プロローグ 退屈な日々の終わり
ずっとやってみたいと思いながらようやく書きはじめた処女作でございます。知識不足や語彙力不足が相まって拙い文章になってしまっていますが、よろしければ読んで行って頂けると幸いです。
外は寒く外出するのも億劫な季節。特に意味もなく点けているテレビの特番の音を聞きながら、僕━神田 瑞樹━は狭いアパートの一室で今日もネットゲームに勤しんでいた。
「よし!イケイケ!そのまま……よっしゃー!倒したーやっと終わったー」
特に趣味も無く、彼女も居ない。友人と遊び歩くといったことも殆ど無く、ただ毎日仕事行って帰ってゲームしてと特に何もない自堕落な生活。そんな日々に不満はあるが、それを解消する術は無く、こうして架空の世界へと身を投じていた。今も仲間たちとイベントを走り終えて、小さな達成感を感じているところだ。
ジーク:「おつかれー」
ミケ:「おつー」
おんじぃ:「おつです」
オルフェ:「おつかれさん」
僕達は基本4人で活動している。ジークというパッとしない茶髪の好青年ぽいのが僕の使っているアバターだ。あとはゲームの中で知り合ったネコっ娘の“ミケ”さんに、ファンタジー世界に和を見事に再現したどこか落ち着いた感じの“おんじぃ”さん。大柄で力強さと頼もしさを感じさせるみんなの兄貴分のオルフェさん。みんな気の良い人たちで付き合いも長く、ここが僕にとっての一番の場所なのだ。
ミケ:「いやーすごいハードだったニャー」
ジーク:「まさか本当に間に合うとは思いませんでしたよ」
おんじぃ:「更新ギリギリですけどね」
オルフェ:「そうだよな。もう年も変わっているんだよな」
おんじぃ:「さすがにもう目が限界ですよ」
ジーク:「朝からぶっ通しでしたもんね」
ミケ:「にゃー」
オルフェ:「だな」
ミケ:「で、これからどうするニャ?」
おんじぃ:「明日は家族を連れて出かけますので、もう少ししたら落ちます」
オルフェ:「俺も朝から行かないといけないんだよなー」
ジーク:「お二人とも大変ですね」
オルフェ:「まぁ仕方ないさ」
おんじぃ:「ですね」
オルフェ:「まぁもう少しだけ話して解散だな」
ジーク:「そうですね」
おんじぃ:「そうしましょう」
ミケ:「だネー」
(家庭持ちの方達はやっぱり大変なんだなぁ。僕も久しぶりに近所の神社に初詣にでも行こうかな)
そんな事を考えながら、皆と一年を振り返りながら。雑談を楽しむ。そして時刻は夜中の2時頃になり、思い出話にも一区切りついて僕達は解散することになった。
オルフェ:「じゃあおつかれー また明日な」
おんじぃ:「お先です」
ジーク:「お疲れ様です」
ミケ:「おつかれニャー」
オルフェ がログアウトしました。
おんじぃ がログアウトしました。
ミケ:「ジークはどうするニャ?」
ジーク:「僕はもう少し居ようかと思います」
ミケ:「そうかニャ」
ミケ:「じゃあこの間見つけた面白そうな都市伝説の話なんだけどニャ」
ジーク:「都市伝説って……」
ジーク:「ミケさんそういうの好きですね」
ミケ:「あからさま過ぎてネタだったり本当に実話だったりするのも混じってて案外面白いニャヨ?」
ジーク:「へぇー」
ミケ:「ちなみに今回はネタの方ニャ」
ジーク:「ネタってwもう検証動画とかあがってるんですか」
ミケ:「まだニャ」
ミケ:「けど、異世界関係で具体的な内容まであるとか間違いなくネタニャ」
ジーク:「まぁ本当だったらまず書き込めないですもんね」
ミケ:「そういうことニャ」
ミケ:「で、その内容ニャんだけど」
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内容を聞いてみたら本当に眉唾だった。なんでも、その方法はとあるサイトに貼られている画像に描かれた魔法陣を地面に描いて、その中央でゲームソフトを持って呪文を唱えるだけだそうだ。するとそのゲームの中の人物になって異世界に行けるのだとか。
ミケ:「ニャ?面白そうでしょ?」
ジーク:「いや、たしかにちょっと心惹かれるものはありますけど」
ジーク:「その中二病全開な儀式はとてもじゃないですけどできませんね」
ミケ:「やっぱりそう思うかニャ?」
ミケ:「アタシもそれでなかなか手をつけられずにいるんだニャ」
ジーク:「痛すぎますよね」
ジーク:「まぁそのうち誰かが動画をあげるでしょうしそれを待ちましょう」
ミケ:「そうニャネ」
ミケ:「じゃあアタシは次のネタでも仕入れに行ってくるのニャ」
ジーク:「ほんと好きですね」
ジーク:「じゃあ僕は落ちますね。お疲れ様です」
ミケ:「おつかれニャー」
みんなとの楽しいひとときを終えてPCを閉じる。時計に目をやると、もう夜中の3時を過ぎていた。このまま起きていても特にやることもないし、もう寝ようかな。
「異世界かぁ。あんな方法で行けるなら今すぐにでもやってみたいけど、実際あんなのフィクションだし……」
そんな独り言を呟きながら寝支度をしていると、突然部屋の壁が光りはじめた。
「なんだ!?えっ?」
そして壁面に大きな幾何学模様が浮かび上がってきた。
「なんだこれ?もしかして、魔法陣!?スゲェ!!」
大きな円の中に見知らぬ文字や複雑な模様の描かれたそれはまさしく漫画やゲームで親しんでいたそれである。実際に実物を見るのは初めてだが、なんというかスゴイ。なにがスゴイのかよく分からないけどなんかスゴイ。
実在しないと思っていたものが突如目の前に現れて感激していると…
「あれ?どうしてネタ帳が光って?…なんだか説明とちがうような…ってヤバ!そういえばこの向こうって」
魔法陣が現れた壁の向こう。隣の部屋から騒がしい声が聞こえてきた。その瞬間急速に嫌な予感が脳裏をよぎる。
「おい!この魔法陣ってもしかして!?」
その予感は正しいようで、完全にその姿を現した魔法陣は先の話題に出ていたそれに酷似していた。
咄嗟に僕はPCの画面を確認する。すると、電源を切った筈のPCがひとりでに起動しており、さっきまで遊んでいたゲームのアバター選択画面が開かれていた。
「おいおいおい!ふざけるなよ鈴鳴のバカ!!オイ!何やってんだ!今すぐコレ止めろ!!」
慌てて僕は隣の部屋に向かって叫ぶ。
「ぅわ!!ごご、ごめんなさい!けど、これどうやって止めるの?」
「そんなの知るわけないだろ!途中で中止する方法とか書いてないのか?」
だが、何も考えず実行した愚か者がそんな方法把握しているワケもなく、とにかく探すように指示するが、その間にも魔法陣の光はどんどん強くなっていく。そして少し待ったところで、
「あっ!あった!」
「なんて書いてある!」
鈴鳴が何か記述を見つけた。すぐにその内容を読み上げさせる。
「えっと、『注意:この魔法は一度発動したら止めることはできません。もちろんやりなおしも出来ません。なので生まれ変わったあとの姿については、後悔しないように慎重によく考えましょう』って」
「おぃ……。なんだそれ…。選ぶもなにも勝手に…ってわぁぁぁぁぁ」
絶望的なないようを聞かされて頭が真っ白になったところで魔法陣の発光は頂点に達っし、そのまま光に呑み込まれて僕は意識を失った。
読んでいただきありがとうございます。
プロローグということで
異世界へ行くまでを描きました。
20年5/24 後半部分に少しやりとりを追加しました