第一話 ゲーム開始
一話あたり2000字前後で頑張ります。
俺は今朝部活を辞めた。
俺、神山 義孝は、昨日まで男子バスケットボール部に所属していた。
だが、顧問のクソパワハラのせいで、部活動は決して楽しいものではなかった。
辞める最後の一週間など、ストレスで食べ物の味を感じなくなったほどだ。
だが辞めた。辞めてやった。
今日でおさらばだ。あんなクソ部活。
今日から思う存分にゲームして生きよう!
そう心に誓って、学校を出る。
高校までは電車通学だ。
いつも通りの道のりで駅に向かい、電車に乗る。
まだ午後4時程なので、ほとんど人はいない。
そのおかげで楽々席に座ることができた。
なんて快適なんだ!
いつも電車内は立っていたせいで、余計座ることができるありがたみを感じることができる。
ほとんど人がいないので、1番人気のドアに1番近い席へと座る。
背負っていたリュックサックを膝上へと置き、ポケットからスマホを取り出した。
もう部活はないんだよな……
ここは心機一転新しいゲームでも始めるか!
そう思って、Gooogleで『やり込めるスマホゲーム』と検索する。
検索結果の1番上から順番に見ていく。
それらを見ていくと、やり込む場合はMMORPGがオススメらしい。
MMORPGとは、『大規模多人数同時参加型オンラインRPG』のことである。
何やら最近流行っているらしい。
よし、MMORPGをやろう。
早速、『やり込めるMMORPG』と検索し、面白そうなのを探す。
だが、どれもほとんど同じようなもので、ずっと楽しんでいられそうなゲームはなかった。
「飽き性の俺でも楽しめるやつ無いんかな〜」
愚痴をこぼしつつ、オススメランキングが載っているサイトを廻っていく。
すると、なにやら画面下に見知らぬ広告が表示された。
「レジェンド・フロア?」
その広告には、レジェンド・フロアというゲームタイトルらしき文字が表示されていた。
最近の広告には無いような安易な広告に、俺はなぜか引き込まれた。
特に文字が動くことはない。
白い背景に黒文字で『レジェンド・フロア』と表示されているだけだ。
「一回見てみるか」
特に深く考えずに、その広告をタップする。
すると、何やら別のサイトに飛ばされた。
先ほどの安易な広告とは打って変わって、おしゃれなサイトだ。
背景は中世ヨーロッパのような城に街、花畑などが映されていた。
下にスクロールしていくと、『レジェンド・フロア』というタイトル名と、説明らしきものが載っていた。
レジェンド・フロア
ゲームを本気でやり込みたい!
MMORPGを楽しみたい!
そんなあなたに『レジェンド・フロア』
通称レジェフロ!
新感覚RPGでレジェフロの世界にあなたを釘付け!
どこにでもありそうなタイトルに安直な文章。
どう考えてもまともなゲームではないだろう。
ただ、どうせ他のゲームでも1ヶ月やり込んだら飽きるので、一風変わったゲームをやるのも悪くない。
俺は少し躊躇いながらも、文章の下にあるダウンロードボタンをタップした。
ホーム画面にアプリがダウンロードされていく。
半分ほどダウンロードが進んだところで、外出時にダウンロードしたことを後悔した。
今月通信制限ヤバイかも……
ダウンロードを止めるか否か迷っているうちに、ダウンロードは終了していた。
アプリのアイコンには剣が大きく映っており、その下に『レジェフロ』と書かれていた。
もうダウンロードしてしまったのは仕方ない。
早速『レジェフロ』とやらをやってみよう。
アプリアイコンを人差し指でタップする。
すると白い背景の真ん中に『レジェフロ』と表示された。
数秒後、例のサイトのような中世ヨーロッパ風の背景に、大きく『レジェンド・フロア』と表示され、その下にtouchと表示されている。
この辺は他のゲームと変わらないんだな。
そう思いつつ、画面をタップすると、職業選択画面が出てきた。
職業は全部で十種類あり、職業名、オススメ度、軽い説明、その職業でのプレイ人数が表示されていた。
・剣士 オススメ度☆☆☆☆☆
高いHP、MPを有しており、使いやすいスキルも豊富。序盤から終盤までサクサクとこなせる優秀なジョブだ。運動神経が高い人や、早く強くなりたい人にオススメ。
利用人数 110965人
・魔法使い オススメ度☆☆☆☆☆
非常に高いMPを有しており、魔法スキル攻撃が得意。
攻撃から仲間の支援までこなせる万能ジョブ。遠距離から攻撃することができるため、接近戦に自信のない人にオススメ。
利用人数 99527人
・戦士 オススメ度☆☆☆☆★
非常に高いHPを有しており、接近戦ゴリ押しが得意。仲間の盾となることもできるので、パーティを組むときには必須となってくるジョブ。HPが高いので、死にたくないという人にオススメ。
利用人数 87349人
・剣聖 オススメ度☆☆☆★★
序盤の攻撃力やスキルは剣士に劣るものの、熟練になると、高いパフォーマンスを発揮できる。その力は、剣士を上回るほど。運動神経の超人にオススメ。
利用人数 65984人
・賢者 オススメ度☆☆☆★★
序盤のスキルのコスパや使いやすさは魔法使いに大きく劣る。しかし、レベルが高くなりMPが上がると、とてつもない火力の魔法スキルを撃てるため、攻撃特化が好きな人にオススメ。
利用人数 63841人
・狂戦士 オススメ度☆☆★★★
圧倒的破壊力に身を委ねたジョブ。全ジョブ屈指の扱いにくさを誇るが、その攻撃力は折り紙付き。不屈の精神を持つ人にオススメ。
利用人数 21331人
・竜剣士 オススメ度☆☆★★★
竜の力を身に纏った剣士。長き時と力を竜の復活させるべく貯め込む。力が発現するのは時間がかかるが、竜が目覚めると力が爆発的に増加する。大器晩成ジョブなので、仏のような心を持つ人にオススメ。
利用人数 10450人
・大魔法師 オススメ度☆☆★★★
魔法使いを凌ぐMP量を保持しているにもかかわらず、序盤中盤とゴミ魔法スキルしか覚えることができないが、終盤になると魔法使いを大きく凌ぐ。しかし、中盤までにとてつもない労力を必要とするので、死に戻りが大好きなドM向け。
利用人数 8821人
・覚醒者 オススメ度☆★★★★
身を焦がすほどの力を有する。しかし、あまりにも大きいその力を使いこなすのは極めて困難であり、アスリート選手でも手に余るほど。天性の才能を持った人向けのジョブ。
利用人数 1320人
・時空魔戦士 (new!) オススメ度★★★★★
神へと至る果てしなき道。これを極めた暁には、天地をもひっくり返す力を得るだろう。だが、何万年、何億年かかるかは未知である。
利用人数 1人
時空魔戦士利用人数少なすぎじゃね?
あとゲームに運動神経関係あんのかよ。
多少の疑問を抱きつつも、慎重に職業を選んでいく。
5分ほど悩んだ末、俺が出した答えは……
―――――時空魔戦士
理由は、なんか面白い説明文だったのと、新しく出た職業っぽいからだ。
俺が降りる駅まであと15分はあるので、先に進もう。
時空魔戦士をタップすると、確認ボタンが表示された。
もう決めたことなので、迷わずに『はい』を選ぶ。
すると、次の画面へと飛んだ。
名前を決めてください、と表示されている。
何やら名前を入力するらしい。
普段のゲームと同じく『かみかみ』と入力した。
神山だからかみかみ。安直だね。
完了ボタンを押すと、再度確認ボタンが表示された。
もう一度迷わずに『はい』を選択する。
刹那、俺の視界が眩い光に覆われた。
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