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吉報

誤字報告、コメント、ありがとうございます

楽しんで頂けるように頑張ります


「姫様、管理番からご機嫌伺いをしたい、との希望があります」 

「管理番から?」

「はい。それと先日面会に来た男性も一緒のようです」 

「そうなの?」

「如何なさいますか?」  

「会うわ。」

迷う必要はない。即答する。


私は管理番たちにダイニングへ来てもらうことにした。勿論、侍女はいい顔をしない。だが、面倒なのでそこは見ないふりをした。


私は自炊を日常とする事ができた。そのため一日の大半をキッチンで過ごしている。 


初めてこのキッチンを見たときは、ダイニングキッチンで嬉しかった。なんて立派なものを造ってくれたのだろう…って、喜んで、感謝していた。なんて贅沢なものをと思っていた私がいた。


しかし、人間は慣れるものだ…慣れるのだ。

一日の大半をキッチンで過ごすと、リビングが欲しくなってしまった。ここでくつろげたら良いのに…リビングがあれば過ごしやすいのに…と


贅沢を思ってはいけないとわかっている、解っているのに… つい、考えてしまう。ここがリビングダイニングなら…

私はここで生活できるのに…なんて…

贅沢な自分を反省しながら管理番達を待つ。


キッチンだけで良かったのに…なんて思っていた私は何処かへ行ってしまったようだ。


「突然、お伺いしましたことを、お詫び申し上げます」

私の前に管理番と商人がいる。

つい数日前の再現を見ているようだった。


「良いのよ。管理番。私はいつでも時間があるもの。商人も仕事は大丈夫なの?」

私は一人ずつ声をかける。

時間のある私は、会いに来てくれるのなら何時でも誰でもウエルカムだ。いや、ウエルカムなのは好意的な人だけとしておこう。


「寛大なお言葉をありがとうございます」

二人は顔を上げずにいた。


何で顔を上げないの?私が上げるように言わなきゃだめなのかな?

でも以前に、『ざっくばらん』をお願いしたのに効力は消えてしまったのだろうか?

確認しておこう…


「ねぇ、前の話は無効なの?」 

「姫様…まだ続いているんですか?」

管理番が『まさか』という声音だ。

「私としては継続事項だったんだけど… 毎回言わなきゃ駄目?」

管理番が驚いて顔を跳ね上げる。

この様子だと前回切りのつもりだったようだ。

横の商人は『やっぱり』といった様子

ちゃんと言っておかないと毎回この繰り返しになりそうだ。


この二人とは今後も顔を合わせる機会は増えるだろう。曖昧にせず、きちんと決めておこう。

「私達以外に誰かいたり、人前以外では前のままで良いわ。『ざっくばらん』でお願いね」

「よろしいのですか?」 

『まさか』と言った様子の管理番。

落ち着かない様子なので念を押しておく。

「管理番。もう一度言っておくわ。人前では困るけど、私達3人のときなら『ざっくばらん』で良いわ。堅苦しいのは嫌いなの。私からのお願いよ。いいわね?」

「… 畏まりました」

管理番は躊躇いがちだが商人は安心した様子だ。


「言ったろう?管理番。姫様は前のままで良いと言われると。」


『言わんこっちゃない』と言いたげな商人だ。

私は二人の様子を見て楽しんでしまう。仲の良いことは良いことだ。

私は笑いながら二人を見ていると、商人が私の方を見て笑みを深くした。


「姫様。本日はお礼に伺いました。早くお伝えしたくて、予定よりも早いのは分かっていたのですが、管理番に頼み込んで今日、この場を作ってもらったのです。」

「お礼?」

「はい。先日のアイデアのお礼です」

商人は自信たっぷりだ。

この様子では実演販売は上手く行ったようだ。

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