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三度 交渉  2

「現物を持ってきているの?手ぶらみたいだけど?」

私は先程の『ざっくばらん』を定置させるため口調を崩す。


「ございます。離れに直接持ち込むのはどうかと思い。許可をいただけたら見ていただけるよう用意してございます」

「そうだったのね。分かったわ。全部見せて」

前のめりになり、私は食いついた。

その様子に商人が若干引き気味になる。


「かっ、畏まりました。直ぐに持ってこさせます」


商人はそう言うとドアを開け、外にいる誰かに話し掛けているようだ。 


「誰かいるの?」

「商店の者が二人おります。荷物を運び込むのに一人では無理ですから」

管理番の一言でかなりの量を持ち込んだのが分かった。キッチンに大勢入れるわけにはいかないから、ドアの前に待機させていた感じなのだろう。


「姫様。荷物を運び入れても?」

「ええ、お願い」


許可を出すと、観音開きのドアを大きく開け放つ。その間を商店の者だろう。男性が二人荷物をどんどん運び入れてくる。


ダイニングの床にカーペットが敷かれた。

その上に重ならないよう注意しながら荷物が置かれてゆく。

その光景をワクワクしながら見つめていた。


かなりの種類がある。

もしかしたら、やっぱり名前が違うだけで、私の望んだものがあるかもしれない。気が早いのはわかっていたが、手近な物から開けたくて仕方がなかった。


我慢我慢。いくらざっくばらんに、と言っても勝手に開けるのは良くないわ。


私は目を閉じながら、修行僧の気持ちで我慢する。


『お待たせいたしました。姫様、よろしければ手にとってご覧ください。その都度わたくしの方から説明をさせていただきます。』


私はその言葉で目を開く。

待ち望んでいた時間が来たようだ。

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人質生活から始めるスローライフ2
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