三度 交渉
「ざっくばらん、ですか?姫様?」
「そうよ?駄目かしら? あなたの話し方は必要な事だと解っているけど、周りくどすぎて… ちょっと面倒なのよね。侍女は控えの間にいるから、ここにはあなた達と私しかいないじゃない?だから気楽に行きたいわ。どうかな?」
私の提案を二人はポカンとした顔で聞いているので、二人の前で手をヒラヒラと振り
「聞いてる?」
「はい。聞いています。」
「良かったわ、で、どうかな?私も気楽に喋るから。話しやすくしようよ」
提案の証明、とばかりに私は話し方を変えていく。
「姫様がよろしいのなら。」
「私からお願いしてるのよ。助かるわ」
私はホッと一息ついた。
これで話がスムーズに進みそうだ。
「で、話は戻るけど醤油はあるの?味噌とか豆腐とかどうかな?ある?」
「豆腐?味噌?申しわけありません。勉強不足で、そのような物の取り扱いは…」
「そうなの?残念だわ。もしかしたら私が知っている名前と違うかもしれないけど…」
「とりあえずは、液状の調味料と粘土状の調味料を見ていただけたらと思っております。必要によっては大豆そのものもご覧いただけたらと… 如何でしょうか?」
「ぜひ、お願いしたいわ。今日、あるのかしら?」
「はい、ございます。昨日、管理番から話を伺っていたので本日持参いたしました。」
「嬉しいわ。見せて」
「はい。お持ちいたしますので」
「ありがとう」
やはりざっくばらんに話して正解のようだ。
話がスムーズに進む。
私は期待に胸を膨らませて待つことにした。





