ぼっちの始まり #2
やたら数の多い魔物達だった.......。
今日でもう半月。ずいぶんと手こずらせてくれた。
やっと、城前の要塞の制圧をすることができた。残りはもう、大魔王の居座るあの城に、生き残ったわれわれが突入していくだけだ。
100万の規模を誇った我が軍勢も、残りはあと数万ほど。
ずいぶんやられてしまった。
しかし、ここで止まるわけにはいかない。止まって良いはずもない。
今回の魔王城襲撃は、王都の全勢力をこれでもか!と費やした、本気も本気の大遠征だ。
今までに、何回の勇者を派遣しただろうか。
何回の軍勢を用意して、送り込ませただろうか。
そのたびに、帰らぬ者を重ねつづけてしまった......
大魔王は“強い”。
およそ1000年前。
この世界を支配するべく、かの地に城を築き、魔物を生み出し続けてきた。
人類は、圧倒的な力と魔力を前に、なすすべもなく蹂躙される運命をたどる。
幾多の街や国が、魔物達によって占領され、幾多の土地が戦場と化してしまう。
度重ねた戦いの末、やっと魔王城にまで手を伸ばすことができたのは、ほんの10年前のこと。
そこから、大魔王討伐というものにも希望が見え始めた。
だが、魔王城周辺は今までと比べものにならない過酷さであった。
そもそもの魔物達が強いし、周辺の土地は強大な魔力に侵され、人間が生存できるようなものではなくなっていた。そのため、一回の遠征にかかる諸国の負担も大きかった。
そのため、勇者御一行による討伐委託やら、各国の冒険者たちへの集団クエスト募集など、極めて小規模なアプローチを続けていた。
......それもあくまで、「今回の一回」のため。
約一ヶ月前に、わたしを含む王都騎士団が招集にかけられ、「魔王城襲撃」の勅令を受けた。
ーー今回の遠征に全てをかけて、あの大魔王を、なんとしてでも仕留めるのだ!!
集められるだけの兵を集めた。持ち込めるだけの武器を持ち込んだ。
見せつけてやるのだ、人類がもつ“力の限り”を。
われわれは、ともに固く誓ったのであった。