右曲市八十吉ラーメン店ってどうなの?
「それでは本題に入りましょう。わが町が発展から取り残されているのは、一体何が原因でしょうか?」
右曲市役所の女ボス花子が皆んなに問いかけた。
「そりゃ決まっとろうが、この町に何かしらの売りになるものがあるかい?」
市議会議員の車八十吉はいつものように花子に噛みつく。
思わずキッとヤソキチを睨みつける花子。いつものやり取りに皆が苦笑を押し殺す。
一体こんな場面は何度目だろう、呆れた市長がつぶやき始める。
「え〜っと、この町の昔からの特産品といえば地鶏くらいだな。これを使って美味いラーメンでも作れば…」
市長がつぶやき終わる前に花子が身を乗り出して噛みつく!
「アンタ、今どき美味いラーメン店なんて星の数ほどあるじゃない。そんなんで街が潤うハズ無いじゃないのよ!これだからジジィの発想はダメナノヨ。」
それを聞いた同じくジジィのヤソキチがハゲアタマをテカらせながら花子に逆襲するっ!
「ち、ちみはこの市長に向かって失礼じゃないかっ!謝りなさい。」
ヤソキチの目が飛び出んばかりの形相に花子が吹き出す。
「何よ。「ちみ」って?それを言うなら君でしよ?あ〜ら、入れ歯でもはずれそうになっちゃったのかしら?お爺ちゃまったら。」
一同はこのやり取りに思わず吹き出す。流石に市長がまとめにかかる。
「ま、どうなるかは判りませんが、これまで何十回もの会議で何にも決まらなかったんだから、とりあえず明日からラーメン店出店に向けて取り組むよ〜に、以上。一同解散!」
市長に勝手に押し切られた形で一同は置き去りにされた。そこでヤソキチが乗り出す。
「アイツはもう市長失格だ。ではこれから議決を取る。こちらの女ボス、花子が新規市長
として適任だと思う人は挙手を願います!ハイッ、それでは全員一致で本日から花子が市長に決定しましたっ!」
右曲市役所の女性市長、花子が驚きを隠せなかったが、早速翌日から、市役所ではラーメン店出店に向けた準備が始まりました。
花子市長の指示のもと、地元の鶏農家や野菜農家との連携を図るための段取りが始まりました。
花子市長は地鶏を使った美味しいラーメンを提供するために、地元産の新鮮な食材を重視することを決めました。
最初に行われたのは、地元農家とのミーティングでした。花子市長と市役所の関係者が集まり、農家の代表と直接意見交換を行いました。
地元産の野菜や鶏肉を提供することで、地域の活性化と農業の振興を両立させることが目標でした。
農家の代表は、地元の農産物の魅力や特徴について情熱的に語りました。彼らは、化学肥料や農薬を極力使用せず、手間暇かけて栽培された健康的な野菜を提供していることを誇りに思っていました。
地域特産の地鶏についても、健康管理や飼育環境にこだわっていることを伝えました。
花子市長は、その情熱に共感し、地元農家の取り組みを支援することを約束しました。市役所と農家の連携により、直接取引や契約栽培などの形式を検討し、地元産の食材をラーメン店で利用することが決定されました。
次に行われたのは、地元の鶏農家との訪問と取引交渉でした。市役所のメンバーとともに、花子市長は鶏農家を訪れ、実際の飼育環境や育成方法を見学しました。農家の主人から直接説明を受けながら、地鶏の品質や鮮度について学びました。
花子市長は、地元の鶏農家が大切に育てた地鶏の価値を認め、その品質を活かしたラーメンを提供することを決断しました。また、地域の農家を支えることで、町の発展と地域経済の活性化につなげることも目指しました。
準備が整い、地元の 人々に振る舞ってラーメンの味についてリサーチする事にしたのでした。先ずはヤソキチの作った白湯麺から。
「あの〜、コレってちょいとしょっぱ過ぎはしませんか?あと、このチャーシューは硬すぎで私には噛み切れません…」
客の意見にヤソキチが早速噛みつく。
「な、何じゃとぅ〜っ!じゃ歯茎を鍛えてくるんじゃな!じゃ次の方!」
次の味見に来た小学生が泣き出す。
「じぃちゃんコレ醤油飲んでるみたいでマズイョゥ〜、おぅぇ〜んっ、ヒクヒクッ…」
慌てた母親がヤソキチをキッと睨むやこの子の手を引いてゆく。この様子を見かねた花子がにじり寄るとスープをすすった。
「おいジジィ、お前さんは味見したのかい?」
いつもより低い声の花子に恐怖を覚えるヤソキチがかすかにプルプル震える。
「えっと、忘れた。けど私の経験値から目分量で…」
花子市長はヤソキチの言葉に苛立ちながらも、冷静に対応することを決めました。彼女は客の意見を真摯に受け止め、改善点を見つけるために自ら味見をすることにしました。
スープをすする花子市長の姿に、ヤソキチは恐怖を覚えながらも、少し自信を取り戻しました。彼は経験と勘を頼りに、味の調整をしていたのです。
花子市長は、スープの味わいについて考え込みました。すると、思わず目を見開きました。
「ヤソキチ、これは醤油の味が強すぎるように感じます。バランスが欠けていると思います。また、チャーシューは柔らかく仕上げる必要があります。客の皆さんが快適に食べられるような改善が必要です。」
ヤソキチは花子市長の意見を素直に受け止め、自分の調理方法に反省の念を抱きました。彼は市長と協力して、地元の鶏肉や野菜の持つ旨味を引き出す方法を模索することを決意しました。
その後、市役所では改善案を出し合いながら、ラーメンの味の改良に取り組みました。地元の農家との密な連携を通じて、新鮮な食材の提供が実現されました。
数週間後、花子市長とヤソキチは再び市民にラーメンを振る舞う機会を持ちました。
新たなスープの味わいと、柔らかくジューシーなチャーシューが特徴となっています。 客たちは喜びの声を上げながら、花子市長とヤソキチに感謝の気持ちを伝えました。
「以前よりも素晴らしい味になりました!地元の食材の活用、本当に素晴らしいですね!」
この一件をきっかけに、ラーメン店は地域の人々から愛される存在となり、その評判は口コミで広まっていきました。
地域の魅力を活かし、町の発展に貢献する取り組みが成功したのです。 花子市長とヤソキチは、この経 験を活かして、今度は鶏ステーキ店を出店したのでした。
花子市長とヤソキチは、ラーメン店の成功を受けて、新たな挑戦として鶏ステーキ店の出店を計画しました。
地元の鶏肉の美味しさと質を活かした、高品質な鶏ステーキを提供することを目指していました。
市役所では、店舗の場所やデザイン、メニューの構成など、鶏ステーキ店の基本的な要素を検討しました。
また地元の鶏農家との連携を強化し、安定的な食材供給を確保するための取り組みも行われました。
開店前には、試食会やプレオープンイベントを実施し、地域の人々に鶏ステーキの魅力を伝えました。
その結果、口コミで評判が広まり、多くの人々が楽しみにしている様子が伝わってきました。
いよいよ鶏ステーキ店のオープン日が訪れました。鮮やかな看板が掲げられ、花子市長とヤソキチは笑顔で店内を迎えました。
店内は温かみのある雰囲気で、地元産の鶏肉を使った美味しそうなステーキが並べられていました。
初日から多くの人々が訪れ、鶏ステーキの味を堪能しました。ジューシーな鶏肉と秘伝のソースが絶妙なハーモニーを奏で、客たちは大いに喜んでいました。
「地元の鶏肉がこんなに美味しいなんて驚きです!」「また来たいと思います!」
花子市長とヤソキチは、鶏ステーキ店が地域の人々に愛される場所となるよう、努力を重ねました。
地元の鶏農家とのパートナーシップを強化し、鶏肉の品質向上や新しいメニューの開発に取り組みました。
数ヶ月後、鶏ステーキ店は地域の名物として知られ、観光客や遠方からの訪問者も増えていきました。
地域の特産品である鶏肉が、町の発展と経済の活性化に大いに貢献することとなりました。
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花子市長とヤソキチがこの右曲市で一番洒落たリストランテでシャンパンを酌み交わす。
花子市長: ヤソキチ、鶏ステーキ店のオープンから数ヶ月経ちましたね。お客さんたちの反応はどうですか?
ヤソキチ: はい、市長!まさに大成功です!お客さんたちからは絶賛の声が寄せられています。特に鶏肉のジューシーさと、秘伝のソースの味わいが大変喜ばれています。
花子市長: 素晴らしい!地元の鶏肉の魅力がしっかりと伝わっているんですね。地域の発展にも大いに貢献できると思います。
ヤソキチ: はい、市長。実は、地元の鶏農家との連携も一層強化されました。彼らとの協力のおかげで、安定的な食材供給が可能になりました。地域経済の活性化にもつながっています。
花子市長: 素晴らしいニュースですね!地域の農業と飲食業の連携は大切ですからね。さらに、新しいメニューの開発は進んでいますか?
ヤソキチ: はい、市長。私たちの鶏ステーキ店の看板メニューである「ハーブマリネチキンステーキ」に加えて、季節ごとの限定メニューも取り入れています。
例えば、夏季には爽やかなレモンペッパーチキンステーキ、冬季には温かみのあるハーブバターチキンステーキなどです。
花子市長: 素晴らしいアイデアですね!季節感を取り入れたメニューはお客さんにとっても楽しみな要素になるでしょう。地域の魅力をさらに引き立てることができますね。
ヤソキチ: ありがとうございます、市長。お客さんたちの要望に応えるために、私たちは日々試行錯誤しています。さらなる鶏肉の活用法や、地元食材とのコラボレーションも模索しています。
花子市長: 素晴らしい情熱ですね。ヤソキチ、君の努力と才能がこの鶏ステーキ店の成功に繋がっています。本当にありがとう。
ヤソキチ:こちらこそアリガトー!花子ターン!好きだを。
花子市長: あらヤーね、テカテカしちゃって八十吉さんったら、ウッフんっ!
〜〜〜☆Fin☆〜〜〜