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たすけて

作者: ナニカ

ここまでご覧いただきありがとうございます。面白ければ評価、ブックマークよろしくお願いします。

〇オフィス外

      蝉の音が聞こえる

〇オフィス中・入口

      髪女、血で濡れた髪を櫛でとかしている。

      ロープ霊、首のロープを強く握りしめうなっている。

〇オフィス外

      男がオフィスに入っていく。

〇オフィス中・入口

   男「うわああああああ。」

      男は叫び腰を抜かす

      髪女は男にゆっくりと近づく

   髪女「こい、こい。」

      髪女は男の腕をつかむ

      男は髪女の手を振りほどこうとするが、髪女の力が強いため振りほどけない

〇オフィス中・奥

      ロープ霊はオフィス奥にいる。

      男は叫んだまま、オフィスの奥に運ばれる

      そして髪女に投げ飛ばされる

      男は二体の霊に挟まれている

   髪女「われらはお互いの言葉が分からない。お前が訳して我らをたすけるのだ。お前ならわかるは    ずだ。」

   男「え、え。」

   男はまだ腰が抜けていて逃げ出せない

ロープ霊「俺は、酒屋とアパートまでの人間を。」 

      髪女にはロープ霊の声がうめき声にしか聞こえない。

   男「え、え、え。」

   髪女「訳せと言っただろ。なんといってるんだ。はやく、教えろ。さもないとお前を殺すぞ。」

      髪女は男の首を絞める

   男「あ、あのロープをまいている人は酒屋とアパートまでと言っています。」

   髪女「なにをいっている。アパートはわれの土地だ。」

      髪女は男の首をより強く絞める

   男「くかあ。」

      髪女は男を再び投げる

      次に髪女はそのままロープ霊の首を絞める

   髪女「お前。我をなんだと思っている。」

      男は隙を見て逃げようとする

   ロープ霊「ああ、助けて、助けて。苦しいあああああああ。」

      ロープ霊は足をばたつかせながら、男を見る。

      男は声が聞こえた瞬間振り返り、ロープ霊と目が合う。

   ロープ霊「あ、あ、ああ。た。たすけ。」

      ロープ霊は男をさらに見つめる

   ロープ霊「あ、t。あ。tあ。」

      ロープ霊は泡を吹く

      男は眉をひそめる

      男は無意識に髪女の手をつかむ

   男「もうやめてください。」

   髪女「お前ごとき人間が我に何を言っている。」

      髪女はロープ霊から手を放し、男を睨み付ける

   髪女「いや、まあいいだろ。少しは話を聞こうじゃないか。」

   男「え。」

   髪女「早くしろ。」

   男「え、えっと。」

      髪女は不敵に笑う

   髪女「おまえ、そもそもこれが何についての話し合いか分かっていないだろ。われらは、この地域に住む人間をどちらがどれだけ呪い殺すか決めてるんだぞ。」

   男「呪い、殺す。」

   髪女「今更、怖気づくなよ。やめるなんて言ったらお前を今すぐに殺すぞ。」

      男は震えながらつばを飲み込む

      髪女は再びロープ霊の首をつかむ

   ロープ霊「あ、あああ。」

      ロープ霊は涙をうかべながら、男をみる

   髪女「お前もこうなりたくないだろ。」

   男「もうやめてください。わ、分かりました。ロープの方あなたは何でアパートの住民にこだわるんですか。」

     髪女はロープ霊の首を絞めるのをやめる

   ロープ霊「俺はあそこで自殺したんだ。急に俺の妻が事故死しちまって。会社は突然リストラされる上に。あそこは俺たちの魂が残ってるんだ。だからあのアパートはだめなんだ。」

   髪女「こいつは何と言っている。」

   男「この方あのアパートで自殺されたらしいです。だから、魂が残っているようで。」

      髪女、ロープ霊を睨み付ける

   髪女「お前、我に本気でそんなこと言ってるのか。我ははるか江戸の時代からこの域の住民を呪ってきた地縛霊だぞ。お前が生まれるよりはるか昔から、こんな霊が出てくる以前からあそこは我の土地と決まっておるのだ。」

   髪女はロープ霊と顔が付きそうなほど近づく

      髪女は何かに気づいた様子で、大笑いする

   髪女「ああそうであったか。なるほどなあ。よく見たら思い出したわ。こいつは我が呪い殺したのか。」

   男「この人を呪い殺した、、。」

   髪女「ああ。こいつに、死ぬ前によく野良猫を拾っていたか聞け。」

   男「は、はい。あの、あなたは生前野良猫を飼ってましたか。」

   ロープ霊「ああ。よくひろって育てていた。」

   男「育てていたらしいです。」

   髪女「本当にこいも惨めだな。その猫には我の呪いがたんまりと込められておったのだ。こいつは変な愛情をもっているばかりに猫を拾って、我の呪いに触れた。それで、我に殺された。」

      ロープ霊が苦しみ始める

      男は目を見開いてロープ霊を見つめる。

   ロープ霊「許さない。ゆるさ。」

   男「大丈夫ですか。」

   髪女「苦しいな。苦しいな。悔しいな。惨めだな。汚らわしい猫を拾ったら、妻も死ぬなんてな。」

   ロープ霊「猫。猫。」

   髪女「おお、妻より猫が気になるか。薄情なのか愛情深いのか分からん奴だな。まあいい教えてやろう。実はな、あの猫も私が殺したよ。」

   ロープ霊「ああ、ああああ。」

      ロープ霊は男をみる

   ロープ霊「たすけて。たす。」

   髪女「よし、お前がちょっとくらいわれの土地に入るぐらいは認めてやろう。だが、対価として一生その苦しみを味わえ。」

      ロープ霊は苦しんだままうめき声をあげる。

      男は目をそらしてしまう。

   髪女「男。お前のおかげで物事が片付いた。それに免じて見逃してやろう。」

      髪女は男に近づき、男の顔を血で濡らしながら消えていく。

   髪女「あ、そういえば今思い出したがな。こいつは猫を助けた優しい奴なんかじゃなかったわい。そんな奴は人を殺す霊にはならんさ。」

      男驚く。

   髪女「こいつは自分の妻を殺した殺人者だぞ。」

〇オフィス中・入口

     男ははっとして急いで入口まで走る

     ロープ霊は苦しみながら男に近づく

   ロープ霊「許さない。もっと殺す。おまえも。」

   男「たすけて。」

END


ここまでご覧いただきありがとうございます。面白ければ評価、ブックマークよろしくお願いします。そして、もし宜しかったら次も見てください。

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