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第7話「ミイニャはご機嫌斜め?」

 クレアの前に湯気を上げている出来たて新作パスタをお出しする。トマト、ナス、キノコ、それとカブ大根をニンニクと黒コショウとだし汁で絡めたパスタだ。


「いい匂い……じゃあいただきます」


 クレアは手を合わせ、フォークにパスタを巻いて、口へと持っていき頬張った。


「んっ、美味しい! すごく美味しいよ」


「それはよかった」


 俺はミイニャの入れたアイスティを飲んで、クレアの幸せそうな顔を眺める。


「こんなお料理があったなんて。クレアは感激したよ」


「こっちもランチメニューに入れて、今月は二品か、もう一品くらい考えようかと思ってるんだ」


「一品じゃ毎日来たくても飽きちゃうもんね」


「いえ、パスタだけでなくサンドも注文できますから飽きません」


 ミイニャがなぜか機嫌悪そうにクレアを見つめた。


「ミイニャ、どうかしたのか?」


「いえ、なんでもありません……すいません」


「このパスタって言うの、どうやって作るの? クレアにも教えてほしい」


「教えてあげるよ。すぐ覚えられると思う」


「じゃあ今夜にでも」


 ミイニャから痛い視線が……


「なんだよ、変なこと言ったか?」


「いえ、そういうわけでは……」


 ミイニャは3人分のカフェラテを作り、カップを出してくれた。


「カフェラテはミルクが多いので、優斗君でも飲めますね」


「ミイニャにその言葉をそっくり返したいぜ」


「やはり珈琲よりカフェラテです。お子様の優斗君には」


「お前、自分は平気で除外するよな」


「仲がいいなあ。あのう、カフェの経営はリニューアルしてからどうなんですか?」


 と、クレア。


「もちろん黒字です。従業員二人だけなので気楽ですし、ランチタイムが忙しいですが、それがあっての黒字なので。あとデザートセットが好調です」


「クレアのおかげでもあるぜ。メニューイラストが可愛いからな。何人かの心を掴んでいると見た」


「クレアは楽しく描いただけだから。でも、役にたっているなら嬉しいよ」


 ミイニャは俺の足を踏んづける。


「なにするんだよ?」


「いえ、何となく……特に意味はありません」


☆ ★ ☆


 午後5時を持ってカフェ『グランデ』は閉店。

 ミイニャは掃除を手伝うと言ってくれたクレアの申し出をやんわりと断った。


「お前、何かちょっと変じゃないか?」


 モップで床を綺麗にしながら、俺は乾燥させたお皿を棚に戻していたミイニャに聞いてみた。


「別に変ではありませんよ……あのう優斗君、1つ聞きたいことがあるのですが……」


「なんだよ?」


「その……クレアとは一緒の部屋で生活しているんですか?」


「えっ、うん。寝泊まりしてるだけだけどな」


 たまにお風呂一緒に入るけど……


「そうですか……」


「それがなに?」


「いえ、何でもありません。掃除が終わったらお散歩しに行きましょう」


「うん……」

 よくわからない質問で俺は少し混乱した。


 今日のカフェ『グランデ』は営業を終了いたしました。

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