表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/354

新しい習慣 2

「おはよう、今日からよろしくね」

誰もいないキッチンに話しかける。他の人が見たら痛い人間だがここには誰もいない。

それに、今日からここは私の城だご機嫌に話しかけたくもなるというもの。


私はさっそくパントリーからお米を出す。


どうしようか迷ったが朝食はお粥にすることにした。パンを仕込む時間はなかったし。発酵時間を考えるとかなり早く起きないといけなくなる。

時間を考慮して『朝粥』に決めたのだ。


私は生米を鍋に入れ。弱火でコンロにかける。

その間にトッピングを作ることにした。


今のところ梅干し、のり、わさび、漬物は見つからない。無いのかあるのかもわからない。

代わりに魚を保冷庫で見つけていたので、白身魚を焼くことにする。 ほぐして簡単フレークだ。

後は卵を温泉卵にして添えることにする。

お粥の味付けは塩のみになる。


出汁を作ってないし、流石にスープストックでお粥は食べたくない。食べれないわけではないが、どちらかと言うとリゾット、っていう感じになってしまうので塩味だけにする。

私が食べたいのはあくまでも『お粥』なのだ。


「しかし、材料でないものが多いなぁ、もともと無いのか、私のところに持って来てないのか区別がつかない…」


材料は発注形式でも大丈夫だと思うけど、何があるのか知りたい、でないと、ないものを自分でどうにかする必要がある。


「困ったなぁ、厨房には入れてもらえないだろうし、こんなのありますかって聞くか? でも、どうして知ってるのかって聞かれたら困るしねえ〜。それか、厨房の人に来てもらって今置いてあるものの説明をしてもらうか…」


私はお粥を混ぜながらブツブツ呟いていた。

まるで童話の魔女が鍋をかき回してあるようだ、と自分で、思っている間にお粥が出来上がる。


「よし、かんせい〜」

そう声を上げながら鍋ごとダイニングに運ぶ。

お粥の前に出来上がっていた、温泉卵と魚フレークを並べる。

お茶が無いのが残念だが『朝粥セット』の完成である。


「ん〜 朝から幸せ〜、これよこれ」

お粥に息を吹きかけながらハフハフして食べすすめる。

途中、トッピングの魚フレークを載せ、味わう。

最後は温泉卵をお粥に入れる。

お粥の中で黄身をわり、トロッとした部分を掬いながら食べていく。

幸せの時間だ。


厨房にどう発注するか、どう問い合わせるかとかも考えていたのだが、その事もすっかり忘れお粥を堪能していた。

何もかも忘れていた私は食後のお茶(紅茶)を飲みながらシミジミと思った。


美味しいご飯は何者にも勝る


完敗である。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★書籍版公式ページはこちら!! 書籍、電子書籍と共に3月10日発売予定!

人質生活から始めるスローライフ2
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ