転校生の彼
転校生に好意的だったクラスは、放課後には彼――白井くんを避けるようになっていた。
白井くんは誰に対してもハッキリ言う性格のようで、話しかける人を驚かせていた。彼に寄ってきた美少女たちなど、一刀両断されていた。
遠巻きに噂されても白井くんは我関せずといった様子だ。
「おい田中。少しいいか?」
HRが終わり帰ろうとした時、強井先生が呼び止めてきた。
「はい。なんですか?先生」
「今から白井に校舎を案内してやってくれないか?先生は今から会議があってな。生徒会役員のお前に任せたいんだが」
「はい、わかりました」
「おお、ありがとう。では白井、後は田中に聞いてくれ」
引き受けたはいいけど、大丈夫かな?こんな不愛想な人だし‥‥。
「で、では白井君。行きましょうか‥‥」
「‥‥」
無視!先行き不安なんだけど!!
*****
あれから音楽室や体育館、中庭や温室などを案内したけど全て無反応だった。
でも付いてきてはくれるし、もう諦めてあちこち案内することにした。
「‥‥おい」
「?なんですか?」
初めての声掛けに内心驚きながら振り返る。
「お前、生徒会役員なのか?」
「はい、そうですよ。書記を務めています」
初めての質問がそれとは、白井くんは生徒会に興味でもあるのかな?
「ふーん、意外だな。お前みたいな平凡な女でもなれるなんて。この学校も大したことないのか?」
大して話してもない私によく言うな!?本当にズバッと言うんだ‥‥。
でも、
「そんなことはありません。生徒会は限られた人しか選ばれない特別なものです。そして、私は家柄などではなく実力で選ばれました。貴方の発言は私と学園を侮辱しています」
私は必至に努力して、生徒会に――会長たちに選ばれた。それは、紛れもない事実だ。誰にも貶される筋合いはない。
白井くんは反論が意外だったのか、唖然としていた。
「‥‥すみません、少し熱くなりすぎましたね。一通り案内したので、今日は解散しましょう。わからないことがあれば、また後日聞いてください。では、さようなら」
きちんと頭を下げ、私は寮へ急いで帰った。
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そろそろ次のキャラたちが登場予定です!