真相 2
「何か言ったらどうだ?」
陛下の重々しい声が響く。私はその声を聞きながら侍女長を見る。彼女は口を開かない。
このままでは時間が過ぎるだけで意味がないだろう。
私は被害者だが部外者でもある。この国の人間ではないからだ。下手なことを口にすれば陛下の不興を買うだろう。
「私は何もしてません」
「ほう、そなたではないと…では、誰だ?姫の名前で申請書を出していたのは離れの者だと言うぞ。それとも金庫番、そなたの話が嘘なのか?」
「いいえ、とんでもございません。誓って嘘は申しておりません。申請された金額をお支払いしています。」
「おかしいですね。直接払うのですか?普通は管理番に言って仕入れてもらうはずですが?」
宰相からの横やりが入る。
馬脚を露したらしい。
矛盾がはっきりしたようだ。
自分でも不手際に気がついたのか金庫番の顔も青くなる。
「どうやらネズミは多いらしい」
陛下は不愉快そうに付け加える。
侍女長と金庫番は、真っ青だ。無理もない、陛下が直接問いただしているのだ。後から何を言っても覆らないだろう。賄賂も効かないだろうし。
「そなたたちの他は誰が協力者だ?他にもいるのだろう?」
どうやら多人数なのは決定事項らしい。
処罰はどうなるのかな?
陛下が勝手に処罰を決めたりしないよね?
裁判にかけないとまずいと思うけど…
私は第三者的な立場を良い事に傍観者を決め込む。
「そうですか。自分たちの口から話せば罪は軽くなるかもしれませんよ?」
宰相の甘言が部屋に響く。
だがそれに答える事もできないようだ。
「金庫番どうなのですか?あなたが直接払っていたと言いましたが…」
「申し訳ありません。誤解を受けるような話し方でした。払っていた先は管理番になります。」
「ほう?管理番に払っていたと?」
「そうです。仕入れ値を管理番に払っていました。帳簿にも記載しています」
「そうか。管理番そなたに払ったそうだぞ。」
「いいえ、陛下。私は一切支払いを受けていません。品格維持費があることすら知らなかったのですから。私の帳簿には仕入先も仕入れ値も記載はありません」
カーテンの後ろから管理番が出てきて証言する。
「いいことを教えてあげましょうね。」
宰相が嬉しそうな微笑みを見せる。
対照的に侍女長と金庫番は顔色が青から白くなっていく。
「姫様の品格維持費が払われていないのを教えてくれたのは管理番ですよ」
「違います。違うのです」
金庫番がうわ言のように繰り返し呟く。瞳は宙を見ており何かを映しているようには見えない。
大丈夫なのかしら金庫番、様子が変だけど…
「違います陛下。信じてください。私は騙されたんです」
「誰に騙されたと言うのだ?」
「そこの女に騙されたんです」
侍女長はいきなり自分を指さされ身を引く。
それと同時に叫びだした
「何を言うのです。騙したのはあなたでしょう?金庫番、嘘をつかないで頂戴」
侍女長も叫び返す。
罪人の見苦しい押し付け合い、なすりつけが始まった。





