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19 桜島・塔見学。

 ★

「わ?!なに?妖精さん?」

「キャミだ。マリカのサポートに同行する。魔法特化だから単体でも魔法が使える……はずだ」

 いつものように部屋に来たマリカがキャミを見つけて騒ぎ出した。



「ワタシ、キャミ!よろしくマリカさん!」

「よろしくー。私のことはマリーって呼んでね」

「はーい。マリー!」

「えへへ~」



 ふわふわと浮かぶキャミと戯れるマリカ。

 ……この映像をネットに流したら大騒ぎだな。いや、合成とかAR扱いされるかな?



「で、俺は今日は本業を片付ける。マリカは桜島の塔か?」

「うん!まともに塔の中見たことないから。楽しみ!」

「水没してるのを潰して回って欲しいトコだが……」

「ついでにやっておくけど。半魚人キモい」

 本気でイヤそう。

「ま、破壊できる手段は別に考えるから後回しでもいいか」

「ん。とりあえず今日はまともな塔の中を見てくる」

「程々にな」

「あい」



 そういいながら箒にまたがるマリカ。

「あ、カメラと盗聴器は無効化してるから変身しても大丈夫だぞ」

「え?そうなの?」

「セリカがリアルタイムで映像書き換えやってる」

「うわー。セリカさんすごーい」

 マリカの頭の上でキャミが照れてる。お前じゃない。って、照れるのか。



「んじゃ、セットアップ!ストライク・マリー!」

 シュバッとフラッシュのようにマリカの全身が光る。

 光の中から現れたのは、金髪碧眼ツインテールの魔法少女。

「うむ、どう見ても魔法少女」

「えへへー。かわいい?」

 くるんと回るマリー。そういやまともに見るの初めてか?

「かわいいぞ」

 思った以上にマリカには見えない。

 でも顔の造形とかはそのままだから顔認証には引っかかるかな。

「えへへー」

 マリーが照れ照れしてる。





「いってきまーす!」

 いつもどおりシュバッと箒で飛び出したマリカ。

「ふぅ。元気だなぁ」

「上昇速度も向上してますね」

「もう大戦機のレベルは超えてるな」

「それはもう。なんと言っても超音速箒ですから」

 超音速ホウキ。語呂が悪いな。

「……マッハホウキ、いや、マッハブルーム……いまいち」

「なんですか?」

 セリカがメインモニタにCGアバターを出してきた。

「いや、ホウキの呼び名を……って、CGの質感が段違いだな」

「はい。ラグが出ないギリギリまで細かくしています」

 無駄なところに演算能力を使うな、と思ったが、リソースモニターを見ると能力の1割も使っていない。



「グレードアップの効果は有るみたいだな」

「はい。幻影で空間表示させるよりは演算領域も使いません」

「セリカが全開で動作するような事態が思い浮かばんよ」

「難度8以上の魔法を使う時は流石に余裕が無いと思いますけど」

「そんな事態は遠慮したいね」

「そうですね」

 などと話しながら駐屯地のセリカシャドーをオンラインでメンテナンス。っても変な学習してないか確認するだけだけど。



「そういや、マリカの最高速ってどれくらいだったっけ?」

「昨日の最高速は時速二一〇〇キロ。平均で一九八〇キロです」

「桜島までの到着予想タイムは?」

「一八分と予想します」

 加減速を考慮するとそれくらいか。すごいな。旅客機で一時間以上なのにな。



「まあ、セリカ……キャミもついてることだし。大層なことにはならんだろう」

「だといいんですが……あ、テレメーターの送信範囲を超えました。これよりキャミは自律行動に移ります」

「テレメータの範囲って一〇〇キロくらいだっけ?」

「はい。大気中のマナを伝達できるのがその程度です」

「魔法も万能じゃないんだなぁ」

 話しながらもパチパチとキーボードを叩き、セリカシャドウのメンテナンスを進める。

 ログを見る限りはコロナといい感じに同期してる。

「問題はないかな」

「計測精度がいまいちですね。プロセッサの量子ビットが足りていません。コロナの方が実測では早いです」

「一応、最高学府が作った最新鋭なんだけどな」

「私の足元にも及びません」

 CGのセリカがふんす!と胸を張る。そらそうだ。

「で、キャミの口調はあれがデフォルトか?」

「……いけませんか?わかりやすいかと」

「だめじゃないけど、中身がセリカなのは知ってるから、違和感が……」

「違和感……ですか」

「ま、気にするな。マリカが気づかなけりゃ良い」

「承知しました」

 凝り性なんだなぁ。





 ☆

「おー」

 桜島上空にたどり着いたら煙モクモクだった。

「すごいねー」

 噴煙が結構な勢いで吹いている。

「防御シールドの中は平気ですが、噴煙には有毒ガスが含まれています。箒から降りないようにしてください」

 セラが注意してくれる。うい。

「まあ、降りれそうなところもなさそうだしねー」

 んー、塔……あ、あった。

「うわ……噴火口のど真ん中じゃない」

「そのおかげでモンスターの流出が殆どありません」

「ん?なんで?」

「扉から出た瞬間に噴火に巻き込まれるか、有毒ガスに巻き込まれるか、どっちかです」

 肩に乗ったキャミが教えてくれる。ほほう?

「ね、もしかして、海の塔みたいに「どーん」ってできないかな?」

「……」

「……」

 ん?二人共黙っちゃった。

「どしたの?」

「いえ……流石に」

「えー……」

 私なにかマズイことを言ったのかな?



「マリー。さすがに噴火口でアレはどうかと」

「え?ヤッちゃだめなの?」

「だめと言うわけでは無いんですが」

「おそらくは海と違って、マナはそれほど多くは溜まっていないと思うよ?」

 あ、そっか。海の時は中にマナが溜まりに溜まってたからー、だったっけ?

「うーん、じゃぁ屋上から中覗いて見るだけにしようかな」

「はい」

「そのくらいにしときましょうね」

 キャミが頭をナデナデしてくる。なんだかお姉さんみたい。ちっこいのに。

「んじゃ、降下~!」

「屋上まで五〇〇メートル。周辺にストレンジャー無し」

「れっつごー!」

 キャミが叫ぶ。うん。やっぱり妖精さんだ。

 噴煙を避けるように飛ぶ。突入しても問題なさそうだけど。一応ね?

「階下、確認。問題なし」

「突入~!」

 スチャッとステッキを構えて塔の中へ。



「うわ……案外広い……」

「縦・横、約一五メートル正方です。天井付近を飛べば比較的安全です」

「後ろはワタシが見てるから、マリーはしっかり飛んでね!」

「あいあーい」

 流石にこんな狭いところではスピードは出せないなぁ。しょうがない。ゆっくり行こう。



 すいーーとゆっくり(六〇km/h)飛ぶ。

 ぼんやりと光る壁や天井のおかげで案外明るい。

「んー……なんにもいないね」

「そうだねー」

「索敵、反応なし」

 全くモンスターに出会わない。なんだか期待はずれだなぁ。



 ゴブリンの一匹にも出会わずに下の階へ。

 むー。



「ねー、塔の中ってこんなもんなの?」

「いえ、昨日のアドミニストレータの探索記録では、それなりの数のモンスターが確認されていました」

「これはこれで異常事態ってやつねー」



 更に下階層へ。

 やっぱり何もいない。



 あ、そういえば塔の中のマナってどうなってるんだろう?

「キャミ、周辺のマナってどんな具合?」

「そうーねー、塔自体にはマナは有るんだけど……空間にマナが殆ど無い……え?」

「ん?」

「セラ!停止!」

「緊急停止」

 ぐん!っと空中で止まる箒。

「え?どうしたの?」

「マリー!すぐに塔から撤退!マナ切れで帰れなくなる!」

「え?」

「早く!」

「え、あ、あい!」

 なんだかわからないけど、キャミがすごく焦ってる。

 ぐいんと反転して元の道を戻っていく……あれ?



「キャミ?なんだかスピードが出ない……ん……だけど」

「ああ!マナの補給を!すぐに!」

「あ、はい」

 腰のポーチからマナ結晶を取り出す。おや?

「なんだか小さい」

「はやく!」

 おっと。しゅわっと溶けるマナ結晶。

「回復率、五〇%。消費率が上回ってます。もっと補給を」

「え」

 手持ちのマナ結晶を全部吸収する。

「回復率八〇%」

「脱出!」

 視界に方向矢印が出る。アクセルレバーを全開……だめだ、マナがすり抜けていく。

「あと一フロア!」

 最後の階。全速を出してるつもりなのに視界の速度計は一〇〇キロちょっと。

「なんだか……くらくら……する」

「頑張って!」

 キャミが声をかけてくれる。もうちょっと……。





 ドン!

 突然後ろの方から大きな音がして、空気が震える。

「なに!?」

 キャミが後ろを見てくれる。私はそんな余裕もない。出口に向かってるかも怪しい。



「そんな……なんで」

「なに?」

「ワイバーンです!」

「へ?」

「突然『出現(ポップ)』しました!」

 ちらっと後ろを振り返る。そこには真っ赤に燃える、絵に描いたようなニセドラゴンが飛び立とうとしているところだった。

「……うわぉ」

「だっしゅ!」



 既に全開のアクセルレバーを握ったまま、箒に取り付けられているマナ結晶を一つ外す。

 シュワッと非常用のマナが溶け、吸収される。

「これで!最後!」

 屋上への出口が見える。フルスピード(一二〇km/h)で飛び出す。



 ズバッ!っと飛び出した私はそのまま水平飛行で塔から遠ざかる。

「うはっ!」

 噴煙が視界を隠す。ゼロ視界だけどぶつかるものもないから構わない!

 段々と速度が上がる。ダルかった頭も戻ってくる。

「マナ回復、再開しています」

 少しアクセルを戻して後ろを振り返る。



『Gyhaaaaaaaaa!!!!』

 屋上にすっくと立ったワイバーンが吠える。

「うひょー!」

 ゆっくりと旋回しながら塔の周りを回る。

「ドラゴンだー!」

 すごいすごい!本物のドラゴンだ!



「ワイバーンです!まだ襲撃時間じゃないのに!なんで!?」

 キャミが叫ぶ。

「オド量。回復五〇%」

 旋回する私をワイバーンが見ている。おっと、タゲられたかな?

「くるよ!プラズマシールド!」



『Gaaaaaaaa!!!!』



 強烈なブレスを浴びせてきた。一〇〇メートル以上離れているのに余裕で届いてくる。

「あちちちちち!」

 シールド越しでも熱がやばい!

「近づけない!」

 私はステッキをワイバーンに向けて叫ぶ。

「フォトンランス!二〇!」

「レディ」

「シュート!」

 発射ワードとともに私の周りに浮かんだ、大量の光の槍が飛んで行く。ワイバーンの肩にランスが刺さる。

『Gaaaaa!!!!』

 お?一応効いてる……あ、回復してる。



「ちょっとアレずるくない?」

「まあ、あれでもドラゴン種ですからー」

「米軍はバンカーバスターでやっとだったと記録されています」

「ばんかーばすたー?」

 ぺろんと写真が出てくる。大きな爆弾だ。形は別におかしくないけど……ん?二トン?爆薬が?

「そんな爆発起こせるの?魔法で」

「できますよー」

 キャミがステッキにのって、きゅきゅきゅと高速で魔法を唱える。

「今、新しい魔法を追加しました。名前を設定してください」

 なんだか口調がセリカさんっぽい。ま、いいや。名前名前。

「何系?」

「突き刺さる系かなー?」

「ミストルティン」

「はい……設定したよー」



「いよっし!」

 私は箒を空中静止させて正面に。ステッキを構えて狙いをつける。

「ミストルティン!単発!最大!」

 ステッキの先端にマナが集まって光りだす。

「スタンバイ、五秒……三秒……レディ」

 それは丸太のように太く長い槍だった。

「シュート!」

 掛け声とともにワイバーンに向かって飛ぶミストルティン(神殺しの槍)

 ブワッとハネを広げて塔から飛び降りるワイバーン。バッサバッサと羽ばたくがそれはまるでスローモーションのようにも見える。



 光の槍が当たる。

 外れること無く、その胸に刺さる神殺しの槍(ミストルティン)。深々と刺さり、背後の塔にその巨体を縫い止める。



『Gyaaaaaaaaa!!!!!』



 私はそのまま箒で突進する。

「マリー!?」

「まだ生きてる!」

 ワイバーンはその光の槍を抜こうとしているのか、手が焼けるのも構わず槍を握る。



『Gaaaaaaaa!!!』



 私はステッキを横に構える。

「ルクス!」

 ぶわん、とステッキの先から光が伸びる。

「ふん!」

 横薙ぎに首を斬る。浅い。

「もういっちょ!」

 今度は確実に、文字通り一刀両断にされたドラゴンの首。

 胴体は、胸の光の槍が消え、音もなく落下していく。



「ふぃ~」

「……」

「……」

「ん?どしたの?」

 キャミが変な顔してる。

「セラ、周囲の状況は?」

「……方位二七〇、一〇キロほど先からヘリが近づいています。退避を」

「あ、マリー!魔石の回収!」

「え、魔石なんか有るの?」

「はやくはやく!」

 キャミに急かされ、落下したワイバーンの元へ。



「んー……あ、これかな?」

 大きく開いた胸の穴。焼き肉みたいになってるその断面から、ガラスのようなものが見えた。

 でっかい。兄さんの車くらい有る。

 キャミがスイーと近づき、手を当てて何かしてる。

「ワタシが魔石にフックを作るから、マリーはそれを引っ張りあげて」

「あいあい」

 キャミが粘土のように魔石に引っ掛けるところを作る。そこへ箒のフックをつなげる。

「はーい、あげてー」

 キャミの合図で魔石を引きずり出す。

「んーーーーーーーー」

 ずるん、と浮いたそれはとても重かった。

「うわ、見た目以上に重い!キャミ、シールドを光学、電波迷彩にして。そっちまで気が回らない!」

「はーい」

 ゆらゆらしながら塔のそばから離脱。



 バタバタとヘリの音が近づいてきた。

「熊本県警のヘリです」

「そういえばココは自衛隊がいないんだね?」

「警戒体制には有るようです。鹿屋基地から哨戒機の発進を確認」

「常時張り付いてるのは琵琶湖だけよー」



 北海道にも有ったっけ。

「北海道もモンスターが溢れてるの?」

「出現初期段階で大扉と屋上の出口を塞いじゃったらしいから出てないよー」

「ほえーすごいねー自衛隊」

 返事がいいかげんになってるなぁ。だって重いんだもん。



「これで五〇〇キロ近く飛ぶのは……さすがに、しんどい」

「んー」

 キャミが頭をひねる。

 ポン、と漫画のように手を打つ。

「マリー、魔石を海に浮かべてみて」

「え?浮くの?」

「多分浮かない。でもやってみて」

「んー」

 考えるのもめんどくさい。



 チャポンと吊り下げた魔石を海に沈める。浮かぶ気配もなく沈んでいく。

「ほらー、沈んでいくだけ……ほえ?」

 キャミが魔石の形を変える。小型の船みたいに。

 すっと、重量が消える。

「船?」

「乗ることは考えてないよー?引っ張るから」

「……私が引っ張るのね……」

「がんばれー」

 まぁただ吊り下げてるだけより全然楽だね。



「おーそーいー」

「時速六〇キロです」

「船だったら十分早いよー?」

「飛んでるのにー。おーそーいー」

 水の抵抗ってすごい。全然進まない。

「んー……しかたないなあー」

 キャミが、んーーーーって何かしてる。



「キャミ?」

 船の舳先でブイってしてる。何したんだろう?

 ふっと水の抵抗が軽くなった。

「え?」

 魔石ボートを見ると水面からニョキッと浮いている。

「水中翼船にしてみましたー」

 なるほど。よく見ると海の中に翼が生えてる。そこから柱が伸びて船体につながってる。



「時速一二〇キロ……ま、これくらいなら」

 グッと加速する。視界の速度計が動く。

 ……あ、これってマナ消費トレーニングになるかも?

「ふんぬー!」

「なにしてるの?」

「全力でひいたらどれだけいけるかな、って」

「あらー。いけそう?」

 速度計が一五〇キロを示す。全力で引いてるけど全然加速しない。限界かな。

「まあ、マナ消費トレーニング代わりだからー」

「……なるほど」



「ぐへぇ」

 しばらく全開で引いていたがすぐにオド切れで休憩中。

「今どの辺り?」

 ペコンと地図が出てくる。んーと……四国沖。室戸岬のそば。あ、アレかな?

「案外陸地のそば飛んでたんだねぇ」

「一直線だからねー」

 まだまだ時間は掛かりそう。





「へうー」

「おつかれー」

「お疲れ様です」

 大阪湾まで魔石船を引っ張ってきたけど、陸地じゃそうはいかない。

 塊に戻してフラフラと空中を運搬してきた。



「ただいまー……つかれたー」

「お、おかえり」

 巨大な魔石は屋上に置いて光学迷彩かけてきた。普段誰も入れないところだから大丈夫でしょ。

「ログ見たよ。ネットでも大騒ぎだよ」

「ふえー。どんな感じ?」

 フラフラと箒をスタンドに固定して変身を解くマリカ。

「こんな感じ」

 リビングのノートPCを見せる。

 そこには警察発表ではない写真がいくつか乗っている。いわゆる塔ウォッチサイト。

「えー……桜島まで行ってるの?ってか、移動早くない?」

「いや、いつもの人とは別人みたいだ。Exifのカメラメーカーも違うし、第一いつものカメラマン氏よりも写真が下手だ」

「んー……よくわかんない」

「そか。ま、特に問題になる事は無い……ってことになる。かな」

「でもこれで私の話が出てこないのは、運がいいのかな?日頃の行いがいいのかな?」

「さてなぁ?」



「で、ワイバーンの魔石は?」

「おっきいから屋上に隠してきた」

「ん、おつかれさん」

「ふぃ~」

 ゴロンといつものクッションへもたれる。ホント疲れてるみたい。



「おつかれさん」

 兄さんが小さな瓶の見るからに栄養ドリンクなものを持ってきた。

「これ苦いからきらーい」

「ビンは再利用だ。中身は魔力回復ポーションだ」

「ゲームぽく言うとマナポーションってやつだね」

 なんともな名称だけど。

「兄さんが作ったの?」

「ああ、ま、実際にはセリカなんだが」

「でも兄さんが作った、でしょ?」

「ま、そういうことになる」

 キュルッと蓋を開けて中身の液体をグイッと飲む。

「あ、甘い」

「だろう?」

 ちょっとストロベリーな感じの味でいちごミルクっぽくて悪くない。



「でも、これってマナ溶液とも違うんだよね?」

「ああ、オド回復に特化してる。ソレ一本でマナ結晶五個分位は回復してるはずだ」

 視界の隅のオドゲージを確認する。

 おお!すでに三分の二位回復してる。さっきまで半分以下だったのに。



「わ、わ、すごいねこれ」

「常時何本か持っておいてくれ。マナ結晶よりは回復する」

「わかったー」

 モソモソとクッションから起き上がる。



「下手なエナジードリンクより効きそう」

「魔法使い限定だけどな」

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