プロローグ 何かがおかしい展開
この世にはテンプレという決まったような場面、言葉が存在している。
テンプレというのは、物語の進行における、決まったストーリーなどのことを指す。
例えるなら、勇者が魔王を倒す旅に出るだとか、異能力をもった人間がグループ作って、同じようなグループと戦ったりだとか、転生していきなり俺最強だぜ人生送ったりだとか、、、、
もっとわかりやすく例を挙げるのであれば、今俺が体験しているこの場面。
「やばい、遅刻だぁ!」
タッタッタと学校へと足を走らせて、次の角を曲がる。
と、その瞬間っ___ドンッ___
胸部から全身にかけて、何かにぶつかったような痛みが走る。
「イッテテテ、、、、、」
そう、学校に遅刻して急いでいる最中、建物の角でヒロインと主人公がぶつかるという恋愛系の物語における、テンプレ中のテンプレのような場面。
だが、この場面において一つ違う点がある、それは、、、、、
ぶつかった相手が
「えっと、その、、だ、だだ大丈夫、、、ですか?」
”陰キャラ男子”ということだっ!!
ぶつかってきた相手は、猫背で、低身長で、本当に前見えてんの?と思うぐらいに伸びに伸び切っている前髪が特徴的な俺と同じ制服を着ている男子生徒だった。
(こいつ、確かクラスで陰キャ扱いされてる...)
「お、おう、確かお前って伊野部彰春だよな?」
「は、はいっ、そそそそうですっ!」
「あぁやっぱそっか、じゃあ俺急いでるからっ。」
「えっ!あぁ、ち、ちょっと待ってくだ、、、、、」
伊野部は俺を止めようとしたが、走っていく俺を見てすぐに口を閉じた。
(やれやれ、そんな簡単に美少女とぶつかるなんて、ありえないよなぁ。)
(というかあいつ、学校方面とは違う方向に歩いてたような、、、いや、のんきに考えてる時間はない。早く学校にいかなければっ!)
俺は走るスピードを上げた。