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創作お役立ち?

そろそろ『一章ガチャ』が出ないかな?

作者: NOMAR

(* ̄∇ ̄)ノ 奇才ノマが極論を述べる。短編ガチャを考察してみた。


 短編ガチャ、と呼ばれるものがある。


『完結された短編を読むつもりがプロローグだけだった』


 これが物語愛好家のヘイトを高めているようで、エッセイで短編ガチャ、一話ガチャに物申す、というものを見かけたりする。


 短編としてプロローグを描き、これが人気が出たら長編化するというもの。いくつもプロローグを描き、その中でヒットしたものを連載する。需要を測るマーケティングとしては悪くない手法でもある。


 ただし、マーケティングと言ったようにビジネス上では悪く無い手法であり、無料で読める小説投稿サイトで行うのは私には物足りなく思える。


 なのでそろそろ、短編ガチャから一章ガチャが出てこないだろうか? と考えている。


■書籍と出版


 出版不況は続き、雑誌も書籍も売り上げは低迷。何より書店の減少は止まらず、本を売る店が少なくなっている。更には人口減少から趣味で本を買う人口も減っている。


 コロナウィルスの自粛から書籍は売り上げを伸ばしたが、伝染病が起きなければ売れない、となると構造に問題がありそうだ。


 電子書籍は売り上げを伸ばしているが、紙の雑誌では、1兆6千億円あった雑誌市場が今は6千億円代。1兆円の売り上げが吹っ飛んで無くなっている。

 大手出版社ではマンガでは、ひとつのタイトルで1万部売れてもまだ利益とならない。5万部売れてようやく余裕が出てくるという。


 気候変動問題から森林保護が注目されるようになり、紙の本の大量生産は自然保護とは相容れない。

 世界的な法規制の強化や製紙関連業界の取り組みにより、持続可能性に配慮した森林管理が拡大する動きもある。

 しかしその一方で、依然として紙の原料となる木の大規模植林地の造成のための森林破壊、そこに暮らす住民との社会紛争が問題視される地域がある。


 電子書籍については、私は学校で使う教科書や参考書などを電子書籍化するのが良いのではないかと考える。毎年、新しいものを大量に印刷する教科書こそ、さっさと電子化すべでは無いだろうか。しかし、IT後進国の日本では難しいのだろう。


■二つの問題


 書籍を売る場合、制作者の利益を考えると二つの問題がある。

 ひとつはデジタルコンテンツの違法コピー。

 

 インターネットが広まった現代において、世に出されたものは簡単にコピーされる。

 無料で読める、というのは魅力であり海賊版サイトを作る方は仮想通貨のマイニングなども可能。

 海賊版サイトは取り締まられてはいるが、根絶は難しい。


 もうひとつは中古本の転売。

 大量生産された話題の新刊など、少し待てば中古書店で安く買える。だが、中古書店での売買は出版社の利益にはならない。


 インターネットの発達と流通の変化が制作者の利益に還元されない状況を作る。


■購入型クラウドファウンディング


 ここで注目したいのが購入型クラウドファウンディング。


 アニメ映画『この世界の片隅に』は、興行収入25億円、観客動員数190万人突破。日本アカデミー賞、最優秀アニメーション作品賞など映画賞も受賞した。


 しかし、企画段階では地味な作品でヒットの要素が見当たらないとされ、制作資金集めは難航したという。


 そこでクラウドファウンディングで資金を集めることになる。支援者から約3900万円が送られ、当時は国内の映画クラウドファウンディングとして史上最高額に。

 この作品を映画に、という3千人を越えるエンジェル支援者によりクラウドファウンディングによる映画制作の成功例と呼ばれるようになった。


 1万円以上の支援をすればエンドロールに名前がクレジットされる、となり2千人を越える支援者がエンドロールに名前を連ねた。


 2007年に発表されたPCゲーム『Dies irae』は、2015年に実施されたクラウドファウンディングでは国内最高額となる9656万円の支援を集め、2017年テレビアニメ化。


 マンガ『刻の大地』の作者、夜麻みゆき、は2005年に体調不良から執筆活動を休止。『刻の大地』は未完のまま一旦終了した。

 その後、2017年にクラウドファウンディングで『塔の戦い編完結プロジェクト』が立ち上げられ、15年ぶりに連載を再開。

 マンガ『刻の大地』はアプリで無料公開され、ファンにとっては続きが読めるようになった。


 購入型クラウドファウンディングならば制作費を事前に得られる。これは違法コピーにも転売にも強い。

 また、事前にお金を出しても見たい、欲しいという購買層がどれだけいるかを測ることもできる。


■出版社の戸惑い


 小説投稿サイトからの書籍化が話題となった。出版社は売れそうな作品を発掘しては書籍化し、一時は成功をおさめた。


 あらかた採掘したあとは、初刊打ち切り作品が増加した。


 無料小説投稿サイトで評価は高かったものの、売れずに商業的に成功しなかった事例がある。これには出版社が戸惑っているのではなかろうか。


■一章ガチャ


 今後はネームバリューのある人物が無料小説投稿サイトに一章を乗せ、二章以降は購入型クラウドファウンディングで書籍化、電子書籍化を検討する、という手法はどうだろうか?


 クラウドファウンディングで成功するには、ある程度知名度があること。購入者が望むような作品を作るという信用が必要にはなる。ビジネスとなるとこの信用が重要になる。


 短編ガチャが需要を計る為に行われるのならば、無料小説投稿サイトのランキングとはエンドユーザーの購入見込みと比例しない。

 今後は作品としての売り上げを探りたいのであれば、購入型クラウドファウンディングが有効だろう。


 そのための試し読みとして、小説はパイロット版として、無料小説投稿サイトに第一章を乗せるというのはどうだろうか?


 人気が出たときは、第二章以降を読みたい方はクラウドファウンディングで応援よろしく、となる。

 これで制作者が制作費を確保しつつ、需要も計れるのではないだろうか。


■未来の出版


 これは私の想像、というか妄想になるが、出版業界は変わると考える。

 出版取次が潰れ、返本制度は変化し技術書のみとなる。その他の書籍は直販が主流になる。大手出版社も縮小、倒産を余儀なくされる。

 一方で少部数発行でも経営の成り立つ個人出版社、小規模出版社が微増する。

 在庫を減らす為に注文生産、プリントオンデマンドが主流となる。


 その中でフリーの編集がブックマネージャーとして作家の発掘と個人出版社を結び付ける。又はクラウドファウンディングで資金を得ての自費出版をマネージメントする。

 

 無料小説投稿サイトは、趣味で書いた物を読んでもらいたい層と、ビジネスとしての試し読みを置く層としての二極化に変わるのではなかろうか。


 短編ガチャはその始まりではないだろうか。


 また、アニメ映画『この世界の片隅に』のように支援者がつけば、業界ではヒットしないと言われたものが作品として世に出ることになる。


 この投資してでも良い作品が世に出ることを望む層の反応は、無料で楽しむためのサイトのランキングとは解離していく。

 

 短編ガチャがより洗練される為には、CAMPFIREなどのクラウドファウンディングのサイトでプロジェクトを立ち上げ、そこに読み手を誘導するなどの手法が必要になる。


 これからは一章ガチャが現れるのではないかと予想するが、さて、どうなるか?


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― 新着の感想 ―
[一言] 一章ガチャときいて真っ先に浮かんだのが「書籍版」でした(笑 まあでも、なろう書籍は一巻が一章扱いになってる作品が希すぎるのですがね。 短編ガチャもプロローグ部分として完成されていればまだ…
[良い点] 一章ガチャ、出たら面白いですね! つーか、のまさんがやるってのアリかも!?
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