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キッチン 2

私の頭の中はパニックを起こしているらしい

どーしてこうなった? がグルグルしている。

しかし、過ぎたことを考えても仕方がない。目の前には出来上がったキッチンがあるし、作ってくれた陛下がいる。

ここで、お礼を言えない人間は駄目な部類だろう。


「改めまして、ありがとうございます。陛下。申し訳ありません。予想外の事と立派すぎるキッチンに驚きすぎてしまったようです。」

裾をつまみ、礼をしながら感謝の言葉を述べる。


「そうか、姫でも驚く事があるのだな。気に入ってくれたのなら良かった」

陛下が笑顔を見せる。


私でも驚く?どういう事?

ちょっと不思議な言葉があったがそこは気にしないことにした。

このキッチンに集中する。

なにせ、前の生活では夢にまで見たシステムキッチンだ。それが目の前にある。テンションが上がらないわけがない。


「気に入らない筈はありません。オーブンもあるし、水道も一緒にある、憧れのカウンターキッチンだし。ダイニングテーブルも大きいし、アイランドキッチンとはいかないけど、別に小さな作業台もあるし、料理をする人でこれを喜ばない筈がない。」


私はキッチンを振り返りながら力説する

「水道? アイランドキッチン? カウンターキッチン? 姫?」

私は陛下の呟きを聞き逃さなかった。

あ、興奮してやらかした。

こっちには(今の世界には)水道とか、アイランドキッチンとか言葉がなかったんだった…



やらかした私は思わず陛下を振り返り、ちょっと見つめ合ってしまう。

私は苦笑いしか、出てこない。


無言の陛下と見つめ合う

これは何度目だろう…

それだけ、私がやらかした証拠だ。


「水道とは?アイランドキッチンとは何かな?」

陛下は苦笑いの私を見逃してくれる気はないようだ、しっかりと追及がくる。


私はニッコリと笑った

陛下が虚を突かれたように驚いていた。

笑いかけられるとは思っていなかったのだろう。


「申し訳ありませんわ陛下。陛下がご存知の筈はありません。私が思いついた言葉ですの。」

「姫が?」

「ええ、だって水の道にしか見えませんでしょう?」

私は水道を指し示しながら言い切った。

私が指した水の道はゆっくりと静かに流れている。

「なるほど、確かにな」

陛下は納得してくれたようなので、ホッとできると思ったらまだ早かったようだ。

「では、アイランドキッチンとは?また、姫の作った言葉なのかな?」

「ええ、そうです」

私は微笑みを絶やさぬように気をつけながら頷く。陛下から作ったと言われたので、そこに全力で乗っかる事にした。


「なるほど、姫が造った言葉か… どんな意味があるのかな?」

「ありませんわ、何となく出てきた言葉ですもの、自分でもわかりません」


私ははっきり、きっぱりと言いきった。

ここで下手に誤魔化すと後が面倒になる。

そして、私はいろいろと襤褸を出しているので安全策を取りたい。  

その結果、『ありません』に行き着いた。 


「そうかな?私の勘だが何かありそうな気がするが…」 

陛下の追及の手は止むことがない。しかし、ここで負けるわけにはいかない。

一つ失敗すると次々と襤褸が出ることが考えられる。

私は嘘をつくとばれるが、今回は嘘はついていない。本当の事を言っていないだけだ。

なぜなら、アイランドはこの大陸の言葉ではない。というとは、私が考えた、といっても過言ではないだろう。 これは詭弁だが私はそれで自分に納得をさせた。

でなければ私の言葉は陛下には見破られるだろう。


なので私は造語と否定する。あまり強調しすぎても疑われるのでほどほどが肝心だ。

私はニコニコしながら

「そうですか?そんなことはないんですけどね」

穏やかに言いきった。

陛下は疑わしいと思っているようだがそれ以上の追求はなかった。

ただ、思わぬ方向から話がきた。

 

「で、姫。このキッチンで何を作るのかな? 私は何が出来るか楽しみにしているのだが」

「えっ?」

 

どういう意味?

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