表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/35

5ヶ月後。


ーー東京、渋谷。


人でごった返す、昼間のスクランブル交差点。


「いてっ!」


レンタルショップからの帰り道、お気に入りの洋楽を聴きながら歩いていた制服姿の少年は、人混みの陰から顔を出した1人の少女とぶつかった。


彼のセットされた茶髪と左耳のピアスについた十字架がゆらりと揺れる。背中のスクールバッグについた星型のキーホルダーが回る。真紅のネクタイが僅かに浮く。


「きゃっ」

「……っと。わりぃ。怪我ないか?」


とっさに体勢を立て直し華奢な少女の肩を抱くと、自分の元へ引き寄せた。


「……は、はい。大丈夫です」

「!」


黒いキャップから顔を覗かせた少女に少年は目を奪われた。


白磁のような真っ白の肌に鮮やかなオレンジ色のツインテール。髪と同じくらいに朱色が輝く大きな瞳の美しい顔が現れたのである。


瞳よりもさらに赤い、紅色の小ぶりな唇が微笑みに歪むと思わずたじろぐ。


少年は見開いたままの目をやっとこさまたたいた。


「あの。どうかしましたか?」


細い小首を傾けて不思議そうに少女が尋ねると、少年は慌てて頭を振る。


「あぁいや別に。そんじゃ!」

「はい。……きゃあっ!」


少年がそう言って離れようとすると、傍らから人影が彼らの間を横切って再び彼女の悲鳴が響いた。


「どうした?!」

「ど、どろぼう。……バッグに大切なものが入ってるのに」


少女は心底悔しそうに唇を噛み締め、絶望に震えながら濡れた瞳で少年を見つめる。


「っ!」


お願い。

そう訴えかけるような彼女の目に彼の胸は締め付けられ、自然と握りしめた拳に力が入る。


「……この辺で待ってろ。大切なもの。取り返してきてやるよ」

「えっ……?」


青みがかった瞳を決意の色に染めると、驚く少女を他所に、ひったくりが向かった方向へ走り出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ