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レコンストラクター  作者: Tandk
再構成編
18/51

14-1.ミーアとの再会

応援よろしくお願いします。

「俺たちの攻略対象であるダンジョンに関する主なパーティークエストは、これだ」

「ありがとう」


 第四級都市ローラン冒険者ギルド第二支部――ヒト種居住区の支部――に来ている俺たちは、一階にある食堂で空中にICカードを使って投影したクエスト一覧を眺めながら、早めの昼食を摂っていた。

 俺たちはダンジョンに関する情報を一通りできる限り調べ終え、目標として定めたダンジョンに関する依頼があるかどうか、確認してきていたのだ。


 ちなみのこの世界、アビスの食事は地球と変わらない食事がヒト種居住区では非常に多い。もちろん、各種族に特化した専門店などもあるが、食事に悩まなくて済むのは有難い事だ。


「うーん、私たちのパーティー構成だと、少し厳しいわね」

「あぁ。どの依頼も、ユニーク個体の討伐がある。それ討伐が目的なのか、その素材が目的なのかは別だが」


 俺たちが受諾できるレベルのクエストは複数あったが、いずれもユニーク個体と呼ばれる、魔獣の突然変異種を討伐する事が依頼内容に含まれていた。

 はっきり言って、俺たちの現時点の戦闘力では負けはしないだろうが、火力不足。もし請けるなら、火力となる助っ人が必要となる。


「依頼を請けないという手もあるが、ダンジョンの踏破が目標である以上、ほぼ確実に遭遇する。となれば、いずれかのクエストは請けておいた方が賢いんだが……」

「困ったわねぇ。私達の様な駆け出しパーティ―に参加してくれる火力のある人なんて、私心当たりが無いわ」

「俺もだ。ユニーク個体を避けて別のダンジョンを目標にするのも手段の一つだが、遠すぎるし避けたいところだ。弱ったな」


 参ってしまうのも仕方ないだろう?

 もし駆け出しレベルで、同種に比べて非常に強力な能力を獲得したユニーク個体に有効な火力を持つ人物が居たとする。

 そいつが元々知り合いなら別として、俺たちみたいな冒険者ランクが三桁にも届いていない駆け出しパーティーどころか、冒険者ランク平均三百の中堅パーティーからだってお声が掛かる、期待の星だ。

 当然売れ残って新人の助っ人をやっている奴の中に、一部の物好きな奴らを除けば、そんな上等な奴なんかいない。


「「はぁ……」」


 俺とグレースが揃ってため息をついてしまったとき、唐突に覚えのある気配を傍に感じた。思わず身構える俺たちに、お気楽な声が届く。


「やっほー、お困り? おっさん、このミーアに話してみなさい!」

「おう、いつかのミノタウロスのお嬢さんか。脅かすなよ」

「あら、ミーアちゃん。お久しぶりね」

「グレースさん、お久しぶりです。相変わらずお美しいですね」

「あらあら、まぁまぁ」

「あからさまなお世辞に絆されるなよ、グレース……。てか、俺とグレースで随分態度違うな、相変わらず」

「当然でしょう!」

「当然なのか。はぁ、もういいや」

「シルビアちゃんは――お昼寝中か。可愛い」


 いつの間にか俺たちの座っているテーブルの傍に立っていたミーア。隊商の先行偵察を担っていたことからも、隠密技能が高いのだろう。若いのに、大したことだ。俺たち促成栽培の異邦人と違って、彼女の能力は努力の賜物なのだから。


 今日は外套をきていないのか、とても軽装だ。まぁ、街中で用もないのに旅装束を着用しっぱなしの奴なんて、訳アリって自分で主張しているような奴らしかいないが。


 というか、こいつ……。地球に居た頃から立派な胸を持っているグレースに比べても、かなりの代物をお持ちだ。隊商の護衛の時はしっかりとした外套をしていたから体格なんて分からなかったが、凄いな。ミノタウロス族の女性というものは。


 ――うぉ、寒気が!? 笑顔のままのグレースの後ろに般若が見える。本題に戻らんと潰される!


「で、用件は?」


 突然接触してきた理由はなんだ?

 仮にも冒険者なら知り合いがいて挨拶をすることはあっても、パーティー会議をしている者達に近づく者は非常識扱いされる。

 こっそり近づいてくる奴なんて、敵意ありと見做されて攻撃されても文句は言えない。法律的にも、だ。


 この世界は創造神が停滞を嫌うがゆえに、非常に過激な法律が多いのだ。積極的な自衛は根拠があれば、大抵認められる。一般的に非常識といわれる行動が敵意を持って行ったと見做されれば、殺されても文句は言えない、ということだ。たとえ本人にその意思が無かったとしても、周囲から見てそう判断されたら、十分なのである。


 この世界出身のミーアがそのリスクを知らぬわけがない。となれば、当然そのリスクを侵すに足る何かがある筈だ。


「さっきも言ったわ。困っているみたいだから、私が力になってあげるって言っているのよ!」

「はぁぁ? 遠慮しとくわ、お前さんは要らん」


 いくら宇宙戦艦ヤマト並の大砲をお持ちであろうとも、目的不明な輩を大事な娘の近くに置けるわけがないだろう。

 だがそうやって突っぱねる俺を押し留めて、グレースが優し気にミーアに問いかける。


 もちろん、グレースも娘が第一だ。当然、ミーアに俺たちに対する敵意が少しでもあれば、排除に躊躇はしないだろう。


「あなた、急がなくてもいいんじゃないかしら? まずは話を聞いてみましょう? ミーアちゃん、話してくれるかしら。それだけじゃあ、私達も判断材料が足りなさすぎるの」

「――はい。グレースさんのおっしゃる通りですね。すみません」


 グレースが俺の代わりにミーアと話し始めた途端、ミーアの態度が軟化した。こ、このガキ……。


「実は――」


 俺たちはミーアが何故声を掛けてきたのか、詳しく聞くことにした。

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