始まった生活
今日も今日とて終わりのない生活が始まる。
選択肢の少ない中で、消去法でやる事を決めていく。
そうでなければ、する事を決められないという方が正しいだろう。
食事のあと侍女が本を持ってきてくれた。
お礼を言って受け取る。
彼女は頭を下げ部屋から出ていった。
部屋の中にいるときは侍女たちは出ていく。
私を見張る必要がないからだ。
出口は庭に通じる大きな窓と、部屋の出入り口だけ。
庭が大きいと言うのもあるが、庭の先は森になっており、私みたいな小さな子供ではすぐに迷子になってしまうほどの森だ。
そして、護衛と称した見張りの騎士が窓の外には二人おり、部屋の前には待機部屋があり、用事があればと、侍女がこちらも2人控えている。
つまり、8歳の子供のために大人が四人控えている、ということになる。
人質の王女、しかも8歳になんともご苦労なことだ。
人件費がもったいないなぁ〜
なんて思うのは、前の生活が庶民だからだろう。
私はつらつらとそんな事を考えながら本を開く。
この本は薬草の本だ。
この世界では娯楽が少ない。
前の生活ほど機械も電気もない。
ついでに魔法もない。
ファンタジーが好きだった私からしたらがっかりだ 残念でならない。
「魔法を見てキャーってしたかったのになぁ」
誰もいないことを良い事に私は呟いた。