第六話 新スキル
経験値15を獲得しました。
15ゴールドを獲得しました。
レベルが10になりました。
称号『ボア殺し』を獲得しました。
スキル『空間移動』を覚えました。
スキル『氷結する瞬間』のレベルが2になりました。
スキルの動作確認を終えてから4時間ボアを狩り続け、ようやく俺のレベルが10に上がり、スキルレベルもあがった。
と同時に、新スキルと謎の称号も獲得した。
「レベル上げ大変すぎ」
正直、もうボアは狩りたくない。
探すのが面倒すぎる。
だが、戦闘は楽しかった。
MPが貯まれば『氷結する瞬間』を使い、ボアを圧倒する。
それを繰り返し、ようやく掴んだレベル10。
早速ステータスを確認しよう。
ウィンドウを開き、ステータスを確認する。
LV10 かみかみ
HP250/250
MP250/250
状態 健康
称号 『ボア殺し』
あれ?
レベル9の時はHPとMP共に190だったが、レベルが10になった途端、250まで跳ね上がった。
まあレベル10ってキリがいいし、上昇値が上がっただけだろう。
それよりも気になるのが、称号『ボア殺し』。
物騒すぎる名前だが、意味はあるのだろうか。
なんとなく、『ボア殺し』をタップすると、詳細を確認することができた。
称号
・ボア殺し
忍耐を極めし者に与えられる
先を急ぐものは、獲得することはできない
:獲得条件 フィジカル・ボアのみを倒してレベルを10まで上げる
:効果 消費MPが20%減少する
ボアに狙われにくくなる
どうやら、レベル10までボア狩りのみで駆け上がってきた者のみに与えられる称号っぽい。
てか、効果強すぎん?
消費MP20%減少って、えげつねぇ〜。
偶然獲得できた称号だが、時空魔戦士には必須とも言っていい称号だろう。
さて、次に新スキルだ。
何気に『氷結する瞬間』のスキルレベルもあがったっぽいし。
ステータス画面を閉じ、所持スキル画面を表示させる。
所持スキル
・氷結する瞬間 LV2 消費MP120
……自分が望んだ物体一つ以外の物の時を0.75秒止める
・空間移動 LV1 消費MP120
……自身を中心に半径3メートル以内を瞬時に移動する
おお……
色々変わってんな。
まず、『氷結する瞬間』のレベルが上がり、止められる時間が増えた。
そして、先程の称号『ボア殺し』により、消費MPが20%減って120となっている。
最後に、新スキルの『空間移動』。
名前の通り、瞬時に移動できる代物らしい。
良きスキルや。
だが、消費MPがやはり多い。
称号無しだと、150だと思われる。
やはり、時空魔戦士のスキルは総じて燃費が悪いのだろうか。
もしそうなのだとしたら、称号に頼るしかなくなる。
だが、レベル10になって、かなり強くなったのも事実。
レベル上げって大事だな。
ついでだが、レベル10になったので、『超武闘大会』に出場することが可能になったのだ。
おそらく、2000ゴールドもあるだろう。
なんなら、出場してみる?
アリだな。
適当に考えつつ、街へと戻る。
こうなったらヤケだな。
出場してみるか!
と、その前に所持ゴールドを確認しておく。
ウィンドウを開き、所持品を開く。
無し
2990ゴールド
ポーションはとっくに使い切ったので、所持品はゴールドだけだ。
2990ゴールド。
ボア一体から獲得できるゴールドを平均13とすると、逆算して230体ほどのボアを倒したことになる。
よくやったな俺……
取り敢えず、出場は可能なことがわかった。
後は、明日になるのを待つだけや。
だが、試合の前に、新スキルを使ってみたい。
だが、死んでゴールドを失いたくないな。
どうすればいいんだろうか。
こんな時の『ヘルプ』機能!
早速問うてみた。
「ゴールドってどっか預けたりできないの?」
『街にいるときに、ヘルプへ申してくれれば、自動で出し入れが可能です。また、ヘルプに入れているゴールドは、死んでも減ることはありません』
なるほど、便利な機能だな。
いちいち銀行みたいなところに行かなくていいらしい。
まあ街の中じゃないと出し入れできないっぽいが……
十分だろう。
早速、全ゴールドを預け、ボア狩りへと赴く。
再び、ボアを狩るとは思わなかった。
とはいえ、新スキルの試し打ちをするだけだ。
平原に出て、ボアを探す。
何度ボアを探すために視線を動かしただろうか。
20メートル程先にいた。
さて。どうやって新スキルを生かそうか。
攻撃を避けるためだけに使うのはもったいないので、なるべく攻撃時に使いたいものだ。
しばらく考えていると、一つの案が浮かんだ。
ものは試しだ。
早速いつものように石を投げてボアの気を引き、攻撃を誘発する。
今回はカウンターはせずに、突進を避けて睨み合いの状況まで持っていく。
3メートルほど離れたところでの睨み合い。
ここで俺は無防備に剣を振り上げ、振り下ろした。
だが、圧倒的リーチが足りない。
このままでは剣はボアへと当たらないので、ボアは動かない。
この隙だ。
剣がボアの頭のちょっと上くらいの高さまで振り下ろされた時、俺はスキルを使った。
「『空間移動』!」
ボアの目の前に移動しろ! と念じていると、すぐさま目の前にボアが現る。
というより、瞬時に俺が移動したのだろう。
そして『空間移動』を発動した直後、振り下ろされていた俺の剣は、易々とボアの頭を切り裂き、光の粒へと変化させた。
「これも予想通りの動きができたな」
準備完了。
明日が楽しみだ。