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真相 5

「どういう事だと聞いているんだ?返事をしろ。その口は飾りか?」

侍女長も金庫番も口を開くことができない。


それは私もだった。

私は被害者なのだが、陛下の余りの怒りに、私までもが犯罪者になったような気持ちになる。


「陛下、抑えてください。姫様が驚いております」

宰相がもう一度諌めてくれた。やっと私の方に意識を向け、表情を和らげる。


「姫、済まなかった。怖がらせてしまったな」

「い、いえ。私のために言ってくださっているのですから…大丈夫です」

(めちゃくちゃ怖いけど…)

口角を無理やり上げて笑顔をつくる。

ぎこちないのは見逃してほしい。むしろ逃げなかった自分を褒めたい。


陛下は私をみながらもう一度詫びの言葉を口にした。

「いろいろ不安にさせすまないな、姫の良いようにしよう。約束する」

「陛下お気持ちだけで・・・こちらに来てからの事が、陛下のお考えでないことがはっきりすれば、私としては安心なので。気になさらないでくださいませ。」


あえてゆっくりとした口調で返事をすると陛下も穏やかに微笑む。

一瞬だけ空気が緩んだ。


「で、どちらから言い出したことなのだ。それにこれだけのことをしたのだ。他にも何かしでかしているのだろう?」


緩んだ空気はすぐに融けてしまう。

この人たちには余罪があるのだろうか?これ以上の。

ここまですれば、これ以上の事は思い浮かばないが・・・


「陛下。このもの達に聞くよりも生活上で困っていたことを姫様に聞く方が早いのでは?」

「それはそうだな。姫。普段困っていることは何かな?」


宰相からの提案に陛下は乗ってきた。


私は困ってしまった。

確かに不便な事は多かったが困るということ程のものはないような・・・


「姫様?」

なかなか話を始めない私に宰相が促して来る。

犯罪者をかばう気持ちはないが浮かんで来ない。


「申し訳ない事です。犯罪者をかばう気持ちはないのですが、気になっていたことがすっきりすると、他のことは些細なことに思えてきてしまって・・・」

「姫様は我慢強い方なのですね」

宰相から感心したような、呆れたような感じで言われた。


「そんなことは・・・」

その様子を見ていた陛下が違う方向へ話しを向ける。

「管理番、そなたならわかるのではないか?」


「わたくしですか?」

突然話し掛けられた管理番は驚いていた。

少し足が浮いていたのをしっかりと見てしまった。


「わたくしは姫様が不便に感じられていることは聞いたことが・・・」

聞いたことはないと言おうとしたのだろうが、その言葉が途切れてしまう。

私、管理番に『困ってる』って愚痴ったことはないと思ったけど・・・

管理番や商人が来るときは楽しく過ごしたいので、変なことは言ってないはずだけど・・


「何か思い当たるか?」

「はい。」

「???」

管理番が頷くが私にはわからない。

「かまわぬ。申してみよ」

陛下から許可が下りる。そう言われても踏みきれないのか管理番が私を見た。

私が不愉快な思いをしないか気にしてくれたのだろう。

私は安心させるつもりで管理番に笑顔で促した。


「ありがとう。管理番、お願いするわ。さっき言ったことは本当よ。かばうつもりはないのだけど、思い浮かばなくて・・・あなたがわかるのならお願いしたいわ。頼める?」

「わたくしでよろしければ」

管理番は私に礼をすると陛下の方へ向き直り話しはじめた。


「先ほど話をさせて頂いたことが姫様が困っていることになると思うのですが?」

「さっきの・・」

宰相は何かを思いだしたらしい

「なるほど・・確かにそうですね」


「さっきのこと?」

私だけだ、理解できないのは・・

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