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【書き直し中】好きな子を追いかけたら、着いたのは異世界でした。  作者: 縁側の主
一部 四章 金○の願いとアーティファクト
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102話 強敵と新たな力ですか?

 2日目の朝

 今日もお空には晴天が続いている。すっごい平和な一日が始まりそうな感じだ。

 さぁて、張り切って馬車に乗って、目的地を目指すか。


「うぅ・・・。」

「日差しが・・・。」

「まぶたがおもーい・・・。」


 俺が折角いい気分ですごうそうと言うのにこの3人は・・・。

 気分が削がれるってこういうことを言うのな・・・。


「3人共。大丈夫・・・ですか?」

「「「ふわぁぁぁぁ・・・」」」


 眠そうな3人に声を掛けるが口に手を当てて欠伸をかいていた。

 もちろん反応は鈍い。

 俺の感覚が正しければ昨晩、3人は一睡もしていない筈だ。

 ずっと寝ずにガールズトークで盛り上がり夜更かししたのだ。


 まぁ、聖域にこもりっぱなしだし敵襲の恐れも無かったしな。

 ここの所、メイヤード様の修行も真面目に受けてたし、息抜きという意味合いもあって俺も特に何も言わなかったのだが。


 なんで、そんなにチェックしてるかだって?

 いや。俺は1人で3時間おきに起きてはキャンプの火を灯したり、周囲の警戒をしていたから知ってるってだけですよ。


 ボソボソと話し声だけはしてたね。


 それで、明け方に見張りした時にはまだ結界が張られていたので、起きていたんだろうと思ったのだ。

 その後、食事の準備をしている間に結界が消えていたので、現場に行ったらグッタリした3人が原っぱに山積みになって落ちていた。


 それを適当に馬車につっこんで・・・今に至るという訳だ。

 ん? 話の内容? そんなの当然聞かないよ。


 まぁ、そんなこんなで3人共辛うじて意識が有るようだが、ほぼ夢の中だろう。

 時折、3人で仲良く船を漕いでいた。

 ※『船を漕ぐ』とは、コックリコックリ眠気に任せて体を揺することだ。

 会議中に会社の上の人とかが船を漕いでいると殺意が目覚める事があるが、目つきとか視線は気をつけよう。

 ある日、突然部署替えを言い渡されるぞ。



 もっとも、目的地まではもう少しあるので寝かしておこう。



 ・・・・・


 お日様が頂上に登って、そろそろお昼ってところか。

 時間的にもそろそろ目的地に着きそうだが、辺りはあいも変わらず平和だ。

 これは、完全に嵌められたなとソフィーとの婚約から逃げるのを半場あきらめムードの中、進む。


 どう言い訳を考えるかそろそろ本気で考えないとだな・・・。

 その前にそろそろ3人を起こして、調査に入る前にお昼でも取るか。


 馬車を適当な場所で止めようとした時、


「!?」


 俺は周囲を警戒する。近くに何か居るようだ。


「イッセイ。今の感じた?」


 馬車の荷台からエリーが顔を出し俺の肩に手を乗せていた。

 俺は前方を警戒しこちらに向けてくる殺気に対しての位置などを探っているが、相手は相当の手練らしい。全く位置が掴めない。


「うん。ずっと、こっちを見てるね。」

「方向は分かる?」

「・・・いや。なかなか隠れるのが上手いみたいだね。」


 辺りを見渡すが【気配を出しているやつ】の姿は一切見当たらない。

 だが、確実にこちらに対しての殺意だけは強く感じる。


 いずれ来るのだろうが、今はまだこちらを見ているだけって感じだ。


「私達は後ろを警戒する。」

「了解。」


 肩をポンポン叩くとエリーは荷台に行った。

 後ろを見てみると既にソフィーとベネも臨戦態勢だった。こっちもカバーするような気配を感じる。


 随分と、うちの姫たちも頼りになる存在になって来ているな。

 俺は安心した気持ちで後ろを預けることにした。


 しかし、これは公爵家の予想通りこの街道には何か居る。

 一応、『何かが居る事実』さえ王国か公爵の街で伝えれば、ミッションは完遂するのだ。だが、残念ながら(やっこ)さんは見逃してくれるか分からない。

 と、言うか今の所その気配が無い。


 先程からずっと殺気を込めた視線がこの馬車にねっとりとくっついている。

 どうやらかなりの手練のようだ。俺たちにはしっかりと殺気を当ててきているに馬が全く怯えてない。


 どうやら、馬は眼中に無いらしい。


 人だけを殺すマシーンかよ!!

 なんてな。折角の相手からお誘いだこっちから仕掛けるのも良いかもしれない。

 俺の体に流れる魔力量を測る意味でもちょうど良いのかもしれない。


 うん。そうしよう。


「皆。体調がどれ位戻ったか確認させて貰ってもいいですか?」

「急にどうしたの?」


 ベネが聞き返してくる。


「うん。今回の件で魔力が上がったので試してみたいんですよ。ダメですかね?」

「ふーん。良いんじゃない?」

「エリー?」

「ベネも見たいでしょ? イッセイが完全に回復しているのか。」

「まぁ・・・ね。」


 俺とベネの会話に入ってきたエリーは何故か不機嫌だ。


「寝不足なら休憩しててください。」

「べ、別にそんなに寝不足じゃないわよ!!」


 なんか怒ってるんだよな? 寝不足だからなかな?

 目の下に無茶苦茶深いクマなんて作っちゃって・・・。


「何を確認したいのかは置いといて・・・。兎に角行ってきます。」


 エリーから逃げるように馬車から飛び出すと敵の居場所を調べるためセティを召喚する。


「セティ。」

「はいはい~。」


 声がしたと思ったら暴風が発生し風の塊ができる。

 一瞬で飛散した風の塊の中からショートボブの美少女が出てきた。

 カズハと同じく14~15歳位に成長した女の子だった。

 何故か服装が白のセーラー服に変わっているのは謎だ・・・。


 神々しいオーラを放つセーラー服・・・。完全に趣味じゃねーか!!

 セティもその辺は分かっているのか、俺の前で一回回転して見せてくれた。

 しかも、振り向きざまにウィンクしてくる。


 ・・・結構良いね。

 って、違う違う。


「セティ。敵の姿が見えないんだ。風のフィールドを張って音を拾ってくれないか?」

「分かったよ。でも、もっと簡単な方法があるんだけどそっちでも良いかな?」


 セティがそう一言言うと風の塊が見える範囲の景色全てに広がっていく。


 --ボフン。


 広がった風が俺にぶつかり音を立てる。


 ーーピロリ。


 頭の中で音が鳴る。


 ーーピロリ、ピロリ、ピロリ・・・。


 また、頭の中で音がなった。

 辺りを見渡すと俺と同じく風を受けたソフィー、エリー、ベネが受けた違和感を確認していた。

 いや、そんな事はどうでも良い・・・。3人の体が薄い青色で光っていた。


「なんか、皆の体光ってません?」


 俺が3人に言うとセティが、


「あっ、ごめんごめん。それ僕の新しい力の一部なの、味方だった場合は『青』、敵対している場合は『赤』く光るから。味方には青く光る様に見えるから~。」


 ・・・なん・・だと。


 驚いているうちに、


 --ビー、ビー、ビー。


 警告音っぽい音が頭の中にこだまする。

 何で、現代っぽい音なんですかねぇ~。


「何。何。この音、ガラガラうるさいよ。」

「え? 私の頭の中だと違う音が鳴ってるよ。」

「私も、ビー、ビー言ってる。」

「因みにエリーの中ではどんな音?」

「えーっとね。ピーヒャラ、ヒャララ・・・。って感じ。」

「「あ、そうなんだ・・・。」」


 俺と同じ懸念を持ったらしかったが、その人の住んでた環境なのかな? 

 どうも、人それぞれ聞こえている音が違うらしい。


 ソフィーとベネが微妙な顔をしてエリーを見ていた。


「見つけた。」


 セティが言った。

 目を凝らすと少し離れた場所でセティの風に当たった何かが草むらで赤色にポップアップした。

 どうやらこっちを見ていた敵はそこに居るらしい。


 って、先程の警告音は敵だったのか・・・。

 わざわざポップアップの時の音が違うのが無駄に設定が細かい。

 だが、敵の位置が分かるようになったのはありがたい。

 不確定に移動を繰り返す敵は俺たちに場所の特定をさせない動きのようだ。


 既に捕捉しているのだけどね。

 俺は赤く光って表現されている場所に向かって一気に距離を詰める。

 下半身にセティの力を込める。

 風の属性が足にかかりジェットに近い効果を発揮する。

 これは、エリーが開発した技だ。


 --ボフッ!!


 以外に難しい技で俺は上手く使いこなせていないが、走るより断然早い。

 ほぼ一瞬で敵の上空に移動出来たがこちらに気づいた()は俺が目で捉える前に移動していた。


 なかなか早い。


 思わず褒めてしまったが、俺だって逃がすつもりもない。


「バッカス!! プロメテ!!」


 そう叫ぶと俺の周りに10を超す火と土の弾が生成され、命令を待っているかのように宙に浮いている。この弾は【魔導弾】と名付けた。俺の念通りに動いてくれるのでイメージが必要だ。

 一応、一発ずつ飛ばす技を【バレット】と名付けている。他にも技を考えてはいるが未だ完成していないので随時使う予定だ。


 そして、右手には俺の魔力を吸って出来た黒い槍が生成される。さしずめ【魔導鉄の槍】とでも名付けるか、これは俺の魔力を吸わせているのでなかなかの武器になっている。一応デザインはショートスピアーなので突きか投げるのに特化させている。

 ヴィルは俺の魔力を糧に自分で飛んで攻撃をしにいくので俺の腕力やスキルはあまり必要ない。かと言って俺の武器も探さないといけないので、その辺の拾った物や買ってきた武器を使うしか無い。非常に効率が悪かった。魔導で作ったりしていたが上手く出来なかったり時間がかかったりとその辺がずっとネックだったのだが、魔力が増えたおかげで念じるだけである程度作りたいものを生成出来るようになったのだ。


 これは錬金魔導のレベルが上がったと言うことらしい。

 錬金魔導とは、精霊に魔力を渡すことで物質を生成することで、今まで掌に作っていたのは錬金魔導だ。


「バレット!!」


 左手の掌を前に差し出すと宙に浮いた錬金魔導の弾が意志を持ったように敵に向かって飛んでいった。


 --ヒュン。ヒュン。

 --バスッ、バスッ。


 火の玉が地面に着弾し地面を燃やすが、敵はバックステップを駆使して左右にテンポよく避けていった。


 なかなかやるな・・・。


 魔力を使った投擲武器にはまだ俺のスキルは乗らないのでグングニル(100発100中)が付かないし、威力も低い。


 敵の避ける動きで得られる情報も沢山あるのだ。

 更に判るのが、


「あの動き。動物か?」


 イヌ科やネコ科の動物が後ろに飛んだ時の動きに似ている。

 俺はバレットで釣りながら、そのバックステップに合わせたタイミングで槍を投げる。こっちは当然グングニルが付くので、


「ギャン!!」


 手応えあり。

 俺のやりが命中したのかやはり獣のような叫び声が聞こえてきた。


 ーーボボボ・・・。


 足の魔力を調整しつつ槍が刺さっている場所に急行したが、その場には投げた槍しか落ちていなかった。


「血の跡も・・・ない・か。」


 槍を引き抜き辺りを警戒する。

 ポップアップは間違いなくこの地面を刺しているだけに違和感だけが余計に残った。


 少し遅れてエリーも走ってきた。


「イッセイ。後ろ!!」


 エリーの声にハッと後ろを見ると、


「ギャガガガガガ!!」


 爪と牙を剥き出してこちらに襲いかかってくる獣が居た。

イッセイ君も影では色々考えているのです。


お読みいただきましてありがとうございます。

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