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 宴? 7 フライドポテト 再び

いつも、コメントありがとうございます。

予約投稿に失敗して遅くなってしまいました。

申し訳ありません。

お付き合いいただけたら嬉しいです。

よろしくお願いいたします

私がキッチンに行くのを邪魔する気はないようだ。


「ええ、これは燻してあるそうです」

「燻す?」


宰相と陛下は初めて見るのだろう。興味津々といった様子で隊長さんを質問責めだ。


その場を隊長さんに任せた私は、フライドポテトを揚げていく。

揚げ物の音になれた様子の護衛騎士さん達は、落ち着いた様子だった。気にしている様子は見せていない。

逆に陛下は楽しみなのか、キッチンの方を気にしているのがわかる。


そのうち、『キッチンに入りたい』とか言い出しそうな感じがするな。

中には入れられないけどねぇ、危ないし。


私はそう思いながらポテトを揚げると、今度はハーブソルト・塩のみの二種類で味付けをすることにした。揚げた量もさっきの倍にしているので、味が単一では面白みがない。やはり味変は大事だろう。


本当ならケチャップやマヨネーズでの変化も良いのだが、この二つはまだ研究中で人に出せる段階ではない。

次のために頑張るしかないだろう。

いや、その前に私のためだな。私がおいしく食べられないと意味がない。


揚がったポテトはお皿も分ける事にした。

でないと陛下の取り分が、少なくなるような気がしたのである。


何となくあのテーブルには、弱肉強食の空気が流れている気がする。


普通は陛下が相手だと遠慮するものだが、あの二人には遠慮の二文字がない。

見ていてこっちがハラハラする時がある。陛下もそれを許している様子だし、付き合いが長いからなのだろうか?隊長さんは甥っ子というから、なお甘いのかも知れない。

その辺の関係性は私にはわからないことだ。


「お待たせいたしました」

「おお~」

陛下は本当に待っていたのだろう。嬉しそうにポテトの皿を見ている。


私はまず陛下の前にお皿を置いた。個別に分けたので、全部を持ってくることは出来なかったからだ。

そのことを知らない、隊長さんと宰相は心配そうに私を見る。

いや、心配そうではない、置いていかれた子犬のように私を見る。

言葉にするなら『えッ、ないの?ないの?』

といった感じだろうか?

ここで陛下の分しかないと言ったらどうなるのだろうか? 試してみたい気がする。

独り占めしようとしていたし、嫌な思いをするのも経験かな?

迷っていると、上に立つ人は違うのだろうか?


「姫、もしかしてこれは全員分かな?だったら取りやすいようにするか?」


陛下、意外に優しい。さっきのことがあったのに、人に気を使えるなんて、他の二人にも見習って欲しいところだ。

こう言われると私も意地悪は言えない。


「いいえ、これは一人分です。持ちきれなかったので先に陛下の分だけをお持ちしました。隊長さん、持ちきれないから取りに来てもらっても良い?」

「もちろんですよ」


嬉しそうな隊長さんはいそいそと来てくれた。

ポテトをお願いしたので、追加のお酒も運ぶことにする。


「壮観だな」

とはご満悦の陛下。身体全身で『嬉しいです』を表現している。


私も一段落したので、席につく事にした。あまり残っていないが、身体の小さい私には不足のない量がありそうだ。

皆様、ポテトに集中してるしね。


「私も、失礼しますね」

一声かける。

陛下はやっと私が座っていない事に気がついたようだ。


「ありがとう。姫。美味しいよ。気が付かなくてすまなかったな」

「ありがとうございます。陛下、私もそう言っていただけたら、嬉しいです」

「姫。楽しませてもらったお礼がしたい。何かないかな?」

「ありがとうございます。お言葉に甘えて、できましたら、私のお願いを叶えていただけませんでしょうか?」

「願い?」

「はい。陛下なら造作もない事でございます」

「私にできる範囲なら、叶えよう」


よし、言質はもらった。

こんなに早く陛下から話を振ってもらえるとは思ってなかった。

嬉しい誤算だわ。

食事をする事も忘れて陛下に向き直る。


「何かな?」

言ってごらん、とばかりに話を聞く態勢を作ってくれている。

「陛下、わたしの願いは今後も、料理を作りたい、という事です」

「許可なら、取り上げたりはしないぞ。このキッチンも作っただろう?」

「はい。ですが、私に筆頭が付きました。あの者は後々の私の教育係ですよね?これからマナー等の練習が始まると思いましたが、違いましたか?」

「いや、違わないな。その予定だ。デビューも近いしな」

私はそれに頷きを返すと続けた。

「そうなると、私のような立場で、一般的に料理をする者はいないでしょう。筆頭の立場からは止められると思います。止めてほしいと。突っぱねるのは簡単ですが、今後の関係性を考えると陛下の許可があった方が、話がスムーズだと判断しました。ですので陛下、許可をいただけたらと思います。いかがでしょうか?」

「なるほど、確かに、考えられる話だな」


私の話に陛下は理解を示してくれた。後はこのまま許可が出れば万々歳だ。


「陛下、姫様の料理は新しいものです。このまま広まれば文化の一つになりますし、観光の楽しみにもなるでしょう。文化と経済のためには必要なのでは?」


隊長さんが私の後押しをしてくれたけど、話が大げさ。私はそこまで大きな話はしてないよ。

そんな事言って、大したことしてないのに、後から怒られないかな?

許可をもらう前だから否定もできないし、大丈夫?


私の心配は最高潮になっている。

陛下は腕を組み私を見ていた。


「そうだな」




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人質生活から始めるスローライフ2
― 新着の感想 ―
[良い点] 唐揚げとポテトとピザ食べたくなってきた…
[一言] 多分条件付きで許可だろうなぁ。 3日や1週間に1回陛下に料理を振舞うって… 胃袋ガッチリつかんでこれで終わりは泣くだろうw
[良い点] 待ちに待ったフライドポテトが来たのに、ちゃんと姫様との会話もしてくれる陛下は実に紳士ですね。 臣下二人にも見習っていただきたいものです。 [気になる点] 陛下はちゃんと許可をくれるんです…
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