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秘密を抱えたふたりの錬金術師  作者: 雪月フィア


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七話

 無事に規定数の自白剤を作り終えたアルメリアは、深く息を吐いて椅子に体を預ける。使い魔の視線を、壁にかけた時計の方へと向かせると、もうすぐルシエンが夕飯へ呼びに来る時間だった。ゆっくり休んでいるように言われたのに、小言を言われるかそれとも呆れられるか。

(……いや、あいつならそうしないとわかってるだろうし、今更何も言わないだろ)

 それよりも問題なのは、夕食後なら構わないと言ってしまった、ノアとの件だ。あの様子では何を聞かれるかわかったものではない。いや、聞かれるだけならいいのかも知れないが。

(何を聞かれてもいいように、心の準備をしておかないとか……)

 なんて考えていたら、部屋の扉が規則正しく叩かれた。相変わらず時間通りである。

「アルメリア様、夕食の時間ですよ」

「今いく」

 ルシエンの声にそう返事をして、部屋から出る。その姿を確認したルシエンは片手を胸に当てて、軽く礼をした。

「では、参りましょうか」

「あぁ」

「薬の方は全て作り終えましたか?」

「なんとかね。というか、やっぱり休まないとわかっていたんだね」

「ええ。付き合いも長いですし、いくらあなた様といえど、そんなにすぐに出来てはいないだろう、と思っていましたので」

「理解のある使用人で助かるよ」

「それはどうも。ですが、カトリスからは小言を言われるかも知れませんね」

「違いない」

 二人はどこか楽しげな様子で会話をしながら、共に食堂まで向かって行った。


 着いた先では珍しく、ノアがもう席についていた。

「ではお食事を持って参ります。しばしお待ちください」

「あぁ、わかった」

 立ち去ろうとするルシエンに、ノアは椅子に座ったままお願いしますと言うように軽く頭を下げた。その様子を横目に見ながら、なんだか緊張しているようだと思いながら微笑み、軽く手を振って返してその場を後にした。

「珍しいね」

「その、部屋にいてもなんだか、落ち着かなくて……」

「そう」

 ソワソワしたように指先を合わせて、俯きがちにそう言えば、アルメリアはあえて淡白に返した。

 程なくして、ルシエンが二人分の食事を配膳し、それを終えると「どうぞ、ごゆっくり」と告げて再びその場を後にした。揃って食前の挨拶をした後、食事を始める。

 互いに黙々と食べ進め、少し経ったところでノアが不安そうに口を開いた。

「その、食べ終わったら教えてくれるんですよね……?」

「……まぁ、さっきいいって言ったからね」

 アルメリアは一瞬固まってしまったが、すぐにそう返した。返事を聞いたノアは安堵の表情を浮かべ、少し上機嫌そうに食事を再開した。その様子を見たアルメリアには若干の後悔があったが、今更後には引けなかった。

 各々違った思いを抱きながら食事を終え、席を立った。見送りに来たルシエンに、アルメリアは「また後で」と告げた。ルシエンは返事の代わりに軽く頷いた。そして歩き始めるアルメリアとは対照的に、ノアはルシエンの前で立ち止まった。

「今日も美味しかったです! ごちそうさまでした!」

「それは何よりです。明日の朝も楽しみにしておいてくださいね」

「はいっ!」

「ノア、早く行くよ」

「呼ばれていますよ。怒られる前に行った方がいいのではないですか?」

「わわっ、そうしますっ。それじゃあ失礼します!」

 ノアは勢いよく頭を下げると、パタパタとアルメリアの元へ向かって行った。ノアが近づいて来たのを確認したアルメリアは、止めていた足を再び動かした。そうしてそのまま、二人はノアの部屋へと歩みを進めるのだった。


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