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エイプリルフール小話

いつもコメントありがとうございます。

エイプリルフールの小話を書いてみました。

本編とは関係のないお話です。

本編が緊張状態なので、この話は気軽に読んでいただけたら嬉しいです。


明日は4月1日

私の前いた世界ではエイプリルフールだ。嘘をついても良い日となっている。もちろんこちらの世界ではそんな事はない。


しかーし、いたずらをしたいと思う気持ちがないとは言えない。基本的に私はいたずらをするのが大好きなのである。それを加味すると何かをしたい、と思う人情は許していただきたい。


だが、エイプリルフールという概念がない以上私の行為はただのいたずら、しかも【姫】という肩書のついた人物のいたずら、である。他の人からしたら質の悪い事にしか思えないだろう。そう考えると、何をしたら笑い話になるか考えないといけない。人を困らせるのは本意ではないのだ。


わたしは昼食の下ごしらえを始めながら考える。しかし、これが意外と思いつかない。

私の発想が貧相だからだろう。どうしたら人に迷惑を掛けず、笑い話になるいたずらがあるだろうか?

ゆっくり考えてみよう。


① 料理をすることを辞めると言う ⇒ 筆頭さんが喜ぶ図しか考えられない。冗談だと言っても、辞めさせられる今後しか想像できない。却下だ。


② 国に帰りたいと騒いでみる ⇒帰りたい気持ちはあるが、騒ぐほどあるかと言えばそうでもない。これをすると管理番を始め、隊長さんや筆頭さんが眉をㇵの字にして困る姿しか想像できない。それは申し訳ない気がする。


③ ちょっと美味しくないご飯を作って管理番たちに出す ⇒ 考えてはみたがこれは私の主義に反する。材料に申し訳ないし、提供するなら美味しく食べてもらいたい。喜んでもらって、わたしも嬉しいのだから。これも却下。


④ 仮病を使う → お腹が痛いと言ってみる。これはいけるかもしれない。お腹が痛いのは自分にしか分からないし。寝てれば平気と言えばお医者さんも呼ばれない気がする。 いいかも。これは候補にしよう。

と思ったけど、体調不良で嘘をつくのは良くない。人に心配をかけるのはどうかと思うので却下。


⑤ 思いつかない。 想像力が足りないのか。これ以上は思いつかない。


どうしようか。諦めるか。

悩んでいるうちに当日が来てしまった。これはどうしようもない。


「おはようございます。姫様。今日も良いお天気ですよ」

「おはよう。それは良かったわ。今日も気持ちよく過ごせそうね」

私は侍女の一人に世話をされながら朝の身支度をする。


私のエイプリルフールのスタートだ。

今日は管理番たちが来る日でもあるので、ランチに何を作ろうか決めかねているところだ。

昼食のメニューを考えながら午前中を過ごしていると、良い事を思いついた。

これならだれも傷つかないし、笑い話になる気がする。

私は一つの計画を思いつくと実行する事にした。


「みんな。いらっしゃい。よく来てくれたわね」

私はトリオをダイニングへ案内しながら。声を掛けていく。

メインの食材は希望を聞くが、基本的には私が作りたいものを作る事になっている。管理番と隊長さんは料理に詳しくないし、商人は新しい料理を知りたがるので希望はない。私は気ままに好きなものを作りたいので、何となくこんな感じが定着したのだ。


因みに、今日は鶏肉を希望されている。

なので、始めは炊き込みご飯を作ろうと思っていたのだが、急遽カオマンガイに変更する事にした。正式な方法で作るのは私の記憶にないので、簡単カオマンガイだ。私の料理方法はあくまでも家庭料理なので、鶏肉と一緒に炊き込む方法で作っていた。そのせいか、それ以外の方法を覚えていない。パクチーはこちらにはないが、似たような香草はある。しかーし、私があまり好きではないので、ネギで代用。別皿にして好きな人は自分で載せてもらう事にする。私が苦手だからとはいえ、他の人に強要する気はない。

そしてニマニマしながら今日の料理を提供する。


「姫様。今日の料理はなんというのですか?」

「カオマンガイという炊き込みご飯みたいなものよ」

「炊き込みご飯と言うとご飯と具材を一緒に炊く料理ですよね? 簡単にできますか?」

商人が興味深いというように質問を重ねてくる。これはいつもの事なので私も気にしていない。

恒例行事になっているが、レシピも教えている。商人は嬉しそうだ。


管理番は別なことが気になっている様だ。だが管理番は遠慮がちなので私に聞けないのだろう。

デザートが気になっているはず。私はその事に気が付いてたが気が付かない振りをする。そうしていると隊長さんが気が付いたようだ。管理番の代わりに聞いてきた。

この二人は甘党なのかデザートを喜ぶ傾向がある。

「姫様。今日はデザートがありますか?」

「今日? デザートと言うか、果物を用意しているわ」

「そうですか」

心なしか管理番の肩が落ちたようだ。甘いプリンやクッキーを想像していたのかもしれない。

管理番はガッカリしつつも、私に何かリクエストをすることはないので申し訳ない気分になる。

隊長さんが慰めるように背中をポンポンしていた。隊長さん、忘れてるかもしれないけど、管理番は貴方よりも年上だからね。


「最後のデザートは別なの。持ってくるわね」

今日はカオマンガイ定食だった。それをみんな食したので最後のデザートを別に出す。

「じゃーん。初だし。ショートブレッドでーす」

私は自分で効果音を付けつつ、こちらでは初めて作るショートブレッドを皆に見せる。

予想していた通り、管理番と隊長さんはビックリしていた。

予想外だっただろう。果物ではなくお菓子だったのだから。私は自分の期待していた顔をしてくれた管理番に笑いかける。管理番は驚きすぎたのが恥ずかしかったのか、照れ隠しなのか。少し私に憤慨して見せた。

「ひどいですよ、姫様。騙したんですね」

「そうよ。ビックリした?」

「姫様がこんないたずらをするとは思っていませんでした」

「一年に一回ぐらいいいかと思って」

隊長さんが付け加え、管理番も同調していた

「しょっちゅうあるのは嫌ですが、一年に一回なら許せます」

「確かに。そのお菓子も美味しそうですし」

「許してくれる?」

私の問いかけに、管理番と隊長さんは笑って許してくれた。


私のエイプリルフールは概ね成功したと言えるだろうと。


久しぶりに管理番と商人を書きました。

もう少し二人を書きたかったです。

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人質生活から始めるスローライフ2
― 新着の感想 ―
[良い点] この世で1番優しい嘘ですね
[一言] 追記で余談です。 ネットでとある和菓子の老舗のHPに「たこ焼きにしか見えないシュークリーム」とか「ざるそばそっくりなモンブラン」、あるいは「お好み焼きそっくりなマロンケーキ」などが掲載されて…
[一言] 初期メン好き
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