第七話 武闘大会開催
翌日
今日は土曜日なので、一日中ゲームをしていられる。
ただ、8:00から武闘大会開催なので、7:00に起きなければならなかったのは辛いが……
朝食や洗面などを済ませ、7:40に『レジェフロ』を始める。
ログインすると、何やらウィンドウのようなものが目の前に表示された。
お知らせ
今日から四日間は『超武闘大会』が開催されるため、こちらの世界の時間の進み方は現実世界の十分の一となっております。
ほう。
となると、だいたい武闘大会まで残り200分か。
まだまだあるな。
残り一時間程度になるまで、ボア狩りでもしてるか。
とその前に、開催場所を確認しておこう。
確か開催場所は「武闘館」というところだった。
いまいちピンとこないので、ここは『ヘルプ』さんに頼ろう。
そう思い、ヘルプの画面を表示させる。
「武闘館ってどこ?」
『一層のダンジョンへ出る道の真逆にあります』
なるほど。
ちょうど今一層のダンジョン方向を見ているので、背中側に当たるわけだ。
回れ右をして、適当に歩き出す。
左右の建物を見つつ、武闘館っぽい建物を探す。
5分ほど歩いたところで、一際大きな建物を右手側に見つけた。
おそらくあそこが武闘館だろう。
近づいていくと、チラシの時よりも多く人が集まっているのがわかる。
どうやら何かの列に並んでいるようだ。
なんの並びだろうか。
疑問に思い、最後尾に並んでいるガタイのいい男性に質問してきた。
「すみません。これってなんの行列ですか?」
「おう坊主、お前も出場すんのか? 『超武闘大会』に!」
へぇ。
どうやら武闘大会参加者がここに並んでいるっぽい。
受付をしているのだろうか。
今回は俺も出場したいので、後ろに並ぶ。
「そうなんですよ。まだ『レジェフロ』は始めたばかりですけどね」
「ガハハハハッ! そりゃいい心意気だ。せいぜい頑張ってくれよ、坊主」
男性はそう言って前へと向き直ってしまう。
悪い人ではなさそうだ。
それにしても長い行列だ。
ネズミーランドだったら、120分待ちレベル。
徐々に俺の後ろにも人が並び始めていて、列はさらに長くなる。
ゆっくりと進む列に並びつつ、並んでいる人を観察し始めた。
軽く全員を見たところで、一割ほど俺と同じくらいの年齢の人が並んでいることに気がついた。
さらに、極々少数だが、女子高校生と思われる人まで並んでいる。
一見か弱そうな細い腕に細い足だが、ゲームではあまり関係がない。
滅茶苦茶強いかもしれないのだ。
適当に人間観察しているうちに、ようやく俺まで受付が回ってきた。
「参加者ですか? 観戦者ですか?」
どうやら、今の行列には、参加者と観戦者が混じっていたらしい。
まあそれもそうか。
参加者だけだったら多すぎるもんな。
今回俺は参加者だが。
「参加者です」
「参加者の方はこちらのウィンドウに『職業』『名前』『ステータス』『レベル』を記入してください」
受付の女性がそう言うと、目の前にウィンドウらしきものが表示された。
上から順に『職業』『名前』『ステータス』『レベル』を記入するっぽい。
時空魔戦士
かみかみ
HP250/250 MP250/250
10
よし、完了だ。
おそらくこれで良いはず。
「できました」
「……はい。では奥へ進んで、十字路を右に曲がってください」
受付の人は、俺のジョブを見て、一瞬たじろいだ。
そんな悪いのか?
まあいいか。
言われた通りに武闘館の中を進んでいく。
しばらく廊下を歩くと、十字路が見えてきた。
まっすぐ前は、おそらく戦う場所だろう。
右は選手の待機部屋になってるっぽい。
左も同じく。
俺は迷わず右へ進んだ。
この通路の両壁には、数多くのドアとネームプレートのようなものがある。
それにしても長い廊下だ。
3分ほどずっと歩いて行き、ようやく俺の部屋らしきところが見えてきた。
ドアの隣に「かみかみ様」と書いてある。
どうやら間違いないようだ。
躊躇いなくドアを開けると、部屋の中の様子が確認できた。
六畳ほどの和室。
ど真ん中に丸机があり、その下には座布団が一枚だけ置いてある。
そして、壁際には超薄型テレビ、のようなもの。
これで試合を観戦できるらしい。
俺は荷物も何も持っていないので、そのまま座る。
一息ついたところで、あることに気がついた。
「2000ゴールド払ってなくね?」
急いで所持品ウィンドウを開く。
払わないと、試合に出られないかもしれないのだ。
だが、その心配も杞憂だった。
俺の所持金からはしっかりと2000ゴールド引かれていた。
流石ゲーム。素早い行動だ。
さて。
試合まで残り一時間弱の間、何をしていようか。
もう部屋に入ってしまったので、体を動かすこともできないし。
多少体を動かしてから来たほうがよかったかもしれない。
まあ、仕方ないか。
一時間程度なら大した苦痛でもないし。
俺は壁に寄りかかり、瞼を閉じた。
―――――――一時間後
突然テレビが映り、武闘館の様子が空から映し出される。
しばらく眺めていると、大きな花火が上がった。
アナウンサーらしき人が武闘館の闘技場のど真ん中で叫ぶ。
「第一回! 超武闘大会ィィィ!!!」