1話 ラバーキーホルダーとアクリルプレート
ついに買っちゃった……「長崎カナタの幸福 ランダムアクリルプレート」!!!!!「長崎カナタの幸福 ランダムラバーキーホルダー」!!!!!!!!
無理だよやばい買っちゃったよ、、、、金欠の中お金なんとか集めといてよかったぁ…!中学1年生の資金とか少ないに決まってるじゃん、少しは区分して欲しいなぁ……
あ、私は木陰佳子です。上から読んでも下から読んでもこかげかこ。見ての通りのオタクで、東空上中学校の1年生です。一応、生徒会で書記をやっていますが、誰もいなかったからあげただけなんで、正義感が強いとかそう言う人じゃないです、はい。学校では絶賛ぼっちしています、常にぼっちしてます、もう慣れました。
私は日常系漫画「長崎カナタの幸福」の「片山昴」推しです。主人公のひとつ上の先輩で、やんちゃで可愛いのが最っ高に推せます…!で、なけなしのお小遣いでランダムアクリルプレートとランダムラバーキーホルダーを買いました。今は夜中。夜は運気が上がるって昔から言うような気がするから夜、あけます!!!!ランダムなので推しが出てくるのは7分の1……来い、昴君!!!!!
「まずはラバーキーホルダー…………」
銀の袋を開けて反射した色を見てみると、昴君のイメージカラーである青ではなく、紫が見えた。それでも中身を出してみる。
「あー、、須川さんかぁ…」
出てきたのは予想通りイメージカラー紫の須川 廉。昴君の同級生で、爽やか系のイケメンキャラだ。確かに昴君と須川さんの絡みは尊いけど……
「アクリルプレート……」
アクリルプレートの銀の袋を開けると……
「よっしゃあああああ!!!!!!!!昴君来たぁぁああああああああ!!!!!!」
「うるさいわよ佳子!!静かにしなさい!」
「あ、ごめん…」
取り乱してお母さんに怒られたが、昴君GET!!!!よっしゃ、!!嬉しすぎる!!!!!!!!推しのことを迎えられる時こそ生を感じるよね、!!!!!!
「くっつけちゃお、」
キーホルダー2つをくっつけてみた。紫と青は相性がいい色だし、2人の絡みは尊い。アクリルプレートの方をラバーキーホルダーにくっつける。うん、いい感じ。
「あー、勉強しないと怒られるし、、ノートだけ見返しとこうかなぁ…でもやりたくないしなぁ……」
『別にやらなくてもバレないし、漫画に参考書のカバーつけて読んで勉強してるフリするかぁ…』
「あー、それいいかも…って誰、?」
『俺だよ、ほら、屋根の上…』
「え、屋根?」
椅子の上に登って床の上を見てみる。特に何もなさそうだが……どこから声がしているのか、正体不明の声に不安になる。
「え、、どこ…?」
そんな風に探しているとどこからか笑い声が聞こえてきた。
『ひっかかったな、そんな場所にいたら自分から言うはずないだろう…w』
「あ、机の上?!」
声のありかを探すと……さっきくっつけたラバーキーホルダーだった。ラバーキーホルダーが立っていた。私の常識ではラバーキーホルダーは立たない。
「す、すすすす、、、、が、わ、、さ、、ん?」
『おい、信じられない超常現象が起きて驚くのは分かるが、説明できないから固まらないでくれ』
「……………脅かしたのはそちらでしょう?!」
『あれはちょっとした冗談だ、』
「………………こっちからしたら冗談じゃないんですよ、」
『まあ、俺の説明をしよう。なぜか命の宿ったラバーキーホルダーだ。』
「説明になってないです…」
『で、お前の名前は?』
「…名乗るならまず自分からでしょう、?」
『俺の名前が分からないんだ、仕方ないだろう。流石にそんな事すらも分からない馬鹿ではない。』
「………えーっと、、、木陰佳子です…」
『佳子か、、俺の名前に関して知っていることはないか?』
「…えーっと、、その、、須川 廉じゃ、ないんですか…?」
『須川?聞いたことのない名前だな……それが俺の名前なのか?』
「……あー、その、、あなたの、ラバーキーホルダーのキャラクターの名前が、須川 廉って言うんです……」
『じゃあ俺の名前は、廉…なのか?』
「名前が分からないならそれでいいんじゃないでしょうか……」
『そうか……俺は廉と言うのか、まあしばらくはお前の世話になるな。お前、一人暮らしか?』
「いや、私中学生です……」
『中学生か、じゃあお前学校に通っているな?』
「まあ、はい……」
『お前の学校は鞄にストラップつけてもいいのか?』
「まあ、、、大丈夫ですね、」
『俺を学校に連れて行け』
唐突にとんでもないことを言われた。ラバーキーホルダーをドブに捨てろって言うの、?
「……はい?」
『俺は退屈が嫌いだ、部屋で一生一人など洒落にならん。童共の学校でも多少は退屈しのぎになるだろう。』
「童共って……てか、連れて行けませんよ、!なけなしのお小遣いで買ったラバーキーホルダーとアクリルプレートですから…」
『いいから連れて行け、減るものではないだろ、それにアクリルプレートだけ外して行けばいいだろう。お前の部屋を見る限り、アクリルプレートのキャラクターのポスターが多いからどうせ俺の宿っているラバーキーホルダーが目当てじゃないんだろう?』
「結構鋭いですね……」
『ほら、俺をカバンにつけろ。』
「えー、、、まあ、いいですよ………」
とりあえずアクリルプレートを外してラバーキーホルダーを鞄につけた。学校に持って行ったら本当に何が起きるか分からないから、本当は家で厳重に保管しておきたかったけれど……この人?に逆らうのも面倒な気がする。
「つけましたよ……なんか言ったらどうですか?あれ、、?」
聞こえていたはずの声が全く聞こえなくなった。もしかして、アクリルプレートがないと喋ることができないのでは?と仮定し、アクリルプレートをつけてみた。すると、
『……まさかアクリルプレートが必須だと思わなかったな、』
「そうですね…"また"私のこと騙したんですね?」
きっと分かってて言ったのだろう。さっきもからかってきたし、信用してはいけないのかもしれない。それにしてもずる賢くて漫画の須川さんと真逆の性格をしているこの人を、須川廉って呼ぶのはなんだか気が引ける。
『いや、今回は俺も知らなかったんだ…』
「あと、お前って呼ばないでもらえます?名乗ったでしょう?佳子です。」
『じゃあ俺も言わせてくれ、佳子、敬語は要らん。』
「じゃあそっちが聞いてくれたし……分かった。あと君の名前考えたよ。」
『廉、じゃないのか?』
「いや、君はミニすが。」
いい名前が思いつかなかったので、"ラバーキーホルダーの須川廉モドキの人"を略してミニすがにした。いい感じにダサい。我ながら完璧だ。
『ミニ……すが、?』
「漫画の須川 廉はそんな捻くれてないし人を騙したりしないから!」
『言ったなお前……まあいい、俺はミニすがだな。』
「そう、ミニすが。」
『分かった…』
「あとミニすがのことはできるだけ秘密ね」
『まあ、騒ぎになると面倒だからな。それが妥当だろう。』
「ミニすがってずる賢いね。」
『頭脳明晰と言え。』
「小賢しい」
『佳子お前覚えてろよ…』
「その体じゃ何もできないでしょ?」
『それもそうだな…』
「こっちこそあまりにウザかったらアクリルプレート取るからね」
ずる賢さで言ったら負けるけど、力で言えば断然私の方が強い。流石に力で私に勝つことはできないと悟ったのだろう。
『……善処する。』
と渋い声で帰ってきた。
「絶対やらないね。」
『…そう言えば、今日は何曜日だ?』
「今日?日曜だけど…」
『じゃあ明日は平日か、学校に連れて行けよ、佳子。』
「分かってるって……壊れたら弁償ね」
軽く冗談を混ぜてみた。どんは反応をするのだろうか。
『壊れたら恐らく俺は死んでるんだが…』
正当な返事が返ってきた。おそらく地頭が良いのだろう、なんだか未知の生物と関わっている気分だ。
「まあ、今は夜中だからそろそろ寝ないとね。」
『もう寝るのか、』
「今1時だけど?」
『いや、随分早いな。学生だからか?』
「至って妥当だから、おやすみ。」
かなり不思議な日常が始まったような気がしながら、眠りについたのでした。