第五話 超武闘大会
もう一度狩りをしようと歩みを進めていると、何やら道の端に人だかりができているのを見つけた。
何かあるんかな?
疑問に思いつつ、その集団へと近づいていく。
すると、何かのチラシに集まっていたことがわかった。
なんのチラシだろうか。
人混みをかき分けて、なんとかチラシの前へと辿り着く。
すると、チラシにはこう書かれていた。
第一回 超武闘大会!!
他のプレイヤーと力試しがしたいと思っているそこの君! 超武闘大会に出場して、強者と戦おう! もし優勝した暁には景品が贈呈されるぞ!
・参加条件 レベル10〜
・参加費 2000ゴールド
・職業 なんでも
・武器 なんでも
・開催日時 2月8日 8:00〜
・開催場所 武闘館
・観戦 無料 早い者勝ち
へー。
こういうこともやるのか。
今日は2月6日なので、明後日に開催されるっぽい。
てか宣伝の方法雑じゃね?
ゲームなんだしもっと良い知らせ方はあっただろうに。
勿論俺は出場しない。
というより、参加条件を満たしていない。
だが、観戦するのは良いかもしれない。
他の職業の強さも知っておきたいしな。
何やら、このチラシを見ている人の中に、ちらほらと参加するらしき人がいる。
全員体格ゴツいな。
俺みたいなヒョロガキは1人もいなさそう。
「まあ試合は明後日だし、今日は気が済むまでボア狩りするか!」
そうして、また一層へと歩みを再開した。
平原にたどり着くと、早速ボア狩りを開始する。
スキルは使うとほぼ死ぬので、レベルが上がってMP残量が上がったら使うことにする。
軽くゲーム時間で3時間ほど狩りをして、レベルが8に上がったところでゲームを修了した。
目を開けると、俺はベッドの上にいた。
スマホの時計を確認する。
まだ、1分も経っていない。
え? ヤバくね?
ゲーム内に6時間くらいこもっていたが、現実ではほとんど時間が経っていなかった。
ただ、精神的には鬼のように疲れたので、今日はゲームをやめておくことにする。
翌日
部活のない日々は最高やぁぁぁぁぁ!
ストレスのない日々!
うーん、最っっっっ高!!!
清々とした気分で校門を出る。
ただ、今まで一緒に帰っていた友達は部活なので、一人で帰らなければいけない。
唯一の欠点はそこだな。
ただ、それを差し引いても部活のない日々は最高すぎる。
何にも囚われなくて済むのだ。
るんるんとした気分で家に着く。
いまの気分はまさしく天にも登るようだ。
大袈裟かもしれないが、部活がないというのは、これほどまでの威力を秘めている。
制服を脱ぎ捨て、ベッドへダイブする。
今日もやるか! 『レジェフロ』を!
昨日ぶりにアプリを開く。
この引き込まれる感覚、癖になってきた。
目を開けると、昨日と同じ街。
そういや昨日はレベル上げして終わったんだった。
今の自分の強さを知るべく、『ステータス』を開く。
LV8 かみかみ
HP180/180
MP180/180
状態 健康
称号 無し
レベルが1上がるごとに、HPとMPが10ずつ上がるっぽい。
今なら、『氷結する瞬間』を使ってもMP枯渇になることはない。
今日からスキルの練習すっか!
早速ボア狩りへ向かう。
その途中、昨日と同じチラシを見つけた。
そういえば、『超武闘大会』なんてものがあったな。
忘れてたわ。
開催されるのは明日なので、明日は忘れずに観戦しよう。
そう考えていると、一層の平原へと着いた。
見慣れた景色。
なんだかんだ言ってここで5時間以上狩りしてるんだよな〜。
もうここまできたらレベル10までボア狩りであげたい。
妙なことを考えつつ、ボアを探す。
いた。
昨日は5時間も狩っていたので、倒すまでのテンプレは身に染みている。
だが今日は、スキルに慣れるのが目標だ。
勿論レベル上げも。
適当な石を拾って、ボアへと投げつける。
そして、ボアの気を引きつけ、突進を誘発させる。
ボアが目の前まで迫ってきたところで、俺はスキルを自分に向けて使った。
「『氷結する瞬間』」
次の瞬間、ボアの動きが止まった。
だが、ぼーっとしてる暇はない。
なんせ猶予は0.5秒しかないのだ。
すぐさま後ろに回り込み、剣を振るった。
剣がボアへと当たる直前で、時が動き出す。
だが、チェックメイトだ。
俺の振るった剣は、ボアの背中を深々と切り裂き、やがてボアは光の粒へと化した。
経験値10を獲得しました。
10ゴールド獲得しました。
聞き慣れた声が頭の中に響く。
スキルを使った作戦は大成功だった。
おおよそ予想通りにボアを倒すことができた。
だが、レベルは上がらない。
俺は、静かに目を閉じた。
HP 180/180
MP 31/180
やはり、MPは150消費されていた。
MPは時間で回復するので、残りMPは31だが、スキルを使った直後は残りMPは30だっただろう。
MPが30残る。
つまり、MP枯渇が起こらないということだ。
初めてまともにスキルを使えた。
だが、連戦には向いてないな。
いかんせん、燃費が悪すぎる。
そんなことを考えつつ、ボア狩りを再会した。