夜に見る桜がこんなにも綺麗だとは思わなかった
それは4月の春、高校2年の春休みだった。
学校に友達もいなく春休みは、毎日家の近くの海辺に座り、街灯の下で一人、絵を描いている。
海の音が心を落ち着かせてくれる。
家に帰っても誰もいない、海が僕の居場所だった。
夕方いつものように絵を描いていると、後ろから「なんの絵描いてるんですか?」と同じ年ぐらいの女の子が話しかけてきた。
『海の絵ですよ』
僕は静かな声でそう言った。
すると女の子が『綺麗ですね』と、かすかにほほ笑んだ。
僕は絵を褒めて貰った事が無かったので、嬉しくて僕も思わずほほ笑んだ。
すると女の子が『私、美希よろしくね』と静かに話しかけてきた。
美希は顔も小さく、ショートで顔も整っている。すごく可愛い子だ。
僕も顔を赤くして『よろしく』と答えた。
夜も遅かったので、美希は『またあしたね』と言って帰ってしまった。
それが初めての美希との出会いだった。
僕はまた一人で絵を書き出した。そして11時ぐらいになり僕はいつものように帰った。
そして次の日もいつもの海でいつもの場所で絵を書き出した。
すると夕方ぐらいに美希が、『今日はなんの絵を描いてるの?』と静かに話しかけて来た。
『海だよ』と海の音にかき消されそうなぐらいの声で話した。
すると美希が、突然僕の隣にゆっくりと、腰掛け話しかけて来た。
その日から美希と、毎日この場所で、話していた。
それから1週間僕と、美希は毎日話し続けた。
すると美希が突然、『一緒に出かけない?』と微笑みながら、話しかけて来た。
僕が『いいよ、でもどこに行くの?』と言うと、美希が突然立ち上がり『付いて来て』と僕に言う。
僕は急いで絵をかたずけて美希を追いかけた。
そして美希と、歩いていると目の前には満開の桜が僕の目に映った。
僕は思わず『綺麗だ』と声を漏らした。
すると美希が突然『この景色がずっと見れたらいいのに・・』と小さくつぶやいた。
僕はふと彼女の顔を見ると彼女の頬には一粒の涙がこぼれていた。