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「そうでしたね。姫様は学校に通うことができない、外に出ることが難しい、お金がない。と言われていたのでしたね。確かにこれこそが姫様の困っていることと言って良いでしょう。」

「そうだな。そうなると姫のキッチンが欲しいというのも何か関係が有りそうだな?」

陛下が宰相の考えに追加をしている。

「姫?キッチンが欲しかった理由は?普通の姫は料理をしないものだ。」


ここまで退路を塞がれると正直に話した方が良さそうだ。

ご飯が美味しくないから自分で作っていたとは言いたくなかったけど仕方がない。


「実は・・食事が美味しくなくて・・それなら自分で作った方が良いかと思いまして・・・」

「食事が美味しくなかったのですか?」

「まあ、食事は好みなので・・単に私の好みと合わなかっただけかと・・」


陛下と宰相は沈黙をした。それに合わせ部屋の中は静まり返る。

「鉄格子の件といい他にもいろいろしてくれたものだ。罪状は膨れ上がるばかりだな・・」

蔑むように侍女長と金庫番を見る。待って、この人たちはいろいろやらかしているけど・・ご飯が美味しくないのは、この人たちにどうにかできることではないと思うけど・・


「陛下、外出の件と食事の件に関しては厨房と騎士団に確認する方が早いのではないでしょうか?」

陛下と宰相は迷う様子がない。罪状の確定のために証拠集めをしていく。


本来ならこの二人がこんな事をすることはないはずだ。

初めに気がついたとしても後は必要な担当に任せるだけで良いはずだ。

話が大きくなって行く。


私は話が大きくなって行くことが怖くなって来ていた。国の最高権力者が二人も関わっていて、事は大きくなって行くばかりだ。

こんな大きな話に、犯罪に自分が関わる事なんて前の生活も含めて、今までなかった。


どうしよう・・怖い、私何でこんなことになってるの?

スローライフを望んでいただけなのに。


呼吸が浅くなる。自分が緊張しているのが感じられた。


「姫様、どうなさいました?」

管理番が私の様子がおかしいのに気が付きそのまま私の側まで来てくれた。

膝をつき私の顔を覗き込む。


「管理番。どうしよう・・・」

「姫様?」

「私、こんなこと経験したことないし、話はどんどん大きくなって行くし。どうしたらいいの?わかんないよ・・」

泣きたくなってきた。


取り繕う余裕もない私は口調も何時ものものに戻っていた。

管理番は私に視線を合わせたまま穏やかに口を開く。

「大丈夫ですよ、姫様。陛下と宰相閣下にお任せください。姫様にとって一番良い道を選んでくださいます。何の心配も要りませんよ。ご安心ください。」

「本当?」

私は管理番を見る。管理番は大きく頷くと請け負ってくれた。

陛下の方を見る。陛下も大きく頷いて同意を示してくれた。


私はその姿を見て安心する。

よかった・・・


それと同時に恥ずかしくなってしまった。


どうしよう。慣れないことでばかりで動揺してしまった。いくら外見が子供だからって・・・やっぱり外見に引きずられるのかな ・・・恥ずかしい。穴があったら埋まりたい・・・


「失礼しました。申し訳ありません。」

他にもいろいろ言うべき事があるのだろうが恥ずかしすぎて言葉が出てこなかった・・・


「いえいえ、大丈夫ですよ姫様。年相応です。なんか安心しました。初めて子供らしい一面を見た気がします。」

「管理番、嬉しそうね」

「はい。今度、商人に自慢します」

管理番はニコニコしている。

自慢?何のために?と言うか、私の子供っぽいところを見たからか?

私と商人を見ていると『商人同士の会話にしか見えない』とよく言っていたから、余計にそう思うのかも知れない。


「仲が良いのですね」

宰相が笑いを抑えながら見ている。


私と管理番は焦った。私はこのなれない状況で陛下達のことを忘れていたし、管理番は私が動揺しているのを見て、落ち着かせることを優先してくれたのだろう。

私はなんの問題もないが管理番は不敬罪に問われないだろうか?


宰相はそのことには触れず陛下に提案する。


「陛下。これ以上は・・・」

「そうだな。私も失念していた。子供の前でする事ではなかったな。場を改めることとしよう」

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人質生活から始めるスローライフ2
― 新着の感想 ―
[一言] >「陛下、外出の件と食事の件に関しては厨房と騎士団に確認する方が早いのではないでしょうか?」 この部分を書籍版で読み直して思ったのですが。 ここで厨房に事情聴取があったことで、料理人たちに姫…
[一言] 姫の国として 姫個人として 得たものは大きいのでは? 部下も監督できない無能 他国の王族への侮辱 全てを隠蔽するための 口止め料は高くつきそう(笑) 子供(?)相手でなければ 切った首…
[一言] 食文化に自信ありそうなのにあの食事がこの国で高級に属する部類だと思われていたと知ったらすごいことになりそう。
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