表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/354

その日がやってきた。

いよいよデビュー編の始まりです。

私の中では流れが決まっているので、このまま進んでいく予定です。

 皆さんの期待に応えられたら、と思っています。


いつも誤字報告ありがとうございます。

私事で恐縮なのですが、今週末まで予定が詰まっていて

誤字の修正が出来ない状態になります。


いつもなら気が付いたときにその都度行うのですが、今回はその余裕がなさそうです。

申し訳ないのですが、余裕が出来た時に対応させていただきます。

忘れているわけではないので、ご了承ください。

よろしくお願いいたします。

 私は今。緊張感がマックスだ。

 移動中の馬車には私と護衛の隊長さん、付き添いの筆頭さん夫妻が同乗している。

 今は会場に向けて進んでいるところだ。今日のデビューに関しては学校側が主催だけど、貴族も多く通う事から、王室も協力していて合同主催と言う形になるそうだ。

 そのため場所は王室の方で用意する事になっていて、貴族以外の人たちは滅多に入れない宮殿内に入れる日を楽しみにしていると聞いている。まあ、宮殿内と言っても離宮のように本宮とは別な場所にあるので、敷地内に入れるだけでも楽しみにしている、という事なのだろう。滅多に入れないところに入れるのは楽しみだと思う。私の感覚で行けば工場見学を楽しみにしているようなものだろうな、と考え気を紛らわせてると会場の入り口に着いていた。


 今夜は主賓は新入生全員、と言う形になるそうだが実際はそうではない。やはり身分に合わせた順番はそれなりにあるそうで。上級生は先に入場していて新入生を迎えてくれるらしい。

 私はその説明を聞きながら落ち着かない、が目の前には筆頭さん夫妻がいる。あまり落ち着かない行動をしていると筆頭さんの株を下げてしまうので、表面上は冷静を取り繕っているが、どこまで成功しているかは不明だ。内心の不安と冷汗を宥めていたが努力が実を結んでいるとは思えなかった。

 永遠に着かなければいいのに、と思うも現実は無情で、馬車のドアが開かれる。

 

 私は馬車を降りる前に自分の身だしなみを簡単に確認する。侍女さん達が時間をかけて用意してくれているので、なんの問題もないと思うけど最終確認は必要だろう。

 目につく範囲で自分のドレスを見回していると、筆頭さんが穏やかな声で口角を上げつつ話しかけてくれていた。


 「姫様。身だしなみは大丈夫です。そのドレス、お似合いですわ」

 「ありがとう」

 私はその声を聞いて安心して、最大に入れると恥ずかしいので小さく気合を入れる。私のその様子を微笑ましそうにご夫君が見ていたそうだが、私は気が付いていなかった。


 隊長さんが最初に降りて、その次に筆頭さん夫妻がタラップを踏む。

 今夜の主賓にあたる私は当然、最後となる。これは安全確認を兼ねて最後と念を押されていた。

 

 帰りたい、今も未練がましくそう思いながらタラップに足を掛ける。いつもなら隊長さんのエスコートだが、今日に限っては付き添い役のご夫君になる。

 差し出された手に手を預けゆっくりと、上品に見えるように気を付けながら地面に立った。

 なにせ付け焼刃のマナー。授業で合格はもらっているものの気位は庶民だ。気を付けておかないと、どこでボロが出るか分からない。ここで失敗すれば、マナーの講師として名を馳せている筆頭さんの地位は地に落ちるだろう。それは遠慮したい。私は慎重に行動しているので、上品に見えるはず、と言い聞かせている。


 にこやかな笑顔を顔面に張り付けながら、私は会場入りした。最初に目に入ったのは会場内の色とりどりのドレスの、華やかな色合いに目を奪われる。筆頭さんがドレスの色を落ち着いた色合いです、と言っていた言葉を思い出し、それが事実である事を認識する。


 会場内は華やかだった。色の洪水と呼ぶべきだろう。誰もが目立ちたいと思うのか、せっかくのデビューだから可愛いものをと思うのか理由は不明だが、レースとボレロとリボンがひしめいていた。その色合いを見ながら、私は逆に自分が目立つことに気が付いた。

 これって地味すぎて逆に目立つ? そう思いもするがあの華やかさを着る気にはなれなくて、諦観の思いでこの数時間を乗り切ることにしようと決めていた。

 私は紺一色のドレスでリボンも同色、靴はヒールが少しあって、どちらかと言えばミュールに近い感じになっている。靴の色だけはツートンになっていて、つま先とヒール部分だけが白に近いクリーム色だ。この部分だけが唯一、差し色と言えると思う。ヒールがあまり高くないのが救いだ。あんまり高いとフラフラして転ぶ自信があるし、足が疲れてしまう。終了まで時間は長くないとは聞いてはいるが、立っている時間はそれなりにあるはずなので無理はしたくない。

 私は始まる前から早く終わって欲しいと思っていた。

 隣に立っているご夫君はがっしりとした体つきで、安心感があった事に何となく救われている。正式な場なので軍服かと思っていたら、この方は文官なのだそうだ。かなり予想外の事で驚いてしまう。その関係で普通なフォーマルな服装だけど、どこから見ても軍人にしか見えない。隣の筆頭さんは私と同じ紺のドレスだ。ツインコーデではないけど、私の関係者であることは一目でわかる。シックな感じで、大人の女性、って感じがする。私の後ろに立つ隊長さんは今日は護衛なので、軍服の正装だ。いつもの制服に身分証みたいな徽章が付いて、マントも付けている。私たちの中では一番華やかで目立っている気がする。そして周囲の女性の視線を集めていた。

 ぜひ、このまま視線を集めて頂きたい。


 私が入って来るのが最後だったので、違う意味で私も視線を集めているがそこは気にしない事にした。

 大広間? に人が集まっている。ここは座席はなく全員が立っていて、私はやや上座より。人目が集まりやすい場所に案内されていた。席がないのは、全員が平等、と言う意味があるそうだ。建前はそうなっているのでそこを強調したいらしい。実際は違っていても。

 そして上級生から簡単な挨拶があって始まるそうだ。

 

 そうしていると上級生が中央に立ち挨拶を始める。

 いよいよ始まりだ。


お知らせです。


ツギクルブックスさんのHP 【ツギクル】にファミマプリントがあります。

その中に人質生活の外伝が2本あります。

興味のある方は覗いていただけたら嬉しいです。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
★書籍版公式ページはこちら!! 書籍、電子書籍と共に3月10日発売予定!

人質生活から始めるスローライフ2
― 新着の感想 ―
[一言] この主人公は十年も王女の立場でありながらどうしていつまでも庶民気分なのだろう 現代日本での転生物好きだった大人の記憶があるならもっと王女然とした精神と振る舞いを心がけできると思う 話はおもし…
[一言] とっっても面白かったです!! ここ数日、1話から夢中で読んでしまいました! ありがとうございます‼︎
[気になる点] もし万が一靴が取れて落としてしまっても、有名な童話の展開なら、靴を拾うのはあの殿下の役回りなんで、ダンスで靴を踏んずけても靴は落とさないようにくれぐれも気をつけてくださいね。 隊長さん…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ