決着の落としどころ
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「姫の言う有益性は理解した。だが私も一度決めたことを簡単に覆すのもな…」
陛下はニヤッと人の悪い笑顔を見せる。
嫌味や嫌がらせ、と言うよりは悪戯をして楽しむ子供のような笑顔だ。
何かを企んでる?それとも楽しんでる?
どっちだろう…
多分、これは楽しんでる気がする
私を見ながらニヤッとして目が楽しそうにキラキラしている。どこかの少女マンガから出てきたちょい悪オヤジのような印象…
どうしようか…
ここまで言っておけば後は陛下の問題だし、それ以上は私が関わらなくても良い気がする。
でも、後味悪いよね〜
管理番や商人が法律の成立をあんなに喜んでたし、私にも一生懸命話をしていたから…
多分、『国の印象を悪くしたくない』っていう思いもあったんだろうけど、本当に法律の成立が、貴族との不平等の解消が嬉しかったんだと思う。
管理番達のことを思うとこのままにするのは後味が悪いな…
「陛下、どうなさるのですか?」
とりあえずは探りから、乗ってくれれば良いけど…
「どうしようか?姫の提案も捨てがたいかな…」
あくまでも言質は取らせてくれないらしい…
「…」
「…」
私と陛下は探り合う。本来なら立場の強い陛下は私に気を使う必要はない。しかし、今回は私に分がある。
先程も言われたが私は被害者だ。
私が強く出ても陛下は何も言えない、でも後のことを考えると私も強くは出れない。
なにせ私の国は小さい… 何かあったとき、この件が遺恨を残してはならないのだ。
おかしいな〜
陛下に有利な提案をした筈なのに。なんで陛下に遊ばれてるんだろう…
口にしたことは最後まで責任持てってこと?
「陛下。裁判、してくださいますか?」
子供の特権、ちょっと可愛く言ってみた。 小首を傾げておねだりのポーズも取ってみる。(前の私には絶対にできない技だ)
「さっきも言ったと思うがな… 」
同じことは何度も口にはしない、って事ですか…
子供らしいのも通用しないらしい…
仕方ないな… フッと息を吐く
「陛下、私が被害者なのは認めてくださいますか?」
「勿論だ。姫は最大の被害者だ。間違いない」
こんな事で断言されても嬉しくはないが認めてくれたので良しとしよう。
「では、陛下。被害者の私のお願いを聞いてくださいませんか? この者たちの裁判をお願いいたします」
スカートをつまみこの国の淑女の礼をする。
陛下は自分で仕掛けてきたくせに、笑っていた顔を真顔に戻していた。
私がここまでするとは思っていなかったのかな。
「陛下?」
私は念押しをする
今度は陛下が息を吐いた。
「わかった。姫の希望は聞き入れる。この者たちは裁判にかける。約束しよう」
私は陛下から裁判の確約を取り付けた。思わずガッツポーズをしたくなる。できないけど
「連れて行きなさい」
裁判が決定したので宰相が扉の前にいた騎士さんたちに連行を命じていた。
侍女や金庫番が連れて行かれる。
何となく空気が緩み、肩の力を抜くことができた。
そんな時思ってもない事を宰相から言われる
「姫様は優しいのですね。ですが、その優しさはあまり良くないと思いますよ?」
「優しい?私がですか?」
宰相に聞き返すと、宰相の横にいた騎士さん(私を迎えに来てくれた)も頷いている。
私はキョトンと目を開く。
「私のどこが優しいのですか?」
「えっ?」





