なんでそーなる 2
コメント、ありがとうございます
とても励みになります。
これからも楽しんでもらえるように
頑張ります
いやいやないでしょう?
今から後宮の客間とか…
実質、陛下の客人、もしくはお気に入り、信用された人、の括りになるでしょう?
ない、ないわ。
子供の私が、どこまでどんな反応をされるかわからないけど、安定したスローライフが崩れる可能性がある。
私の望みは現状維持、これ以外はないわ。
「陛下、折角ですがやはり離れの方へ下がらせてください。私に後宮の客間は贅沢かと。子供には分不相応ですわ」
「子供は自分の事を子供と言わないと思うが」
陛下の言葉に私の横で管理番が『うんうん』と頷いている。
商人が私に言う口癖だから同意してしまうのだろう。
余計なお世話だ(疲れていて口が悪い)私は子供だ。9歳だ。文句あるか
「陛下。私は9歳です。先日私はプレゼントをいただきましたが、お忘れですか?」
「普通なら9歳は子供だな。」
「そうですよ。子供ですよ」
ありがとう。同意してくれて。努力が実った気がする。
「そうは言っても、普通の9歳は、私に交渉を持ちかけたりはしないがな・・」
「・・・普通は個人の基準で変わるものだと思いますが・・・」
この台詞、誰かからも言われた気がする。特に商人から・・・
子供らしくないとしても私は自分のスローライフを優先させてもらいます。
咳ばらいをして周囲の気を引く
「離れに帰って良いですよね?」
だんだん取り繕えなくなっているのが自分でもわかる。
アイスクリームは一度冷やさないと固まらない、頭の中でも同様らしい。
「客間はそんなに嫌か?泊まりたがる人間は多いのだが・・・」
「この国に宿泊施設を持ってない人ならそうでしょう。しかし私は幸いに離れが有ります。寝る場所が有るのに別の場所を使わせて頂くわけには・・・他の方にもうしわけがありません」
訳:やっかみを買いたくないからこのままで
「客間を誰に使わせようと私の自由だ。姫がいちいち気にすることではない。心配しなくてもよい」
訳:嫁候補をアピールしておきたいからね
「陛下は気にされなくても他の方は気にされると思いますわ」
訳:分かってて言ってますよね? 陛下は気にしなくても貴族の皆さんは思いっきり気にしますよ?
私の平和な生活を守ってくださらないと?
「そうか・・・面倒だな・・・」
訳:執拗な貴族は面倒だからな・・その気持ちは分からないでも無い
「ご理解いただいてありがとうございます。ですので、離れに帰らせていただきますね?」
「仕方ないな・・」
「ありがとうございます。子供の我が儘とお笑いください」
この言葉に陛下は苦笑いだ。
「子供の我が儘か・・・」
「はい。なれた場所でないと安心できない。子供の習性です。理屈の分からない子供は、陛下のご厚意も理解できないのです。申し訳ありません」
「そうか・・」
「はい」
「離れの方は近いうちに何とかしよう」
「ありがとうございます。その言葉だけで十分です。それでは失礼させていただきます。」
「ああ、そうすると良い」
「はい、失礼します」
私はもう一度辞去の言葉を述べると礼を取る。
「では、私も失礼します」
管理番も私に倣い辞去の言葉を述べた。
宰相もそれに頷き、二人して陛下の部屋を出る。
「終わった。終わったわ。」
私は床に膝を突きたいのを我慢しながら歩き出した。管理番も隣で歩き出す。
侍女達の横領に始まり陛下との交渉。その後の嫁発言から後宮の客間使用案件。
短い時間にあった内容としては濃い内容だ。
この内容で陛下を相手に頑張った。自分でもよくやったと思う。
離れでの生活を勝ち取ることが出来たのだから。
本来ならスキップでもしながら離れに帰りたい気持ちがあったが、立場上我慢しなければならないし、疲労感が強くて、それだけの元気がない。
しかし、私も面倒な立場だ人目を気にしていろんな事を我慢しなければならなし、周囲への配慮を忘れてはいけない。
つらつらと考えながら歩いていると管理番が言い出した。
「姫様。何度もヒヤヒヤしましたよ。陛下にあんなことを言うなんて。何事もなくてよかったです」
「大丈夫よ。陛下はあんなことで怒るような方ではないわ。」
「そうでしょうけど・・・」
管理番は不安そうだ。
「心配ないわよ。これで今までと変わらない生活が送れるわ。一安心、といったところかしらね」
管理番に安心させるように笑いかける。
「姫様・・」
「心配かけたわ。管理番」
「はい。本当に心配しました。」
管理番もだんだんと言葉に遠慮が無くなって来ている。良いことだ。
「ありがとう。心配してくれて。お詫びに明日のお昼は管理番の好きな物を作るわ」
「本当ですか?」
私の発言に管理番が喜びの声を上げる。
「ええ、なんでも良いわよ」
「何にしようかな・・」
私の確約に管理番は嬉しそうな顔になり検討を始める。
「姫様は、普段そのような話し方をされるのですね」
第三者の声が聞こえる。
聞き覚えのある声だ。嫌な予感を覚えながら首を動かす。自分の首から錆た機械の音が聞こえそうな程だ。声の方角を見たくない。
管理番と二人、歩くことも忘れてその人物を確認する。
私を連れて来てくれた騎士さんだった・・・
やっぱり・・・いたの?





