意外な展開 3
「姫様?」
黙り込んでしまった私に商人が恐る恐る声を掛けてくる。
「いえ、ね。どう話をしたものかと… 考えてしまったの。驚かせてしまったわね。ごめんなさい。」
「そんな事はないのですが…」
商人自身もどう話を進めて良いのか躊躇っているようだ。私の態度が予想外だったのだろう。予定が変わって『決めかねている』というのはその事だと思っている。
「まず、はっきりさせておくわね。あなたが私から使用方法を教えてもらいたいと、思った事は何とも思ってないわ。むしろ、当然だと思うの。知っている人から情報を取る。当然のことだわ」
商人がはっきり答えを出さなかった事を、決め打ちして話を進めた。商人から否定の言葉はない。
返事を曖昧にして無かったことにしたいらしい…
「そんなに警戒しなくて良いわ。答えを口にしないで私の勘違いを訂正できなかった、って事にしたいのだろうけど、この場には私とあなたしかいないのよ?」
「姫様…」
商人はさっきから『姫様』以外の言葉を発していない気がする…
「もしかして、私と話をする気がない?さっきから姫様、以外の言葉をあんまり聞いてない気がするのだけど…」
商人は唇を湿らせ覚悟を決めたようだ
「ざっくばらんに、と仰ったのは変わってませんか?」
「私はそのまま話してるつもりだけど、変わった?」
「いえ、確認です」
「変らないわ、あなたの思うままに話してちょうだい。」
喉を鳴らすのが見えた。
「正直に申し上げます。」
頷いて先を促すと、そのまま続けられる。
「管理番から話があったとき、姫様が大豆商品をご存知だとは半信半疑でした。醤油や味噌でしたか?あの品を見て嬉しそうにされた方を初めて見ます。私も仕入先から使い方を聞いていますが、さほど美味くはありません。商品を持て余しているのも本当です。先程、言われたように、姫様から使用方法を教えて頂けたら嬉しいのですが、それには理由があります。この品を広めたいのです。ですが使い方が少なく、上手に使えない。人に教えられないため広まらないのです。ですから…」
「私が知っていたら教えてほしい。ということね。だからこれだけの物を持ってきた。もしかしたら、あなたの所にあるすべての種類を持って来たのかしら?」
後を引き取って確認する。
商人は頷いて肯定した。
私と商人は良い関係を作れそうだ。
嬉しくなり商人に微笑みかけた。





