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17.最強パーティ結成?


 なんだかよく分からない流れで、白竜騎士のクロムが仲間になった。

 白髪に金の瞳、白い肌をした背の高い美少女で、白銀のライトアーマーを装備していて、発達しまくったプロポーションの持ち主だ。

 ちなみにレベルは25で、HPは150だった。ギルドのエースだけあってかなりのハイスペックだ。

 ついでに聞いたところによるとサリアはレベル20だそうだ。HPは30とかなり少ないが、サリア達がいたギルドではクロムに次ぐ実力者だとか。


 得物であるドリルみたいな大型剣を背中に担ぎ、クロムは俺達に付いてきた。


「……」


 なんか、背後からすごく熱い視線を感じるんだが……。

 真後ろに立つのはいいとして、あんまり見つめないでくれないかな。


「ハチオは美味そうだ……ふふふ……」


 やっぱりコイツ、俺を食料として見てないか?

 ドラゴンの姿に変身できるだけに、洒落にならないな。油断してたらバクッと一呑みにされそうだ。


「そ、そう言えば、クロムはあの広場で何をしてたんだ?」


 牽制するつもりで話を振ってみる。

 するとクロムは淡々とした口調で答えた。


「ギルドを出て、仕事がなくなった。それで私の腕を買ってくれそうな人を探していたの」

「なるほど。で、よさそうな相手はいなかったのか?」

「目を合わせようとすらしてくれない人がほとんどで……女の姿だと声を掛けてくるのはいるのに、竜だとウケが悪いみたい」


 まあ、そりゃそうだろうな。

 ドリル剣を携えた鎧姿の竜なんかに声を掛けようってヤツはなかなかいないだろう。俺だったら絶対に目を合わせないし。

 クロムも『暗黒ギルド』にメンバー登録しているそうだが、パーティを組む相手がいないのでソロ活動オンリーらしい。


「仲間ができてうれしい。よろしくね」

「あ、ああ。こちらこそよろしく」


 サリアがいたギルドのエースだったらしいし、腕前の方は期待できそうだ。

 俺を見る目がなんだか妙なのが気になるが……頼むから噛み付いたりしないでくれよ。


「全然、強そうに見えないのに強いっていいな……すごくいい……」

「ク、クロム? なんでハアハア言ってるのかな?」

「気にしないで。……あとでペロペロさせてもらおうかな……」

「ペロペロって何を!?」


 かなりの美人だし、好意的に接してくれるのはうれしいが……食欲の対象にするのは勘弁してくれ。さすがに怖すぎる。


「ハチオさん達と一緒ならクロムさんも行動を共にしてくれそうですが……ギルド再建までの道のりは険しいですね……」


 サリアは難しい顔をして、ブツブツと呟いていた。

 おかしなマイナー神信仰を掲げているからまずいんじゃないのか。

 宗教抜きでギルドを立ち上げるわけには行かないのかな。


「布教活動を兼ねていますので。ギルドだけ運営しても意味はないのです」

「そうなのか」


 しかし、暗黒神とやらが一般的で、聖なる神々が邪教扱いって、嫌な世界だな。

 邪悪なのが正義であったりするのか? だとすると魔人というのも悪い扱いじゃないんじゃ……。


「魔人は極悪ですよ。魔に属する者の中でもとびきり邪悪で禍々しい存在です。暗黒神の使徒や魔族ですら、魔人を恐れていたり毛嫌いしていたり、殲滅対象にしていたりするぐらいですから」

「そ、そうなのか……」


 普通に悪い扱いだった! 暗黒神はよくて、魔人は駄目だっていうのか。善悪の判断基準が分からないな。


「暗黒神デリューザは無よりこの世界を創造したとされる神です。闇を司る神ではありますが、本質的には別に邪悪というわけではないのですよ」


 闇を司るが邪悪じゃない? そういう考え方もあるのか。

 あれか、光から全てが生まれるんじゃなくて、闇から生まれるっていう考え方なのかな。ずっと前に何かで読んだ気がするぞ。

 邪悪じゃないのなら、それを信仰しても問題ないんじゃないかと思うんだが、違うのか。


「暗黒神の信者は、白き者、聖属性の者に対し、異様なほど敵意を剥き出しにするのです。ちょっと白系の神を崇めただけで邪教徒扱い! ひどい話でしょう?」


 するとノイズィが口を挟んできた。


「邪教徒は怖いから嫌われてるんだぞ! 入信しろってしつこく付きまとったり、暗黒神の悪口を言って回ったり、町のあちこちに怪しい像を置いたり……邪教徒を見掛けても目を合わせるなっていうのが常識だぞ!」

「……マジか。そりゃ嫌われるわ」


 俺が非難の目を向けると、サリアはサッと目をそらしていた。

 図星なのかよ。そこは否定しなくちゃ駄目だろ。


「ううっ、だって……マイナーな神を広めるためには多少は強引な手段を取るのも仕方がないかと……訴えられないギリギリのラインで……」


 まあなんだ。信仰するのは自由なんだろうからがんばれ。俺は手伝わないけど。


「私はくじけませんよ! たとえ一人きりになっても我が神への信仰とギルドの運営を両立させて……あっ、そこのお爺さん、白蛇王の信者になりませんか? 今、入信すれば、このありがたい白蛇王のご神体を特別に5万Gで……」

「おい、やめろ! 俺達まで仲間だと思われるだろうが。そういうのは一人きりの時にやってくれ」

「えー?」


 通りすがりのお年寄りに勧誘を始めたサリアを注意しておく。

 「えー?」じゃないだろ。勘弁してくれよ……。

 サリアは真面目な子だと思ってたんだが。もしかすると彼女が一番デンジャラスなのかもしれない。


「そう言えば、報酬はもらえないのか? 竜のお姉ちゃんを連れ出したんだし」


 ノイズィが呟くと、サリアは困った顔をしていた。


「ギルドに戻ってくれたわけではないですし……そうだ、このご神体を分けてあげましょうか? 特別に半額でいいですよ」

「いらない……しかもお金取るつもりって……怖すぎるぞ邪教徒め!」

「邪教徒呼ばわりはやめてください! 世間の目が痛いので!」


 よかった。少しは世間の目を気にしてくれてるらしいな。

 平和が一番だよな。揉め事の火種になるような要素は持ち込まないで欲しいもんだ。


「しかし、いい感じに仲間が増えてきたな。そろそろドカンと大きく稼いでみてはどうだ?」


 コウモリみたいな羽をパタパタさせ、俺の前に浮遊したメルが言う。

 稼ぐ事に異論はない。金がないとどうにもならないのは異世界でも同じみたいだし。

 だが、大きく稼ぐというのは危険じゃないか。そういうのには大概、大きなリスクが付きまとうものだし。


「私は賛成だぞ! せっかくパーティメンバーがそろったんだし、一人じゃ無理だった依頼をこなすべきだと思う!」


 ノイズィはやる気満々みたいだ。今までは組む相手がいなくて困ってたみたいだしな。


「私も……ギルドを出てからは小さな仕事しかしていなくて、そろそろ貯金が尽きてしまいそうなの」


 クロムもやる気なのか。実力はあるみたいだし、大きな仕事に挑戦したいと考えるのは当然か。


「私もやりますよ! ギルド再建の資金はいくらあっても困りませんし、大きな依頼をこなせば我が神の名を知らしめるチャンスに繋がります!」


 サリアもか。それぞれ事情は違えど、でかい仕事に挑んでみたいという気持ちは一緒なんだな。

 こうなると、俺だけが反対するのも変か。まとまった資金が欲しいのは確かだし、戦力だってそろってるんだ。リスクを恐れてばかりじゃ駄目だよな。


「よーし、じゃあ、やるか! 難易度が高くて、報酬も高い依頼に挑戦してみようぜ!」

「「「「おーっ!」」」」


 俺が宣言すると、みんなは笑顔で拳を振り上げ、賛同してくれた。

 うんうん、なんかいい感じだな。パーティとしてのバランスも悪くない気がするし、このメンバーなら大概の依頼をこなせそうだ。

 さて、それじゃギルドへ行ってよさそうな依頼を探してみるか。なるべく危険が少ないヤツがいいんだが……。


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