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Limit RAVEN  作者:
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0、さぁ、遊びましょう

0、さぁ遊びましょう




GiFT、それは昔からある力のこと。

GiFT、それは誰にも真似の出来ない力のこと。







さぁ、誰も断罪することの出来ないモノたちへ。




もう、逃げ場はないよ。









断罪のジャッジメントは、いま下される。






さぁ、遊びましょう。



さぁ、踊りましょう。






武力には武力を、

GiFTにはGiFTを、










さぁ、断罪の時間です。










その名は





『Limit RAVEN』





「んーと、


確かこの辺だったよね?ターゲットのいるトーコーロ」

「うん。でも、この情報もどこまで使えるかって言ったらちょっと怪しい」

「ま、良いんじゃないのぉ?俺たち…Limit RAVENの初仕事としてはさー。だいたいさぁ、解ってんでしょ?どこまでがマジで、どこからがガセか…さぁ」

「………解ってないとは言わないけど、そんなに私を信じていいの?闇夜の執行者、闇の主…闇主サン?」

「そおゆーあんたこそ俺でイイワケ?天命の執行者、天音チャン♪」暗闇の中で、軽口を叩く男とその隣にいる少女。

「問題ない。………あなたが一番古株だって聞いて、私があなたを指名した」

「え、マジで?天音チャンが俺を?うひょー!じゃぁ俺今日頑張っちゃおうっと」

「いつも。いつも頑張って。これから当分あなたと組むことになったの、私」

「マジか」

「マジよ」


二人は木の上で慣れた手付きで端末をいじくる。

さて、この辺で二人の容姿に少し触れておこうと思う。


一人、闇主と呼ばれた方は身長は179、といったところだろう。黒い服、黒髪に黒い瞳に微かに緋が混じった、つり目がちの男。

その目だけを見たなら猫を思い出させるだろう。


さて次は天音と呼ばれた少女 。

少女とは言え、それはあくまで闇主の身長と比べると子どものようだという意味であって、彼女達はほぼ同年代だ。

闇主が16、天音は15。

天音の身長は教えてはくれないが、ちょうど闇主の腕の中にスッポリ入り、ちょうど胸の下辺りに天音の頭が来る。

さり気なく(でもないかもしれないが)天音の身長はコンプレックスである。

やはり黒い服に身を包んでいるが、天音の髪は蒼銀で、片目は深海の蒼、片目は熱帯の海を思い出させる碧だ。

コンプレックスな身長がイヤだと闇主に抱きかかえるように指示していたが、闇主はこの年の割にデカくなりすぎちまったよどうしような男である。

仕事も天音は真面目にこなしいつの間にやらトップクラスに。

闇主は気の乗らない仕事はやらない・サボる・バックれる。

という三拍子のくせに実際の仕事の腕はトップクラスの先陣を走り続けるというとてつもなくズルい(天音曰く。それが闇主には可愛くて仕方ない訳だが)

そんなこんなでデコボココンビの二人は今日がコンビとしては初仕事だった。

天音はとても嫌だった。闇主のこの軽薄な物言い、そして身長。

仕事に対しての姿勢。

でも、何よりも天音の興味がそれよりも勝った。

闇主の仕事には二度と付いて行きたくないと仲間たちに言わせる仕事の仕方に興味があったのだ。



まぁ、やっぱり天音としては身長が許せなかったのであるが。

だがそんな天音に対し、闇主はと言えば優秀と言われ、仕事の出来は自分にも劣らないと言われるほどの持ち主がその色とその持ったもの故に遠ざけられていると聞いた時から闇主は天音が気になっていたのだ。

こんなチャンスはまたとない。

(いやぁ…言ってみるもんだねぇ、俺たちを捨て駒にしか見てないくせにさぁ)

そう、今回のこのチャンスは闇主が勝ち取り奪い取ったものなのだ。

(さぁ、天音チャン。……………あんたの実力、どんなもんか見せて貰おうか)



天音はそんなこと思いもせず、仕事のパートナーに嫌々ながらもなったのだから、と天音は闇主を信じている。

でなければ、抱きかかえさせたりなんてしないだろう。

「ねぇ闇主、………ここには『私タチ』の欲しいモノはないみたい。あなたのは?」

「んー?俺は天音チャンみたく全部が視えるワケでも解っちゃうワケでもねーからこっからじゃ解んねーなぁ」

ムッとした天音の顔が闇主の肩にムスーン、と膨れながら埋められた。

どうやら天音はその能力の事を言われることが好きじゃないらしい。

「…………あなたがパートナーじゃなかったら殺してやるのに」

「えぇ!?」

前言撤回。物凄く言われることが好きじゃないらしい。

「あなたを殺したはずなのに生きてるって皆から聞くもの……きっととっても綺麗な……………なんでもない………」


天音は闇主の目にハッとして口を閉じてしまった。

天音にはその力が具現化して視えると聞いたことはある。

その時は具現化する能力の持ち主が気付かないうちに天音達の様なチカラの強いものといることによって起きた共鳴だったのだろうと闇主は理解していたが、どうやら天音には視えているらしい。


だとしたら、この俺の能力とはどんな姿をしているのだろうか。









この俺の、たった2つしかないGiFTは。



「ねー天音チャン」

「なに?」

「今日さぁ、仕事暇になったらゴメンね」

「GiFT、そんなに使えるの?」

「さぁ?……それは見てからのお楽しみ」

「………イラっとした。いま、すごくイラっとした」

「顔見れば解るよ。そんなにヤだった?」

「ヤだって言うかイラっとした。

闇主、私そんなに弱そう?」

「え、正直に言っていいの?」

「…………どーせ、どーせ天音はいつもそーやって弱そうとか言われますよ……」

「あ、ごめん。まじゴメン。そんなことより」

「行こうか、バレたし」

「いやバラしたの天音ちゃんじゃん」

「…………………」

そう、天音がいま不貞腐れて石を投げたのだ。


「…………細かいことは、気にしなぁい」

「気になるよ!まぁいっか」



二人は同時に飛び降りて、ふわり、と着地した。


天音がかぶったフードをはずせば、耳の下で二つに結んだ綺麗な腰まである髪が、惜し気もなく月の下にさらされる。

左右の違う色の瞳が、キラキラと輝いて、闇主は場に相応しくないが綺麗だと思った。


闇主もフードを外す。すると黒髪、緋色の混ざった黒い瞳が覗く。


遠くから怒声が聞こえてくるのを、二人は意に介することもなく、歩き出した。






















「………っなんなんだ、お前たちは!」

「なんなんだ、って…」

「この格好見て解らないのかなぁ?」

二人は顔を見合わせた。

回りには死体の山。




「……まぁいいや、私たちは『Limit RAVEN』」

「アンタの罪、断罪しに来ましたー」

「罪だと……!?」

「あなたの罪は、民衆から血税をむしりとり、払えなかったものへの拷問と殺害です」

「え、まじで」

「闇主、任務のことくらいちゃんと、」

「あ、やめてやめて耳が腐る」

「…………」

天音は闇主を睨んだ。



「………はぁ……まぁいいか。

助けを乞うのも、求めるのも無駄です。………さぁ、」


天音は傍にいた大きな狼に腕を回した。

闇主は笑う、嘲笑う。

「「断罪の時間です」」





その直後、首が食い千切られて男の視界は暗くなった。










さぁ、遊びましょう

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