表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/353

回想 2

私が勢いと共に自分が行くと話していると、父や宰相達は黙っていた。

理屈で考えると私が言うことは正しいのはわかっていても、素直に頷くことができないのだろう。

返事もできずに私を見ている父達を私は見つめ返し、逆に聞き返す。 


「では、誰に行ってもらうのですか?」

父達からは話し合っていると、と返ってきた。

私はため息が出た。どれだけ話し合おうとも、結論は変わらないし、返答が遅ければ大国を怒らせてしまう。そんなことは避けなければならないのに。


「どれだけ話し合っても同じではないですか?兄や弟は論外。姉様は縁談が来ていると聞いています。それとも、従兄弟達にお願いするのですか?その辺はあちら側が了承しないと思いますが?」

「…」

父達からは返事がない。

私は額に手を付きもう一度ため息をつく

「もう一度、言います。私が行きます。私しかいないのです。王位継承権がない。周辺国との関係性も私にはまだありません。弟はまだ生まれたばかり。留学という名目には合いません。言葉は悪いですが、従兄弟達と私が行くのではあちら側の印象が違います。言ってはなんですが私は父の娘ですので… それに、これは私が言い出したこと。強要されて行くわけではないのです」

「…」

返事はない、私は言葉を変えることにした。

「言い方を変えます。私はあの国に興味があります。かの国で勉強をしてみたいです。ですから、留学させてください。お願いします」


私は笑顔で言いきった。

父が私を見つめ返す。

「本当に行きたいのか?一人で行くことになるのだぞ。良いのか?」

「はい、私に行かせてください。お願いします。かの国に行ってみたいのです」


私はスカートの裾を摘み淑女の礼をする。

「解った。あちらにはそなたが行くことを伝えよう」

渋い顔をしながら父が決断を下す。宰相達がざわめいたが父が宰相達を黙らせた。

一瞬で場が静かになる。

「ありがとうございます」

私は笑みを崩すことなく頷いて見せた。


この会議の半年後私は大国へ旅立つ事となる。


あの会議の後はバタバタしたなぁ

大国の方へ私が行くことを伝え、あちらからの了承の返事をもらい。

荷物の用意、護衛の選定、旅程の確認、私の住む場所の用意をしてもらったり。

1番残念だったのは、6歳の私に通える学校が無かったこと… 

正確には女性の通える学校は無かったのよね… 

計算外だった…

しかし留学が名目だったのに学校に通えないって、意味ないよね…

留学自体は名目だったから人質が来れば問題なかったのかな…


「学校は男の人しか通えないって、なんでかな~、もしかして、他国の女性は通えない、とか?」

この離れから出られない私は事実を確認する方法はない

そう、学校に通えない私はこの離れから出られない事になる。


「まぁ、わからないことを考えても仕方がないけど」

私はもう一度呟いた。


こちらに着いてからはお約束の流れだ。 


こちらの陛下に挨拶をし、学校に通えないことを伝えられ、せっかく来たからゆっくりしていけと、表向きの誘いを受ける。

その後はこの離れの逗留をとなり、後はそのまま2年が過ぎる、となる。


最低限の話をするだけの侍女や衛兵がいるだけで、特に揉め事もなく穏やかに過ぎていく。

これはこれで悪くはない。

スローライフを望む私としてからはウエルカムな流れだ。

出来るなら、もう少し自由が欲しい。

庭や図書室、街に気軽に出かけたい。

護衛が付くことは諦めるから、少し自由に出られたら嬉しいな…

もしくは、挨拶と必要事項以外の、世間話が出来る相手が欲しいな…


「どうにかならないかな…」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★書籍版公式ページはこちら!! 書籍、電子書籍と共に3月10日発売予定!

人質生活から始めるスローライフ2
― 新着の感想 ―
[気になる点] 異世界(≒地球の異文化)の食べ物ディス 男にしか継承権がない世界 うーむ… [一言] 向こうからしたら王位継承権を持たない人物が来たって何の意味もないし、文面に条件を入れてなかったた…
[気になる点] 学校通えないことは事前に分かりそうだし、庶民の家庭事情じゃあるまいし従兄弟が了承するかは関係ない気がした。
[気になる点] 「本当に行きたいのか?一人で行くことになるのだぞ。良いのか?」 王女が他国に行くのに、侍女の一人も付けないの?反対に恥じゃないのと、思う。また、付けさせてもらえないのなら、大国と言っ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ