第12話「特製イチゴのパフェで可愛い、可愛い」
そろそろ夕方の時間を迎えるころ、カウンター席に座る小さな女の子は美味しそうにミイニャの新作デザートを頬張っていた。
もはやすっかりカフェ『グランデ』の常連となったちぃちゃん。
「ふっ、頬っぺたが落ちるでしょ。お料理とは作った人の気持ちが味に出るんです。ちぃちゃんを想い、私が魂を込めて作ったんですから」
「おいちぃ、お姉ちゃん」
口元に付いたクリームをミイニャは人差し指を伸ばし、ぺろりと舐めた。
なんだろ、可愛い……
「優斗君、どうしたんですか?」
「いや、なんでもない」
カランっというドアのベル音が響き、俺たちは反射的にお辞儀と、
「いらっしゃいませ~」
の声を出す。
「いらっしゃいました」
顔を上げると、入り口には可愛い女の子と小さな女の子が仲良く手を繋いでこっちに笑顔をくれる。
よつ葉ちゃんとななちゃん。二人は前に一度ご来店いただいている。
ななちゃんはテクテクとカウンター席にやってきて、ちぃちゃんの隣の席に座ろうと椅子に小さな足をかけた。
「あっ、危ないよ。なな」
よつ葉ちゃんはななちゃんが落ちない様に慌てて抱きかかえて、少し高いカウンター席に座らせ、自分はその隣に腰掛けた。
「こんにちは。ななちゃんがここのスイーツが気に入ったようでまた来ちゃいました」
「いらっしゃいませ~」
俺は二人にクレアの手書きのイラストが描かれているメニューを渡す。
「どうしようかな、いちごのショートケーキも美味しそうだし、迷っちゃうね、ななちゃん」
ななちゃんは美味しそうに食べているちぃちゃんの方を羨ましそうに見て、メニューに視線を向け、なにやらがっかりした様子。
「イチゴしゃんのパフェが載ってないでちゅ。イチゴしゃんパフェ……」
泣きそうになっているななちゃん可愛いな。
ミイニャからドスンと裏拳が飛んでくる。
「ふふふ、イチゴのパフェ食べたいですか? まだメニューに載せていないんです。作ってあげるには条件があります」
「条件?」
よつ葉ちゃんの方が少し首を傾げた。
「なな、イチゴしゃんパフェ食べたいでちゅ」
「イチゴは好きですか?」
「だいちゅきでちゅ」
「このお店は好きですか?」
「だいちゅきでちゅ」
「優斗君とわたしは好きですか?」
「だいちゅきでちゅ」
「よろしい。合格です。食べ終わったら感想をお願いします。ついでにイチゴのヨーグルトドリンクも作ってあげましょう」
「やったでちゅ」
ななちゃんは嬉しそうにバンザイする。
可愛い子には甘い物を食べさせようカフェは小さい子に大人気です。
「よつ葉ちゃんもパフェどうかな?」
「はいっ。ぜひイチゴさんパフェを」
下にはイチゴのムースその上に生クリームに白玉とイチゴ、ヨーグルト、そして真上にイチゴをふんだんに乗せ、ブルーベリーを少々トッピング、レモン汁をかけ、イチゴに粉砂糖をかければ、ミイニャ特製のイチゴパフェは完成する。
ちなみにこの世界、デカイチゴというそれは、それはデカいのがあるのだが、今回使用しているのはノーマルなイチゴだ。
「わ~、イチゴしゃんがいっぱいで綺麗でちゅ」
ななちゃんは目の前に出されたパフェを見て目を輝かせる。
「よかったね、ななちゃん」
よつ葉ちゃんはななちゃんが喜んでいるのを見て嬉しそうだ。
「お姉ちゃん、ちぃにもイチゴのドリンクをくだしゃい」
「はいはい、ちぃちゃんのは牛乳を多めにしますね」
今日のカフェ『グランデ』はいつもより可愛い、可愛いです。




