意外な展開 2
「管理番、少し商人と話をするわ、出ていてくれる? ドアは開けておいて頂戴。体裁があるからね。」
「しかし…」
渋々と後ろ髪を引かれるように、振り向きながら出て行く管理番。『問題ないから』と説き伏せ、ドアの外へ出す。余裕の笑顔の私と渋い表情の管理番は対照的だ。
ダイニングは広い、ドアを開けていても会話まで聞こえることはないだろう。
「あんなに分かりやすいと心配になるわね。でも、あなたにはちょうど良いのかしら?交渉もしやすいでしょう?」
「姫様… 私は騙すような事はしませんよ? 取り引きは誠実さが大事です」
「なるほどね…確かにそうだわ。でも、これは、取り引きではないでしょう?あなたの私物を見せに来ただけだもの、違う?」
「そうなんですが…」
商人も渋い顔になった。
私と話していると渋い顔になるのだろうか?この国に来てから話す相手が少なかったので心配になってしまう。
「困らせてる?」
商人に聞いてみた。私はそんなつもりは無いが、人によってはそうでもない事がある。
聞かれても困るのか眉は下がったままの商人は下を向き何かを諦めたようだ。
「困るというか、予想外というか、姫様を相手にどうすれば良いのか…決めかねています。そんな感じでしょうか…」
「そうね…いくつかはっきりさせましょうか?その方がやりやすいかも」
「どういう意味でしょうか?」
「そのままの意味よ」
商人とは良い関係を作りたいと思っている。
この国での私の立場は大したことはない。『姫』と呼ばれていても実際は何の力もない。陛下の許可が無ければ何もできないのだから。
ここで話を上手くまとめておかなければ、商品を取り寄せてもらえるかどうかも不明な状態だ。
『貸一つ』とは言っても冗談の範疇だし、大きな事を望むのは間違いだろう。
誰が相手でも対人関係は良好にしておくに限るのだから。
話をどうまとめて行くか、頭の中でまとめ始めていた。





