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やっぱり、この展開

私はその言葉と同時に一番手前にあった壷を手に取った。

躊躇うことなく蓋を開ける。そこには予想していた物があった。


味噌だ。私の好みでないが黒味噌だった。


私が手近な壷を開けたのは理由がある。味噌特有の匂いがしていたのだ。

キッチンの中には醤油、味噌などの独特の匂いが漂っているから間違いようがない。


味噌を確認した私は商人にも確認する。


「ねぇ、これは私が探していた味噌なんだけど、違う名前で認知されているのかしら?」

「味噌?これが、ですか?」

「そうよ、匂いで直ぐに分かったわ。醤油の匂いもするからあると思うんだけど。」 


私はそう話しながら別な瓶の蓋を開ける。

間違いない。これは醤油だ。


お約束の展開だわ~

ラノベの世界って御都合主義って思っていたけど、やっぱりこうなるんだね…

食の世界は使う材料で発展していくから、大豆が発展すれば同じようになるのかな…

なんか、納得…

 

私は醤油の瓶を手に持ちながら少し遠い目をしてしまった。


「姫様、手にお持ちの物は醤油、でございますか?お探しの物でお間違いございませんか?」

「ええ、間違いないわ」

「そうですか…」


商人は呆然としながら私を見ている。


「どうしたの?」

「いえ、もしやと思っていましたが、お探しのものがそれだとは… 驚いているのです」

「なぜ?もしかしたらって思っていたのでしょう?」

「そうですが… 先ほどもお話ししましたが、この国では大豆商品を知る方はいらっしゃらなかったので…」

「そう…残念ね、こんなに良いものなのに…」


私は目の前にある荷物を見回した。


これだけの品揃えを誰も知らないなんて、…

本当に勿体ない…

その時ふっと、気がついたことがあった。


「ねぇ、誰も知らない、ということは『売れない』ということよね?それなのに、これだけの物を揃えていたの? 全部、在庫になっちゃうのに良かったの?」

「姫様にはかないませんね… 9歳と聞いていましたが、本当に9歳ですか?」

「子供に見えない?」

「いえ、とても可愛らしい姫様に見えます」


商人は苦笑いをしながら私を見ていた。 

だから見返しながらはっきりと告げる。


「そうでしょう? 私は立派な子供よ」

「姫様。申し訳ないのですが、子供は自分を子供とは言いませんよ」


いつか聞いた台詞を商人から言われてしまった。

おかしいな、私は立派な子供なのに…

 


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人質生活から始めるスローライフ2
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