表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/35

ーーユニオン・スクエア近辺。


未だ収まらなぬ黒煙。

巨漢魔人の怒号

警察たちによる銃声

人々の悲鳴。

無言の死体たち。


ニューヨークはこの世の地獄と化していた。


「……なんだよこれは」


爆発により廃墟となったユニオン・スクエアを眼下に見下ろし、ホテルの屋上に立つ少年は吸血鬼のような赤目を細め呟いた。

サラサラとした銀髪が揺れる。


「ミスターライ!」

「ん、なんだ」


彼が振り向くと、黒いローブに身を包んだ男たちが数名立っていた。


「あなたの援護に参りました」

「……特殊捜査局の者たちか」

「はい。ジャスティン副支部長より、天華院家の大切な御曹司であるあなたをお護りすると共にこの街の救済の命を預かっております」


彼は眉をひそめ、パトカーや警察官らを吹っ飛ばし暴れる巨漢魔人の姿を見やった。


「……なら、あのハルクをなんとかできるか。俺は、それよりもっと厄介な敵を倒す必要があるからな」

「もちろんです。前局長のフェリアスさんにみっちり仕込まれてるので」

「フェリアスか。……なら頼むぞ」

「はい!」


彼の言葉で、フードの者たちは巨漢魔人の元へ飛んだ。


だが、1人の男が残っていた。


「……お前もいけ」

「しかし」

「大丈夫だ。俺は奴らには奪われない」

「……はい。ではご無事を」


最後の男も飛んでいった。

少年、もとい天華院(テンカイン)ライは、よし。と一息ついた。


「いくぞ、ハデス」


彼がそう呟くと、死神の持つような大鎌が現れた。

同時に彼の背中からは漆黒の翼が生え、頭には同じく漆黒の王冠が現れた。


そして、ゆっくりと後方を振り向く。


「やっぱりラルゴたいちょーの言う通りだ!きたっ」


空中から屋上に降り立った女魔人、ラージャはサーベルに変えた両腕同士をカンカンと鳴らす。


「……さっさとこいよ。魔人」

「ラージャだよ。ライくん。んふふっ。冥界の王、神器ハデスか。楽しませてね」

「御託はいい。殺してやる」

「んふふ。神器ももらったら、あとで頂きます」


ライが構えると同時に、ラージャはサーベルの刃先を向け突っ込んだ。


振るわれた両方のサーベルをまるでボクサーのジャブのように高速で突くが、ライは表情1つ変えず全て避けてみせる。


「んはっ。すっごーい」

「こんなもんか」

「まだまだ!」


ラージャがサーベルをコンクリートの地面に突き刺すと、まるで間欠泉のように何本もの刃先が飛び出た。


「ふんっ」


だが、なおもライはジャンプで避け、伸びる刃先をハデスで切り裂く。


「なかなかやるー。んふふ。楽しいよ」


ヘラヘラと笑う彼女を無視し、彼はハデスの刃先を向けた。


「リフト・ジャック」

「っ!なに」


ラージャを驚かせる暇も与えず、ライは魔術で彼女の身体を浮かすと、隣のビルの壁まで吹っ飛ばした。


「ぐっ!」


壁を突き破り、ビルのオフィス内まで飛ばされ柱に頭をぶつける彼女。


「ったい。今のは効いた……っ!」


すると、黒い翼で飛んで追いかけてきたライが現れ、更なる追撃を加えるべくハデスを振りかざした。


だが彼女は消え、ヒビの入った柱が残っていた。


「!」

「こっちだよ」


ライが振り向くと、背後にラージャが立っていた。

傷を負って膝から黒い血を滴らせるも、不敵な笑みに彼はハッと気づく。


足元の床全体に赤い魔術陣が出現していた。


「くそっ」

「ボン!」


彼女の言葉により、巨大な爆発が起きた。


オフィス内に響き渡る断末魔。

外に飛び出してたラージャは、爆発により砂煙をあげて崩壊するビルの姿を見下ろす。


「んふふ」


ニヤリ。勝利を確信しほくそ笑む彼女は、ライの死体が出る瞬間を待ち向かいのビルに移る。


「……なに、気ぃ抜いてるんだ」

「っ!」


瞬間的にサーベルを構え彼女が振り向くと、血だらけのライが肩で息をしていた。


「(フラッシュトラベルを使わなければ危なかった。……魔術を発動するタイミングで翼で身体を守っても、少し爆風を喰らってしまったが)」


ダメージを受けながらもルビーのような瞳で強く射抜く。

その様子に彼女もついに笑みを崩した。


「さすが神器を持つだけあるね。だけど所詮は人間。もう、死ぬよ」


目元を力ませ三白眼を向ける彼女は、先ほどと同じ女とは思えないほどである。


対して、今度はライが笑う。


「いや、死ねないな。……魔人を滅するのが俺の使命だ」

「その口を聞けるのも今のうちだよ。人間のくせに、私たちの力を奪い、私たちの仲間を殺してきたクソゴミ」

「……本当にさっきの軽い女か?ふん。趣味で人間を殺すお前らよりマシだと思うが」

「煩い。よこしなよ!」


大声を張り上げ再び彼女はサーベルを伸ばした。


「芸がない」

「!?」


ハデスで攻撃を受け止めたライは、刀身から魔力を流し込みサーベルを離さない。


「くっ!なに、離せ人間!」

「……ヘル・フレイム」


その呟きと共に、大鎌の刀身から灼熱の炎が湧き出した。


炎は生き物のように、サーベルを通して彼女の身体を蝕む。


「うわっ……く、くるな!!くっ」


空間移動魔術で逃げようにも、サーベルが離れず使えない。


そのまま炎は彼女を完全に包みこむと、円柱型の大きな火柱となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ