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文章の量とその価値

作者: イワオウギ

こういったことはあまり投稿しないのだけれども、

参考になる人がいるかもしれないので、書いておきます。

現在、私はここで小説を連載しているのだけれども、

その執筆作業において、

最初は行っていたが、今はやっていないことがある。

要するにサボっていることがある。


それは、文章の軽量化。

文字抜き作業。

せっかく頑張って書いた文章を、

その意味を保ったまま、可能な限り文字を削っていく作業。


やめた理由は至極シンプル。

時間がかかって、シンドイから。


そもそも、どうして文の軽量化なんて行っているかと言えば、

それは、あの小説は、

あれでも一応、

私みたいな、読むのが遅い人向けに書いているからだ。


私は、本を読むのがメチャクチャ遅い。

文庫本1ページ読み終えるのに、10分かかったりする。


理由は色々。

視読でなく、黙読しているから。

いちいち風景を脳裏に描かないと、そのストーリーを理解できないから。

あとは単純に、私の読解スピードの遅さもある。


で、あの小説は、

そういった人たちの読書の負担をなるべく軽減するため、

文章表現を可能な限り平易に、

さらに、その文量自体も少なくなるように、

時間をかけ、

何度も何度も繰り返し修正し、

1文字単位で削って、

それからここに投稿していた。


ハッキリ言ってこの作業は、

私にとっては、すごく骨が折れる。

文意を変えずに文字数を増やすことは簡単だけれども、

逆に、減らしてそれを保つのはとても難しい。

そして同時に、とても虚しい。

恐らく、ほとんどの人は気付かないし、

評価しないだろうし、

それにある意味、文量を減らすことは、

その文章の価値をわざわざ下げる行為に近いからだ。


例えばネット上の記事の原稿料について、

その文字数がベースになっている、というのは、

珍しくも何ともないことだと思う。

同じ意味のまま文字数を減らす、というのは、

この基準で言えば、価値を下げていることになる。


それと、別にこれは原稿料を払う側だけじゃなくて、

読む側の評価にも、同様の影響を与えている。

例えば、パッとその該当ページを開いて、

で、文字がビッシリ並んでいれば、

この人、力を入れて書いているなぁ、って評価になりやすいし、

逆にスカスカだと、

良いこと書いてるけど、もっと何か書けよ、ってなる。


こういったことは、別に文章の執筆だけではない。

例えばゲームのロード時間。

ロードが短くなれば、(見かけ上の)プレイ時間も短くなってしまう。

どこかのレビューに、これだけの時間しか遊べなかった、と、

クリア時間を載せた上で批判されてしまうかもしれない。


私はゲーム業界の人間ではないので分からないが、

それが理由でロード時間の短縮に余り熱心でないメーカーも、

少しはあるんじゃないのかなぁ、と勝手に邪推してる。


ただ、ここでひとつ言っておきたいのは、

文量や、あるいはロード時間を含めてのプレイ時間が長いことは、

確かに、それはそれで価値があるということだ。

他の人はどうだか知らないけれども、

少なくとも私は、悪いことではないと思っている。


そもそも、

どうして本を読んだり、映画を観たり、ゲームをしたりするかと言えば、

それは有意義な時間を過ごすためだと思う。

文字数が多ければ、確かにそれを読み切るのは苦労する。

でも、その分、

長い時間、その世界に浸れることになる。

ゲームのロード時間だって長過ぎるのはダメだけれども、

シーン切り替えの、ちょっとした時間なら、

次の展開を想像したり、受注しているクエストを思い出したりしながら、

その僅かな時間を楽しむことができる。

まぁ、ロード時間に関しては、

何が何でも短くないとダメ、って人もいるけれども。



市販されている小説でも、たまに私の小説みたいに、

文字数を削って、文章表現を簡素にしているものがある。

その感想には、よく、

文章力がないとか、味気ないとか書かれているのだけれども、

あれはあれで、

そういった趣向で書かれていることは理解して欲しいなぁ、と思う。

念のために書いておきますが、

私の小説を評価しろ、って意味ではないです。

あれは、もともと、

ほとんどの人には受け入れられないだろう、と思って書き始めてますので。

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― 新着の感想 ―
[良い点] イワオウギ様 そういうケースがあるのかと、私にとって斬新で勉強になりました。 [一言] 兎に角、文字数を減らせ 文書の作法で、そういう、教えはあるけど……(年甲斐も無く、私は、トコトン苦…
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