初めての仲間、初めての味
昨日の情報をもとに、僕は歓楽街に向かった。
朝になった。気がつけば外に出ていた。外に出てやることもないので、汚れ切った身体を洗うために銭湯に行った。朝からやってる銭湯を見つけたのでそこに入った。風呂に入る時、少しだけ寂しさを覚えた。昔は仲間の賑やかな声が聞こえ、鳥の囀りや木々の葉っぱが揺れる音が静かに聞こえていた。あの時代は良かった。
身体を石鹸で洗い湯船に浸かると、そこの先客のおじさんたちが何やら興味深い話をしていた。何も、とあるお店の話だ。
「おい聞いたか?最近あの店のあの子、結構いいらしいぞ。」
「あの店の!?おい…あの店最近できたばかりだろ…もしかして今日も行くのか?」
「今日は行かねぇよ。でも…あの子のサービスいいんだけどさ…」
気になる。その店もその子も気になる。風呂から上がって、待合室で牛乳を飲みながら調べていると、目的地の店はかなり近くにあった。そうだ、おじさんたちもそこの話をしていた。曇っていた気分は穏やかに晴れていた。開店はもう少し後なのでも歩いてファミレスで待つことにした。
頼んだものはすぐに来た。それらを食べてから店に向かった。店へ向かう足取りはいつも歓楽街に向かう時より数倍も軽い感じがした。
再び来てしまった吉原という街。扉を開ければ店の受付、写真が目の前にあった。誰にするのかと受付が喋ると情報屋が前に言っていた名前を告げた。すると受付はまるで仕事のような冷静さでその子を選び、僕に料金を告げた。僕はここで最初から80分の料金で払った。いつも50分のお客が多いからか受付は驚いたがお金を受け取るとすぐに待合室に通された。
この店は少し前に雨の中で客引きと喋っていた場所でもある。今度行くと言ってから数日ぶりだった。まさか本当に行くことになるともすぐに行くことになるとも思わなかったが、目的はたった一つだった。そう思うと待合室でなぜか燃えていた。
テレビに映るCMに欲情しかけていると受付が僕を呼んだ。嬢の準備は整ったようだ。僕の手を引いて部屋に案内する。靴を脱いで部屋に入ると、軽い世間話も抜きに早速僕を脱がしてサービスを始めた。もうすぐで放つのではないかと思っていたが、それを止められてシャワーを浴びる。しかし、この子はとてつもなく積極的である。なるほど、そりゃ銭湯にいたおじさんたちもサービスを褒めるわけだ。そのあとはシャワーでも湯船でも焦らされたが、耐えられず口で一発放った。その後別の場所で再び身体を攻められる。攻守変えようにもなかなか止めてくれない。興奮も治らないうちにベッドにダイブしてやっぱり攻められる。すると嬢が耳元で一言。
「ねぇ、じゅん君でしょ。ごめん、私会いたかったの。ねぇ、お願いだから今日は私のために最後までお願い。」
…間違いない。吐息混じりに話していた彼女は本物の仲間だ。しかし、攻める手は止まずとうとう本番に。つけるべきものも僕が相手だから付けずにそのまま始めた。彼女はかなり本気だったようだ。勢いも激しさも、声も身体もいつもと違かった。まるで僕と恋に落ちるよりも本気だった。
形勢逆転し僕が攻めれば彼女は甘い吐息を漏らし、それに反応するかのように2発目の愛を注いだ。終わるとこれ以上は何も出ないと告げるも、やっぱり攻められた。
この件は店長に話していたらしく、この日は結局120分コースに変わっていた。追加料金もないのにありえないと思っていたが、彼女はそれを絡めて攻めて僕から3発目の愛を盗んで行く。その後、彼女は積もる話をした。
「私も今家が無いの。もしよかったら今日は近くの公園に集まろうよ。今日は付き合ってくれてありがとう。」
帰るとき、少しだけ寂しさを覚えた。この気持ちはこういう店を出てから初めてだったがなんなのだろうか。近くの公園でしばらく放心状態だったが、彼女が隣に立っていた。
久々の再会だったが、彼女とは少しだけ切なく、少しだけ甘酸っぱい味がした。