意外な展開
「しかし姫様、姫様はどのように食材を使われるのですか?」
「あなたはどう使っているの?」
質問に質問で返すと商人は私物を見回す。
「仕入先から教えてもらった方法ですよ。食材に塗ったり、保存食を作ったり。そんな感じです」
「それだけ?それなのにこんなに種類を揃えてるの? すごいわね」
「味が違ったり、出来上がりが違うので面白くて揃えてたら、こんなふうになりまして…」
恥ずかしそうに頬を指で掻いている。
納得できた。使ってはいるが余っているものも多く、持て余している様子。そんなところに管理番からの問い合わせ…
これ幸いと持ってきて。チャンスがあれば新しい使用法も聞きたい。そんなところだろう…
でなければこれほど多くの食材を持ち込んだりはしないだろう。
「そういうことね」
「姫様?」
「使わないものも多い。持て余してて、新しい使い方を教えてもらえたら良いなぁ~って感じ? 当たってる?」
「姫様」
管理番の慌てたような声が横から聞こえる。
焦っているのか庇うように言い募った。
「姫様、誤解でございます。商人は姫様にはそのような失礼な事はしません。そうだろう?」
最後の言葉は商人に向けたものだ。
私は自然と笑い声が出る。
それを聞いてさらに焦ったのか、管理番は商人の優しさだと言い募っていく。
「姫様。商人は私が商品の有無を確認したときに、親切から私物を持ち込んでみようか?と言ってくれたのです。姫様のお役にたてればと… 国元から一人でおいでの姫様です。退屈が少しでも紛れればと… ですから姫様が仰るような事は…」
「そうなの?でも、大丈夫よ。管理番。別に怒っている訳ではないわ。商人の考えを確認したかっただけよ。」
「ですが…」
「で、どうなの?管理番がこんなに言ってくれたら、あなたも返事はしにくいでしょうけど。私はあなたの考えを確認したいわ」
私は商人も会話に引き入れる。自分は最後に良いとこだけ取るつもりだろうが、そんなことをさせる気はない。
それでは庇った管理番が気の毒だしね。
「これは困りました」
「でしょうね」
商人の正直な感想に同意をする。私からはこんな事を言われるとは思わなかっただろうし、庇われたので下手に否定すると管理番の信頼を無くしてしまう。
さて、どうするのか…
私は楽しくなって茶目っ気たっぷりに商人に視線を流す。
目は口ほどに物を言う。と、前の生活では有名な言葉だ。
(どうする?)
商人も返してきた。
(勘弁してください)
のようだ。
耐え切れずクスクスと口許から出ていた。
「困ってる?」
「ええ、とても」
「助けて欲しい?」
「ぜひ、お願いします」
意外に正直だった。
「意外ですか?」
「ええ、もう少し粘るかと思ってた」
「素直にお願いしますよ。助けてください」
商人の眉が下がっている。そして、管理番は一人、私たちの会話についていけないようだった。
私と商人の間を言ったり来たりと視線が定まらない。
「良いわ。助けてあげる。でも、貸しが一つよ?良い?」
「承知いたしました。ぜひお願いします」
商人が頭を下げる。
管理番のおかげで思っていたより話が上手く進みそうだ。





