何事もチャレンジしてみよう
いつも読んでいただいてありがとうございます。
今回は少しわかりにくいので、補足です。
昼食会は商人の話の終了後の行われています。
隊長さんの話は昼食会終了後、管理番と商人が帰ってから話をしています。
姫様は寝るまに楽しかった昼食会を思い出してニヤニヤしている感じです。
分かりにくくて申し訳ありません。
暇つぶしに楽しんで頂けてら嬉しいです。
私は隊長さんが帰った後、久しぶりの昼食会の事を思い出していた。
私はトリオが来る前に昼食会の準備を始めていた。今回は皆の協力もあって、ジャムの件も無事に終了している事は令嬢の話で分かっている。私の心配は商人が嫌な思いをしていないか、その一点のみだ。なので売れ行き、というか販売は上手くいくと思っているので、今日はそのお祝いも兼ねたいと思う。祝杯? ではないけど皆で楽しむ方法を考えた。隊長さんや商人が料理をすることを楽しんでくれているので、皆で料理をして楽しみながら昼食会を開催したいと思ったのだ。料理をしない管理番にも料理が楽しいという事を楽しんでもらえたらいいなと思っている。
と言う訳で私は餃子の皮を作っている。そして皮の生地を寝かしている間に餡を作る予定だ。本来なら餃子の餡を作るのは大変な作業だ。コロッケと同様にミンチがないからだ。だが、今の私にはミンチは大変な作業ではなくなっている。なぜなら、私には強い味方、厨房の皆さんと見習い君が付いているからだ。ミンチを作る作業は厨房に依頼し、キャベツ(キャベツはもともとあった)等のみじん切りは見習い君にお願いするのだ。そうする事で私は出来あがったミンチと野菜のみじん切りを受けることが出来るという寸法だ。協力者が多いという事はなんとありがたい事なのか。
ありがたや~ 合掌。
私は皮の生地を先に作っておいたので、ミンチや野菜のみじん切りを受け取り、次は餃子の餡を作り餡を寝かす。その間に今度は寝かせていた皮の方を作っていく。そうして出来上がった餡と皮を保存しておく。この作業さえ終わっていれば私の計画は完璧だ。
出来上がった事に満足していると、トリオが揃い商人への心配が払しょくされる。ジャムの話も無事に終了したので、ついでに商人から入学に必要な学用品を購入する。これも品格維持費から支払われるそうだ。ありがたい限りだ。もう一つ、私のインセンティブについて、今までは管理番と商人が預かっていてくれたのだが、離宮に移ってからは隊長さんと筆頭が預かってくれていたそうだ。
隊長さん曰く離宮に引っ越しをしたときに話をしてくれていたらしい。そこはサッパリと聞き逃していた。離宮の中の豪華さと陛下からの依頼が衝撃過ぎて耳に入ってこなかったと言うのが正解かもしれない。
何はともあれ、隊長さんの話ではその金額はかなり貯まっているらしい。欲しいものがあれば何でも言ってください、と自信たっぷりに教えてくれた。
そうは言われても私は欲しいものはそんなにないので困ってしまう。現在、食材は厨房から届けられるし、調味料に関しては商人から納品される。調味料の商品代は私へのインセンティブから支払われている。直接的な現金の交換は行われていないが、実質利益が出ている状態だ。
私の所でお金が貯まっている事は良くないのだけど、まあ、世間様にご迷惑をおかけするほどの金額ではないだろうから気にしないことにしよう。何か個人的に欲しいものはお願いする事にしよう。
兎にも角にも、これで心置きなく昼食会を始めることが出来る。
私は安心と共に今日のメニューを発表する。
「皆さん、今日は餃子パーティーをします」
「「「餃子パーティー?」」」
「そうです」
私は自分が食べたい餃子なので満面の笑みで餃子について説明をする。皆は初めて聞く料理にキョトンとしているが、商人は新しい料理に貪欲なので自分なりの解釈でまとめていた。
「肉と野菜のみじん切りを団子状にして小麦粉で生地を作って包むという事ですか?」
「そうね。大まかに言うとそういう感じだわ」
私は思う事はあったが難しい事を言うとややこしいので、商人の言葉を肯定する。作っていけば理解できるだろう。百聞は一見に如かず、という事だ。
そして餃子を全員で包むことを提案する。慣れない人には難しいが、何事も初めての事は上手くいかないものだ。経験する事で上手になっていくものだ。というコメントも付け加えつつ提案する。
私の予想では隊長さんと商人は乗り気になるが、管理番がしり込みをするだろう。穏やかで優しい管理番だが、彼は意外に完璧主義? というか失敗を恐れる傾向にある。出来なさそうな事は手を出さないのだ。その予想は外さなかった。
「姫様。そのお肉の団子を包むと言うのは難しいのではないですか? 私には難しいと思うのですが?」
「大丈夫よ。初めは難しいと思うけど何回か包めば直ぐに慣れるわ。それに自分たちが食べるものだもの、失敗したっていいじゃない?」
「失敗しても良いのですか?」
「勿論よ。失敗するから上手になるのよ。失敗は成功の母よ」
私は笑顔で管理番に断言する。私の言葉にも心配そうだが、包むのは嫌だとは言わなかった。無理やりさせている気もするが、ここはチャレンジ精神を覚えてもらおうと思う。という訳で私は管理番にスプーンを渡す。
管理番はいつもの私と違うので戸惑っている様子がある。いつもなら嫌がる事はさせない私が、このまま作業に進むからだ。だが、ここは引くつもりはない。管理番にも料理の楽しさを知って欲しいのだ。これを試してみても嫌だったら次からは無理強いをさせるつもりはない。
「やってみましょう? 駄目なら次からは無理に参加する事はないわ」
「わかりました。下手だとは思いますが頑張ってみます」
管理番は決死の表情で言うので、やっぱり無理をさせたのだろうかと少し心配になってしまう。
管理番、料理はそんなに緊張しながらするものではないわ。
一緒に楽しみましょう。そう伝えながら全員で餃子の包みをスタートさせる。