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ハゲは一日にしてならず

 学校につき、席に座る。俺の席は窓側の真ん中。日当たりのよい良い席だ。授業中に眠くなってしまうのが玉に瑕だが。


「おはよう! 幸助! なんかいいことあったか?」


「おはよう康太。確かにいいことはあったけどどうした?」


 開口一番康太が妙なことを聞いてきた。


「昨日までのお前、この世の終わりみたいな顔してたからさ。それがこんなにニコニコして学校に登校してきたら、赤ん坊だって気がつくってもんよ!」


「そんな違うかな?」


「全っ然違う。昨日までは本当に声かけづらかったんだから。話しかけも、ぼそぼそとしか話さないし」


 自分ではうまくやっているつもりだったけど、実際はそうではなかったらしい。


「心配かけて悪かったな。もう俺は大丈夫だ」


 俺はワイシャツをまくり上げて腕を曲げ、自分の貧弱な上腕二頭筋を見せつけた。


「気にすんなって! 俺たち親友マブダチだろ!」


 歯をきらりと輝かせさわやかな笑顔で康太は言った。俺はニヤリと笑い拳を自分の顔の前に突き出した。康太もすかさず拳を自分の前に突き出し、トンと拳を当てた。


「おいそこの二人! お熱い友情を見せるのはいいがもうホームルーム始まるぞ! 着席しろ」


「元気でたようでよかったわ」


 康太は微笑みながらつぶやき、席に戻った。


「よし! ではホームルームを始める!」


 安藤先生が出席の確認を始めた。


「ねえ幸助」


 アリスがプククと笑いをこらえようと頑張りながら俺に言った。


「なんだよ。二人きりじゃないところであまりしゃべるなよ」


 俺はできる限りの小声で話した。アリスはお構いなしのトーンで続ける。


「安藤先生の髪、減ってない?」


 ぶっ! 思わず吹き出してしまった。やばいやばい。


「どうした? 竹中。なんかあったか?」


「いえ! なんでもございません!」


「? ならいいが」


 安藤先生からの追及をかろうじて逃れる。だが、アリスは俺への攻撃の手を緩めない。


「絶対減ってるって! かろうじておでこが見えるくらい髪があったのに今完全に見えてるじゃん!」


「やめろって! これ以上はまじでやばいから! 本当にやめてくれ!」


「ごめんごめん。もうやめる。もうやめる」


 アリスはお腹を抱えて笑いながらあやまった。


 危ないところだった。あと少しで決壊してしまうところだった。俺はギリギリで耐えることに成功した。


 安藤先生は変わらずホームルームを続けていた。


「以上! ホームルーム終わり! 五限目の数学、弁当の後だからって寝ないようにな!」


「起立! 礼! ありがとうございました!」


 安藤先生はホームルームを終えると、黒板チェックをした。黒板を美しく保てるクラスは、勉強も根気よく続けられる。が安藤先生の口癖だ。


「あ、後頭部もハゲてきてる」


「あはははははははは!」


「おい。竹中。放課後、絶対部室来いよ」


 ヒエ。絶対部活で絞られるやつだ。アリスめ・・・許せねえ・・・!


「あはは。ごめんね」


 アリスは面白半分、申し訳なさ半分といった表情であやまった。後で絶対報復してやる。俺はその決意を胸に一限の準備を始めた。

 お久しぶりです。読んでくれたみなさんありがとうございます。よろしければ、ブックマークや評価をポチっとしていただけると幸いです。ポイントをたくさんいただけたら、投稿頻度が上がります。感想も書いていただけたら嬉しいです。


 以上汚い宣伝でした。

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