのあと自分から動いて…地下で頑張ったんだよ…ここまで鍛えられた身体だけど、やっぱり性格は変わらない…昔と同じだよ。」


三者三様、みんな違う道を進んでいた。あの山が無くなって、集団である意味を無くしてからは別々に歩いたが、結局同じ場所で出会う。きっと他の仲間たちも出会えるのだろう。そう考えていると、この店の看板が目に見えた。


「虹の家…」

「ここならもしかしたら会えるかもしれないと思ってね…昔の名前を店名にしたんだ。名付け親のあいつも帰って来て欲しいなぁ…」


そうだ。僕たちは7人で1つだった。山の中で7色の未来を描いていた。まるで虹のように。だから虹の家と名付けた。名前もたまたま色があったから…とはいえ、今もみんなは生きているのかな。あれからもう何年経ったんだと…そう考えると少しだけ寂しく感じた。


「ところでみかん、じゅんとはどこで会ったの?」

「私が働いている店。指名された時はびっくりしたけど、あったらやっぱり変わらなくて。」

「ということは…そういうことか。ところで、なんでじゅんは働いている店を知ってたんだ?」

「…きっと黒崎さんが教えたんだよ。あの人…情報屋だから。今もあの件の真相を探しているんだと思う。」


あの日止まった時計の針は、少しずつ動き始めた。きっと、前を向く決心がついたからだろう。

きっと見つかる…その想いを胸に動き出すのだろう。

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