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こかげの街の、不思議な情報屋

手紙を残して外に出た。ある情報屋に会うために。


朝10時、昨日こかげに言われた通りに目的地に到着すると待ち合わせ場所には怪しく微笑む黒い人影がいた。黒い人影は僕を見つけると手招きして案内をした。案内された先はただのファミレスだった。


「好きなものを頼みなさい。話しはそれからだ。」


言われるがまま僕は頼みたいだけ頼んだ。好きなものと言われたのでかなり頼んだ。ドリンクバーから飲み物を一杯取ったところで話を始めた。


「福間さんから話を聞いた。僕は情報屋の黒崎という。君が赤間君だね?」

「そうですね…どうして急に僕に用ができたのでしょうか?」

「君の仲間らしき人の情報を預かっている。」

「と、言いますと?」

「…さぁ、そこの巣篭もりでも食べながら聞きなさい…あ、マグロのユッケも…」


彼の話はこうだ。僕の仲間の1人がもしかしたら近くの歓楽街で働いているかもしれないとのこと。そしてその店もそういうサービスの店であり、彼女は本名で働いているとのこと。そういう店は基本的に源氏名を使うはずなのだが、その理由は調べてもわからなかったそうだ。その話をしている間にトリプルグリルとサラダうどんが到着した。黒崎さんが頼んだ日替わりランチが小さく見えるほどにだ。


黒崎さんは頼んだ量を見てお金の心配や体調の心配をした。しかし、僕は久々のファミレスだったこともあって浮かれていたのだろう。気がつけばめちゃくちゃ食べていた。食べまくって気がつけばいくら使ったのだろうか。全て黒崎さん持ちだったのが可哀想なぐらい食べてしまった。


それから歩いてベンチで世間話を少しだけ話し、時間が過ぎて黒崎さんと離れた。さぁ、明日は再び歓楽街で遊ぶとするか…そう思いコンビニのATMへ向かった。銀行口座はなぜか減らず未だに1億は残っていた。お金が減らないのは怖いことだ。しかし、今になって減らない理由がわかった。僕が山にいた頃はお金を使わなかった。みんなと野菜を作り、山にいる野うさぎを狩ったりと近くの釣り堀で釣ったりして自給自足な生活をしていた。あの頃は楽しい生活でみんなの仲が良かったと思う…その時に色々と稼いでいた。例えば地域の清掃をしたり、新聞を配達したり…あとは近くの小学校のバザールの手伝いました。だが僕は仲間と一緒に貯金をしていた。そして貯金箱にはいっぱいのお金があった。あの時までは。


あそこの山が燃えたあとはバラバラになったことは前にも話した。あのときにお金も居場所も全てなくなった。一緒にいるべき理由も無くなり、みんながバラバラになった。


だけど、実はその時、10年後の今日にまた会おうと約束をしたはずだ。しかし、10年後に覚えていたのは僕だけだったようだ。誰もいないあの山はあれから何もなっていなかった。枯れた山を見てどれだけ僕たちに傷をつけたのだろうか。


僕たちにとってはあの事件はショックだったのだろう。きっとみんなはこの中で裏切ったのを僕かもしれないと思っているだろうし逆に僕は誰かがを裏切ったのかもしれないと思っていた。そういうギスギスした雰囲気になったぐらいだ…だけど、僕はそんなことをしていない。むしろ守れなかったことを一生背負うべき罪だと考えているほどだ。だからみんなとまた会いたい。会ったらその時は謝りたい。謝って、許してほしい。この僕を…リーダーである僕を許してほしいと。それを言っていいのかはわからないのだが。


その日の夜、新しい夢を見た。あの時の楽しい夢だ。仲間と楽しく、一緒に狩りに行く光景が見えた。その時代に戻りたい。それなのに現実に帰ってくると戻れない…そうわかった途端に楽しかったはずの夢がとても悲しいものに変わった。そして、朝目が覚めると夢を忘れようと身体は自然に外に出ていた。

自然に外に出たからには…行く場所はもう決まっていた。

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